マラ アナンド (Mala Anand)
カスタマーエクスペリエンス&サクセス担当バイスプレジデント
兼 Women at Microsoft 担当エグゼクティスポンサー
※ 本ブログは、米国時間 3 月 1 日に公開された ”Empowering her empowers all of us” の抄訳を基に掲載しています。
私がエンパワーメントへの道のりを歩み始めたのは 17 歳の時です。あの時私は生まれて初めてムンバイ空港に立ち、自宅から 8000 マイルも離れた場所へと旅立つ準備をしていました。ロータリー青少年交換奨学金を受け、高校 3 年生で米国に留学することになったのです。出国審査を通過して後ろを振り向くと、両親が目に涙を浮かべ手を振っている姿が見えました。その場を離れた私は、両親が私のことをどれだけ信頼してくれていたかを思い返していました。
インドの若い女性が、これほど早く実家を出て遠方での冒険に乗り出すことなどありえないと考えられていましたが、両親は私に多大な信頼を寄せ、サポートしてくれました。私の可能性を見抜き、伝統に縛られることなく自らの道を歩むよう励ましてくれたのです。両親の支えと揺るぎない信頼のおかげで私は自立することができ、家族や友人、そして当時慣れ親しんでいたことから離れ、今まで経験したことのない文化に 1 人で飛び込むことができました。最終的に私は米国に残り、エンジニアリングに対する情熱を追求することにしました。
人の能力を引き出すべきだという私の信念は、両親の影響によるところが大きく、人が自分の意見を持って自信を持てるようにし、可能性を最大限発揮できるよう支援することは、リーダーである私の役目として欠かせないことだという考えも、両親の影響を受けていると思います。
女性のエンパワーメントが社会としての勝利につながる
世界では、多くの女性が自分の可能性を十分に発揮できない状況が続いています。意図的な偏見や無意識な偏見により、少女や女性の機会の前には実際の壁と感覚的な壁が立ちはだかっているのです。伝統的な女性としての役割や社会が求める考え方によって、女性は労働力としてみなされないケースや、キャリアパスを変えざるを得ない状況に置かれています。私自身も、このような偏見によって意思決定や認識、態度、反応が大きく変わる状況を目の当たりにしてきました。
こうした体系的な障壁は、新型コロナウイルス (COVID-19) の感染が爆発的に広がる中でより高まっており、女性が担当する比率の高いサービス業や芸術、有料介護といった分野に深刻な影響が及んでいます。学校閉鎖や保育サービスの制限が追い打ちをかけたことで、多くの女性は職場を去る決断を迫られ、コミュニティの端に追いやられた女性は高い確率で影響を受けています。ただし、これは女性だけで取り組むべき問題ではないということも皆わかっています。これは、コミュニティの繁栄を望む人すべての問題なのです。
女性が十分に社会貢献できるよう力を与えられれば、社会全体にメリットがあるということは歴史的にも証明されています。女性の社会進出が進んだことから、20 世紀は多くの分野で経済成長が促進されました。USAID では、男性と同じ人数の女性が働けば、世界の GDP は 2025 年までに 12 兆ドル成長すると試算しています。
エンパワーメントの実現に向けた明確な方向性としてひとつ挙げられるのは、テクノロジなど高いスキルを必要とする職業に、より多くの女性が就けるようにすることです。世界のデジタル化が進む中、あらゆる分野で技術的スキルを持った労働者が求められるようになります。マイクロソフトは長年にわたり、世界中の女性や少女のテクノロジ利用促進に向けた取り組みを実施しています。まず若者向けの TEALS プログラムでは、学校に技術教育に関するリソースを提供しており、テクノロジに対する情熱とスキルを構築するプログラムとして 20 年目を迎えた DigiGirlz プログラムは、92 ヶ国にて 6 万 5000 人以上の少女に影響をもたらしています。また、パンデミックによって一部の労働市場が深刻な打撃を受けていることから、マイクロソフトでは Global Skills Initiative を立ち上げ、世界中で 2500 万人の人がデジタルスキルや資格を取得し、新たな仕事を見つけられるよう支援しています。私の母国インドでも、マイクロソフトは NASSCOM Foundation およびスキル開発&起業家精神省 (Ministry of Skill Development and Entrepreneurship) と協力し、2000 人の若い女性がマイクロソフトの資格を取得できるようトレーニングを提供しています。このことは私の誇りでもあり、ありがたく思っています。
