Ignite 2021: レジリエントで再構築された未来、そして、驚嘆の瞬間

フランク ショー (Frank X. Shaw)

本ブログは、米国時間 3 月 2 日に公開された “Ignite 2021: A resilient, reimagined future and next big ‘whoa’ momentの抄訳を基に掲載しています。

世界が小さくなり、その一方で私たちの想像力が大きくなったと感じる瞬間が誰にもあるでしょう。私は、初めて海外旅行をした時のことを覚えています。ノースカロライナ州チェリーポイントで飛行機に乗り、眠って起きると、スペインのロタでした。町並み、料理、文化のすべてが今までに経験したことがないものであり、私の世界の見方は突然に変わりました。飛行機はまったく新しい世界への入り口だったのです。

初めて携帯電話を入手した時には、私は昼食に出かけた車の中から友人に電話をして「今どこから電話していると思う?」と尋ねました。この発明が後にどれほど大きな変革をもたらすかを意識せず、どこにいても電話がかけられるようになったのだと言いました。

最初の Xbox が登場した時も同じようなことを思ったかもしれません。3,000 マイル離れたところから友達と戦闘し、ヘッドセットを通じて罵り合ったりしていました。ここでも、テクノロジにより、今まではなかった方法で人とつながることができるようになりました。

この世界には、変化への扉が突然に開く瞬間があると言ってよいでしょう。そして、しばしばテクノロジの進化がそのような瞬間を生み出します。

私たちは今まで以上に Microsoft Ignite のようなカンファレンスを必要としています

通常の年であれば、今まさに世界各地で Microsoft Ignite のツアーイベントが行われている時期です。今年は、150,000 人以上のテクノロジリーダーと実務家を招き、48 時間にわたるバーチャルなイベントを開催します。

昨年からの課題に対応してこのような変更を行わざるを得ませんでした。そして、カーブサイドピックアップ (車内での商品受け取り)、遠隔医療、遠隔工場、同僚や家族とつながるためのビデオ通話など、私たちの現在の生活に不可欠な要素の多くがパブリッククラウドに依存しています。

これらの機能は一夜にして実現されたわけではありません。新たなテクノロジと考え方に対する 10 年にわたる投資があってこそ、必要な時に利用可能になったのです。そして、過去数カ月間に多くのイノベーションが加速する中、これらの機能は新たな意味と重要性を持つようになりました。今、業界全体として、そして、企業として次の一手を考えなければなりません。世界が DX を継続し、テクノロジを通じて生活をより良いものにしていくために必要なことを予測しなければなりません。

基調講演でサティアが述べたように、マイクロソフトは、以下の 5 要素がクラウドによる次世代のイノベーションを推進すると考えています。第 1 に、どこにでも存在する非集中型のコンピューティング、第 2 に、高品質のデータと環境化したインテリジェンス、第 3 に、どこにいても意欲に富んだクリエイターとコミュニティ、第 4 に、グローバルなワークフォース全員に対する経済的機会、第 5 に、設計思想としての信頼性です。ライブでのご参加ができない方は、基調講演のアーカイブ映像を是非ご覧ください。

Microsoft Ignite の来場者は常に最前線にいようとする方々です。世界のデジタルトランスフォーメーションが継続していることを認識し、マイクロソフトが、あらゆる IT 開発者、IT 実装者と IT リーダーに向けて次のイノベーションに必要なプラットフォームとツールを提供することにコミットしていることを認識している方々です。

今週、様々な業界の未来に向けた現状を紹介し、将来に向けた重要な発表を行います。

では、最初にちょっと感動させてくれる発表から始め、このビジョンに向けたステップのいくつかをご紹介していきましょう。

Microsoft Mesh による新たな現実

本日の基調講演では、アレックス キップマン (Alex Kipman) が、新たなプラットフォームである Microsoft Mesh の没入感のある斬新な講演の体験を通して、私たちがどのように Mixed Reality (複合現実、MR) とコラボレーションを実現するのかを紹介しました。

