Business Applications and Global Industry 担当コーポレートバイスプレジデント アリサ テイラー (Alysa Taylor)
※ 本ブログは、米国時間 2 月 24 日に公開された New industry clouds offer launchpad for innovation の抄訳を基に掲載しています。
この 1 年は世界中で破壊的変化が起きました。あらゆる業界の企業が生き残りに必要な回復力と俊敏性の獲得のためにデジタルテクノロジを採用し始めました。今ほど大規模な変革が緊急に求められている時はありません。
この動きに対応し、マイクロソフトは、イノベーションの出発点として機能する業界向けクラウドを提供することで、お客様とパートナーとのサポートと共創を短期的にも長期的にも加速しています。
本日、マイクロソフトは、この取り組みにおけるマイルストーンとして Microsoft Cloud for Financial Services、Microsoft Cloud for Manufacturing、Microsoft Cloud for Nonprofit という 3 種の業界向けクラウドを新たに発表します。また、Microsoft Cloud for Healthcare に対する最初のアップデート、そして、1 月に全米小売業協会のイベント NRF 2021 で紹介した Microsoft Cloud for Retail のパブリックプレビュー開式時期も発表します。
マイクロソフトの業界向けクラウドは、共通データモデル、クラウド間コネクタ、ワークフロー、API、業界特有のコンポーネントや標準を、Microsoft 365 と Teams、Azure、Microsoft Power Platform、Dynamics 365、セキュリティソリューションといったマイクロソフトの広範なクラウドサービスと組み合わせることで構築されています。これらの業界向けクラウドを通じて、誰もが価値を迅速に提供し、変化する環境に迅速に追随し、将来を見据えて構築し、中核機能としてセキュリティを維持できるようになることを目指しています。
業界別ソリューションに対するマイクロソフトの多大な投資は最近に始まったことではありません。社内の各部門で業界の専門家がマイクロソフトの従業員に重要な支援を行ってくれています。医師がエンジニアリングチームと共にヘルスケアの課題に取り組み、小売企業の幹部が新たな顧客体験を構想し、金融専門家がフィンテック、銀行業務、決済業務の理解を助けてくれ、非営利団体のリーダーが他者を支援するためのマイクロソフトのビジョンとソリューションを形成してくれています。
業界特有の課題を念頭において開発されたこれらのクラウドにより、組織は、迅速なスタートを切り、かつてないスピードで価値を提供できるようになります。これは、マイクロソフトのクラウドサービスの広範なポートフォリオに向けた拡張性を提供することで、お客様が最も緊急性が高い領域からテクノロジによる変革を始められるようにできるからです。
また、マイクロソフトのパートナーエコシステムの幅広さと深さにより、パートナーに新たな市場機会が提供され、業界別ソリューションの実現が適切に補完されます。パートナーは、お客様の独自のニーズに対応するソリューションに必要なイノベーションと専門知識を提供してくれます。
これらの業界の組織に対して本日の発表が意味すること、そして、これらの新たなクラウドがパートナーにとっても重要な機会であるとマイクロソフトが考えている理由を以下に述べます。
金融サービス: 最高レベルのセキュリティとコンプライアンスを中核に備えた総合的サービスを直ちに利用可能に
金融サービス業界は古くからある業界ですが、過去数年間に、Eコマース、フィンテック、暗号通貨などの動向により大きな変化を経験しました。既に物理店舗からデジタルサービスへのシフトが起きていましたが、グローバルなロックダウンによりこの動向がさらに加速しています。
Microsoft Cloud for Financial Services は、マイクロソフトのソリューション、独自のテンプレート、API、業界特有の標準機能と、多層型のセキュリティとコンプライアンス機能とを組み合わせ、差別化された顧客体験を提供し、従業員のコラボレーションと生産性を向上し、リスクを管理し、基幹システムを現代化します。これらの機能を使用することで、リテールバンクは、顧客の全方位的視点による洞察の向上とネクストベストアクションの提示を実現し、デジタルコラボレーションをプロセスワークフローに取り込んで現状のリアルタイムの可視性を獲得し、引き継ぎ作業を単純化し、不正防止のための洞察を強化できます。これらにはすべて、金融サービス組織が自社システムの現代化のために必要とするスケーラブルでハイブリッドな展開オプションが提供されます。