まずは共感から始めよう
エンパワーメントは他にもさまざまな形で実現可能です。マイクロソフトでは、あらゆる性別や背景を持つ人が成長できるよう支援し、従業員やお客様、パートナー、コミュニティにとって重要な時にエンパワーメントができるような状況を作り出したいと考えています。
重要なのは、あらゆる性別の人がつながりを持ち、連携できるような環境を育むことです。お手本となる人がいたり、相談相手がいたり、自信をもたせてくれる人がいたりすると、人の成長に大きな影響をもたらすことが多いものです。マイクロソフトでは、Women at Microsoft という社員グループがその役割を担っています。同グループでは、エグゼクティブによるスピーチイベントやメンターによる指導、リーダーシップ開発、スキル共有プログラムなどを開催しています。こうした取り組みにより、従業員はお互い支え合うことができ、お客様やパートナー、コミュニティに対する効果的なエンパワーメントも可能になるのです。
また、次世代の女性テクノロジーリーダーの成功を支援することも重要だと感じていることから、マイクロソフトでは M12 Venture Fund によって毎年女性創業者コンテスト (Female Founders Competition) を開催し、女性が率いる企業に創業資金を提供するとともに指導を行い、技術エコシステムの中でビジネスを成長させる支援をしています。
このほかにもマイクロソフトでは、あらゆる性別の人に対する平等推進にコミットしており、その取り組みを支える従業員ポリシーからもエンパワーメントが生まれています。パンデミックによって、社会規範を変え家族全員のニーズをサポートすることの必要性が浮き彫りになりました。マイクロソフトでは、共感およびケア対策として全社的にマネージャーを外出禁止とし、柔軟な対応ができるようにしました。12 週間の Pandemic School Closure and Childcare Leave (パンデミックによる休校および育児のための休暇) を必要とする保護者に提供したのもその一環です。性別に関係なくすべての従業員が有給休暇をもらえることになれば、育児に対する固定概念が弱まり、女性だけが家族を優先しなければならないというプレッシャーもなくなります。自分のコアバリューで生き抜く効率的な方法はエンパワーメントだと私は強く信じています。
解決策は幅広く用意されていることから、この針を動かすには各個人が自分の役割を果たさなくてはなりません。全員が共感するところから始め、行動に移すよう真摯に努めるようにすれば、あらゆる立場の女性に最も意味のある形で成長の機会が与えられます。行動を起こす方法には、青少年教育プログラムに時間を割くことや、中堅社員の技術スキルプログラムの支援、メンターになること、さらには単純に周りの女性に寄り添うことなども含まれます。
女性の歴史月間である 3 月は、女性がこれまでに達成したことを振り返るだけでなく、すべての女性が今後も繁栄を続けるにはどうすればいいか前向きに考える機会でもあります。私は幸運にも両親からこのようなインスピレーションや自信、そして自由を与えられたことで、目標とするキャリアを達成できており、この状況をペイフォワード (善意を他人に回す恩送り) するべきだと強く感じています。私たち 1 人ひとりが自分の役割を果たすことで、世界中のすべての女性の自由と自信を高めることができれば、それが多大な影響力へとつながり、コミュニティや社会全体に永続的なメリットが生まれます。エンパワーメントによって創造的な問題解決が実現し、社会や世界に対し飛躍的な貢献ができるようになるのです。
女性のエンパワーメントが、すべての人のエンパワーメントへとつながっていくのです。
Microsoft.com/WomensHistoryMonth では、女性が自らエンパワーメントを実現したストーリーや、さまざまな人に対するエンパワーメントについてのストーリーをご覧いただけます。
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