
Mixed Reality で好発進: メルセデス ベンツ USA のメンテナンス時間の短縮を HoloLens 2 が支援
※ 本ブログは、米国時間 9 月 9 日に公開された “Vroom with a view: HoloLens 2 powers faster fixes for Mercedes-Benz USA” の抄訳です。
仕事道具を元の配置に仕舞い終えて数時間、目を閉じて安らかな寝息を立て始めた Mike Munoz は夢の中でも複雑なメンテナンス業務を追体験することがあります。
マイアミに拠点を置く自動車整備士の Mike がそうした夢を見るのは、決まって難しいメンテナンスが舞い込んで仕事が行き詰まる時です。夢でも現実でもうなされ続ける彼ですが、これまで解決策を思いつくのは決まって、夢の中でした。
「仕事が終わって、整備工場においてきた自動車を放っておけないような感覚になるのです」と南フロリダのコーラル・ゲーブルズに拠点を置くメルセデスベンツのサービスマネージャーの Mike は言います。「家に帰っても車のことばかり考えてしまいます。そして寝入ったと思いきや、その自動車の抱えている問題の解決策が浮かぶのです。寝起きと同時に『これは試さなければ!』、と意気込むことが良くありました。」

オイル交換やブレーキキャリパーのオーバーホールといった技術を学んだ 83 年式のシボレー C10 を 900 ドルで初めて買ったその日から、Mike は車のことばかり考えて過ごしてきました。
今と比べると、当時の自動車は内部構造が非常に単純で分かりやすいものでした。しかし、自動車が拡張現実や AI といった様々な機能を搭載した極めて電子的なマシンへと変貌していくにつれ、そうした車をただしく動作させ続けるために求められる作業も高度化していきました。夢で解決策を探ることは、そう簡単にはできなくなったのです。
高度化した自社車両を整備士がより効率的に整備、そしてメンテナンスできるように、メルセデスベンツ USA では認可した全ての代理店での HoloLens 2 ヘッドセットの配備を決定しました。それぞれのデバイスに Mixed Reality 内でユーザー同士がコラボレーションを行える Microsoft Dynamics 365 Remote Assist アプリが搭載されており、自身のコンピューターからハンズフリーでビデオ通話を行えます。
HoloLens 2 を活用することで、メルセデスベンツ USA はサービスとメンテナンス時間を短縮
代理店の整備工場で使用されている HoloLens 2 によって、現場の整備士たちは専門的な知識を持ったメルセスベンツのリモートスペシャリストチームによる十全なバックアップ体制を受けながらリアルタイムで作業ができます。バックアップ体制にはそれぞれのモデルの複雑な構造に精通した米国在住のメルセデスベンツのフィールドスペシャリストから、モデルのデザインを担当したドイツ本社のエンジニアチームまでが組み込まれています。
今や、Edgar Campana を筆頭にコーラル・ゲーブルズのメルセデスベンツ USA で勤務する整備士たちは HoloLens 2 を使用することで、Dynamics 365 Remote Assist アプリを通して社内のリモートスペシャリストと会話をしながら自動車の部品、もしくは機関を点検することが可能になりました。

複雑な機械の層の奥や、エンジンの内部構造を確認しなければならない場合、Edgar は必要に応じて指先のジェスチャーでそれらの 3D ホログラムを実際の車両の隣に呼び出すことができます。
こうした一連の操作を遠隔地のコンピューターから確認しているリモートスペシャリストは、特定の部品やセンサーへと Edgar の注意を向けつつ、配線図、メモや視覚情報を HoloLens 2 上に表示させられます。
こうした操作に加えて、リモートスペシャリストはホログラム上にエンジンや他の部品の画像を呼び出し、それらの上に線を描くことでどういった場所にメンテナンスを加えなければならないかを直接指示できます。必要であれば、複数のメルセデスベンツスペシャリストたちが一つの会話に参加することもできます。
「まるで彼らがすぐ隣にいて、私自身が彼らと思考が重なっている感覚になります」と Edgar は言います。「スペシャリストたちは私の目を通して車両を見ており、そこで得られた情報をもとに指示を行っているのです。」