たとえば、新機能 Loan Manager により、融資担当者は、オートメーションとコラボレーションによってワークフローの合理化と透明性の向上を実現することで契約締結を迅速化できます。これは、あらゆるものがリモート化する今日、きわめて重要な機能です。パブリックプレビューが 2021 年 3 月から開始される予定であり、ABN AMRO や Manulife などのお客様が既に一部機能の利用を開始しています。
製造業: インテリジェントシステムとアジャイルな工場
製造業企業は長年の間、データ駆動型のオートメーション、IoT、機械学習、AI への移行を進めてきました。2020 年はこれらの機能が如何に重要かを示してくれたと言えるでしょう。工場が停止してしまえば、どれほど高度にジャストインタイム化したサプライチェーンでも影響は避けられません。
6 月末にパブリックプレビューが利用可能になる Microsoft Cloud for Manufacturing は、製造業のコアプロセスと独自の要件をサポートできるよう設計されています。このエンドツーエンドの製造業向けソリューションは、マイクロソフトの製品ポートフォリオの新旧機能とパートナーソリューションを組み合わせ、人々、資産、ワークフロー、ビジネスプロセスをシームレスに統合し、組織の回復性を向上します。
これらの機能の多くが、企業コンソーシアムにより英国の人工呼吸器製造能力を週あたり 50 台から 1,500 台 へと増加させる取り組みである VentilatorChallengeUK で活用されました。Accenture、Avanade、PTC、Siemens といったパートナーがマイクロソフトの製造業向けクラウド機能を活用して対応しました。
非営利団体: ミッションの実現を加速
非営利団体は世界中の困難な課題の多くに対応し、あらゆる地域社会に対して重要なサービスや支援活動を行っています。しかし、非営利団体がつぎはぎ型のシステムや散逸したデータの扱いに苦慮することもよく見られます。Microsoft Cloud for Nonprofit は、非営利団体のスタッフやボランティアが最も重要なミッションにフォーカスできるようにするために統合されたインテリジェントなプラットフォームを提供します。
6 月末にパブリックプレビューが開始される予定の Microsoft Cloud for Nonprofit はマイクロソフトの高信頼性クラウド機能を組み合わせ、啓蒙活動、プログラムの設計と提供、ボランティアの管理、資金確保といった非営利団体に共通するシナリオに対応します。これらはすべて非営利団体に共通するデータモデルにより統合されています。
Right To Play は、遊びを通じた子供たちの保護、教育、支援にフォーカスしたグローバルな NGO です。同団体は、Microsoft Cloud for Nonprofit の機能を活用し、月あたりの寄付者数を 100 人から新たに 3,000 人以上へと拡大し、組織のつながりを深め、世界中の 200 万人以上の子供たちを支援するプログラムの質を向上しています。
小売業: 物理店舗とデジタルの境界が不明確に
小売業は常に変化し続ける業界ですが、過去 12 カ月間にオンライン販売の急増、顧客ロイヤルティ動向の変化、BOPIS (Buy Online, Pick up In Store: 店頭受取サービス) 及び建物に入らない受取サービスの台頭により、その変化のペースはさらに急速になりました。
Microsoft Cloud for Retail は、小売業のバリューチェーンの多様なデータソースを組み合わせ、より効果的にパーソナイズされた体験を提供し、持続的利益性確保のために業務を最適化する機能により、買い物客の全体的体験を独自に統合します。
小売業企業は、この業界向けクラウドを活用することで、よりターゲットが定まった顧客への推奨や通知が行えるようになり、フルフィルメントの選択肢を拡大し、支払い処理を単純化し、総合的な不正防止による利益を得られます。現在プライベートプレビュー中の Microsoft Cloud for Retail のパブリックプレビューは 3 月に利用可能になります。