冒頭では、携帯電話やネット対応ゲームにより別の場所にいるかのような感覚が得られたことを述べました。Microsoft Mesh は、これをさらに一歩進んだレベルで実現する複合現実のプラットフォームです。別の大陸にいる人を同じ部屋にいるかのように感じることができます。Mesh 対応のアプリによってプラットフォームやデバイスにかかわらず、人々は、3D コンテンツと、あるいは、互いにやり取りすることができます。

最初のステップとして、あたかも飛行機に乗って旅行をしたり、会議室で人々と会議をしたりするような体験が提供されます。しかし、マイクロソフトの他のテクノロジと同様、このテクノロジはエコシステム構築による市場機会を獲得するためのプラットフォームでもあります。この市場機会の規模は計り知れません。旅行会社が、古代ギリシャの遺跡を旅するバーチャルツアーを提供するかもしれません。建設会社が、設計チームがどこにいてもバーチャルなモデルコラボレーションできるようにすることで、斬新な建築物を設計するかもしれません。工場では、遠隔地の専門家があたかも隣にいるように作業ができるかもしれません。基調講演に登壇したマイクロソフトのパートナー Ocean X が行っているように、世界有数の科学者があらゆる場所から意見を共有することで、新たな発見が得られるかもしれません。可能性は無限です。

マイクロソフトは、Mesh を Microsoft Teams や Microsoft Dynamics 365 と統合する予定です。また、パートナーのコミュニティも、今までもそうしてきたように、Mesh 上で多様な素晴らしい体験を構築してくれるでしょう。次に何が起きるか考えるだけでもわくわくします。

ハイブリッドの仕事環境

2021 年にはオフィスや教室に戻ることができるようになるかもしれません。しかし、パンデミック前の世界が完全に戻ることはないでしょう。ジャレッド スパタロウ (Jared Spataro) のセッションを聴かれた方は、2020 年が在宅勤務の年であるとお考えかもしれません。しかし、実際には、2020 年は仕事がクラウドに移行した年なのです。

人々が、自宅、オフィス、そして、その間にあるあらゆる場所で働くようになるハイブリッドな世界では、クラウドによるソリューションが不可欠です。企業は、物理的な出社とデジタルな出社の両方に対応できるワークプレースを構築しなければなりません。

Microsoft Teams は、あらゆる作業を整理するための階層であり、コミュニケーション手段、コラボレーションツール、そして、他のアプリやサービスへの拡張機能を提供します。Ignite において、マイクロソフトは、複数の企業が企業間の境界を越えてコラボレーションを行うための Teams Connect を発表します。また、Team 会議における新たなプレゼンタービューを発表し、先月発表された従業員体験プラットフォーム Microsoft Viva の追加情報も提供します。Microsoft 365 と Teams 関連の発表はこちらをご参照ください。

クラウドのイノベーションと統制機能の継続

常に変化する世界の中で、企業が生き残り、成長していくために、Azure クラウドサービスが今まで以上に重要になっています。性能、信頼性、セキュリティは常に Azure の基礎であり続けますが、マイクロソフトはこのプラットフォームの機能をさらに強化し、お客様やパートナーがデータによるイノベーションを実現できるよう支援していきます。

Ignite で、マイクロソフトはクラウドのパワーを最大化する多くの新機能を発表します。Azure Percept は、エッジ AI ソリューションの構築と管理を支援します。Azure Synapse Pathway は、マイクロソフトのきわめて拡張性が高い分析サービスへのワークロードの移行を加速します。Azure Purview にオプションを追加し、お客様によるデータのマッピングと理解を支援します。Azure Arc を使用したハイブリッドクラウド向け機械学習がプレビュー提供されます。また、Azure Communication Services が Microsoft Teams と相互運用可能になりました。

セキュリティはあらゆる人の最優先事項

最近になり、今までに見られなかったタイプのセキュリティ攻撃が見られるようになってきました。セキュリティが今ほど重要な時はありません。マイクロソフトは、セキュリティの課題に、あらゆる局面から全面的に立ち向かう上で、統合されたエンドツーエンドのアプローチ、そして、AI による自動化機能という 2 つの強力な武器を常に活用していきます。Ignite においては、ユーザーと組織を支援し、デバイスとバックエンドを保護するための新たな機能強化を発表します