Lids は、既に、Dynamics 365 Commerce などのクラウド上のマイクロソフト製品を活用し、売り上げとサプライチェーンの可視性を向上し、POS システムを現代化しています。Lids の製品とパートナーシップ担当シニアバイスプレジデント、ブリテン モーガン (Britten Maughan) 氏は「当社の店舗、商品、マーケティングシステムを統合し、データを最大限に活用できるようにするための重要ツールとして Microsoft Cloud for Retail に大いに期待しています」と述べています。
ヘルスケア: 将来の課題に備えて回復力を向上する
昨年、マイクロソフトは Microsoft Cloud for Healthcare を発表しました。そして、本日、最初のアップデートが 4 月に提供されることを発表します。このアップデートでは、8 言語の追加サポート、バーチャルヘルス、リモート患者監視、介護作業調停、患者セルフサービスなどの新機能が提供されます。
パートナー企業 Avtex の専門知識を活用し、Mary Washington Health System は Microsoft Cloud for Healthcare 上で構築されたソリューションを展開しています。このソリューションにより、プロバイダーは、不急の治療をキャンセルまたは延期していた患者と安全に接続できるようになります。このようなソリューションにより、患者はヘルスケアプロバイダーと再接続し、遅延していた治療を再開できます。また、パンデミック以降の世界におけるヘルスケアプロバイダーの復旧にも貢献します。
マイクロソフトの業種別クラウドのビジョンを支える中核要素
お客様、そして、パートナーのグローバルなエコシステムに対して、マイクロソフトは常に信頼できるアドバイザー、パートナー、コイノベーターであり続けます。本日のニュースは、あらゆる組織が常に変化する現実に適応するために必要な業界向けクラウドを提供するというマイクロソフトの取り組みの次のステップに相当します。これらの発表内容に共通する以下の 3 要素により、マイクロソフトは業界向けソリューションのビジョンを他の企業を凌駕して実現できます。
第 1 に、マイクロソフトの業界別ソリューションへのアプローチは、より多くのことを達成できるよう人々を支援することが中心になっています。あらゆる業界のあらゆる組織が、目標達成のために個人の勤勉さと創造性に依存しています。マイクロソフトの業界ファーストのアプローチにより、問題に最も近い所にいる人々にその解決のためのソリューションを提供することができます。これにより、マイクロソフトと協業する組織は迅速に動き、より適切な意思決定を行い、最終的に、より優れた体験を提供できるようになります。
第 2 に、マイクロソフトのアプローチは、パートナーシップのパワーを立証しています。マイクロソフトのグローバルなエコシステムは、専門知識の蓄積、ほとんどのシナリオや機能に対応できる高付加価値のソリューション構築という点で比類がありません。マイクロソフトは、業界トップクラスの独立系ソフトウェアベンダーとシステムインテグレーターと協業し、お客様のビジネス課題解決に必要なソリューションを提供します。
最後の点として、マイクロソフトはセキュリティ、コンプライアンス、信頼性に深くコミットしています。マイクロソフトの製品やサービスはエッジからクラウドに至るまで業界標準を活用し、90 以上の認証を獲得すると共に、35 以上の業界特有のコンプライアンス関連製品を提供しています。これは、パートナーにとっても、自身の認証獲得の負担を軽減しながら、市場機会に投資し、ビジネス規模を拡大できる点で価値をもたらします。さらに、マイクロソフトの顧客データに対するアプローチは信頼性のコミットメントを裏付けるものです。顧客データはお客様のものであって、マイクロソフトのものではありません。
世界の複雑性は日々増加しています。そして、あらゆる企業が俊敏性と回復性を獲得しようと努力する中、2020 年における教訓も明らかになってきました。これらの企業は、マイクロソフトと協力し、これらの複雑性の課題を解決し、より迅速に動き、適切なイノベーションを行い、成功につなげようとしています。
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