多くのお客様が特に求められていた機能、Azure Active Directory のパスワードレス認証が一般利用可能になり、多くの場合でパスワードが必要なくなりました。

Microsoft Defender 内で新たに提供される Threat Analytics レポート、現在そして将来におけるファームウェアレベルの脆弱性に対する保護を提供する Secured-Core の Windows Server とエッジデバイスへの提供など、他にも多くの強化があります。また、Teams のエンドツーエンドの暗号化サポートも発表します。これにより、機密性が高いオンラインの会話の保護など多くの利点が得られます。

最上の顧客体験の提供

最近、特に言える傾向として、最上の顧客体験を提供するためには、店頭からフルフィルメント、バックオフィスからサービスなど、あらゆるタッチポイント間での協調が取られた取り組みが必要になっています。そのためには、CRM と ERP の間の境界線をなくし、あらゆる人が洞察に基づいて、イノベーションを行い、状況に迅速に追随できるよう支援することが必要です。

Teams と Dynamics 365 の組み合わせにより、コラボレーションとビジネスプロセスを結び付ける統合プラットフォームが提供されます。Microsoft Ignite では、組織全体のワークフローを強化する新たな統合機能、そして、あらゆるチャネルとタッチポイントにおいてパーソナライゼーションを提供する Dynamics 365 Marketing のオーケストレーション機能などを発表します。

また、新アプリケーション Dynamics 365 Intelligent Order Management を発表します。このアプリケーションにより、組織は、オムニチャネルのフルフィルメントを再構築して複雑な課題に対応すると共に、カーブサイドピックアップなどの新たな配送法に対応できるようになります。

革新的ソリューションを容易に構築できるローコードの体験

Power Platform により、あらゆる人が、技術的能力にかかわらず、アプリを構築し、面倒なプロセスを自動化できます。昨年には、ローコードのアプリや自動化機能を開発するシチズンデベロッパー、および、プロフェッショナル向け開発ツールとは別の領域でローコードによる生産性向上を期待するプロフェッショナル開発者における急速な普及が進みました。

Ignite で、マイクロソフトは、Power Platform の 2 つの主要アップデートを発表します。3 月 2 日から、時間を要する手作業を容易に自動化できる RPA (Robotic Process Automation) 機能を提供する Microsoft Power Automate Desktop が Windows 10 上で追加料金なしで利用できるようになります。

また、新たなオープンソース言語 Microsoft Power Fx を発表します。これは、Microsoft Excel をベースにしたローコード言語です。Power Fx により、ビジネスユーザーからプロフェッショナル開発者に至る多様な人々が、既に数億人の人々に使用されている数式を用いて、既に習得したスキルを活かしながらローコード開発を行うことができるようになります。

3 つの新たな業界向けクラウド

先週、マイクロソフトは、製造業、金融サービス、非営利セクター向けの 3 つの新たなクラウドを発表し、業界向けソリューションへの投資を拡張しました。これは、既に提供されているヘルスケア業界向けクラウド、そして、現在プライベートプレビュー中の小売業向けクラウドに続く投資です。

業界向けクラウドとは何でしょうか?その業界独自の言葉を話すクラウドだと考えてください。マイクロソフトの業界向けクラウドにより、組織は迅速に適切な意思決定を行えるようになり、俊敏性と効率性を向上し、クラウド投資の価値を早期に享受できるようになります。また、組織が顧客と従業員に提供する体験の質も向上します。

Microsoft Ignite において、お客様は業界向けクラウドの情報を入手し、今後提供されるプレビューへの参加方法を知ることができます。

Ignite にご参加ください

盛りだくさんの内容を紹介してきました。もし、ライブでご覧になれなかった場合には、サティアの基調講演のアーカイブ、そして、マイクロソフトのニュースページをご参照ください。新しいお客様の事例もあります。また、300 以上のセッションをバーチャルで視聴可能です。

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