どこでも稼働するクラウドネイティブアプリケーションの構築

ゲイブ モンロイ (Gabe Monroy)
Azure Developer Experience 担当バイスプレジデント

※ 本投稿は、米国時間 5 月 25 日に公開された “Build cloud-native applications that run anywhere” の抄訳を基に掲載しています。

世界の開発者人口は、2030 年に現在よりも 4,450 万人多い、7,150 万人に達すると推定されています。1 新しい開発者は、それぞれが世界に向けて発信したいアイデアやイノベーションを心に抱いています。マイクロソフトの使命は、この次世代の開発者に世界最高水準のツールとクラウド・サービスを提供し、未来のアプリケーションの構築を支援することです。

これらの未来のアプリケーションは、高度なインサイトを提供する AI を取り込んだインテリジェントなものになり、世界中のオープンソーステクノロジやライブラリを取り入れ、高負荷時の信頼性と安全性を設計思想として実現し、開発者のアイデアをコードやクラウドへシームレスに変換できるようなツールによって構築されるでしょう。

Microsoft Azure を使用されるお客様は、コンテナ、Kubernetes、マイクロサービス、サーバーレス機能、API セントリックデザインなどのクラウドネイティブテクノロジを活用して、未来のアプリケーションを構築しています。

    • Mercedes Benz は、顧客がメンテナンスに来店しなくて済むよう、無線でアプリケーションを動的に配信することで、お客様の車内体験を向上しています。
    • PwC は、数週間ではなく数秒で文書をマイニングし、分析できる AI を搭載したシステムを使ってクライアントのコンプライアンスを支援しています。
    • Bosch は、高速道路で車が逆走した際に数ミリ秒内に近くのドライバーに警告するシステムによって人命救助に貢献しています。

マイクロソフトのお客様が Azure 上のクラウドネイティブテクノロジの活用で成功を収めたことで、多くのお客様が他の環境でもその成功を再現しようとしています。これらのお客様は、Azure 、オンプレミス環境、エッジ、そして AWS や Google Cloud などの他社クラウド上でもクラウドネイティブなワークロードのためのクラス最高の開発と管理の体験を求めています。

Azure Application Services: アプリをどこでも稼働

本日、Azure Application Services Kubernetes 上で、Azure、オンプレミス、AWSGCP のどこでも稼働可能にする機能プレビューを発表できることをうれしく思います。Azure Arc を介して接続された CNCF 準拠の任意の Kubernetes クラスターが、Azure Application Services のデプロイメントターゲットとしてサポートされるようになりました。

Azure Application Services は、互いに連携して動作するように設計されており、開発者の生産性を高めるために高度に最適化されています。サービスには以下が含まれます。

    • Azure App Service は、完全に管理されたプラットフォーム、そしてオートスケーリング、デプロイメントスロット、統合された Web 認証などの機能によって、Web アプリケーションや API の構築と管理を容易にします。
    • Azure Functions は、最先端のオートスケール、他の Azure サービスとの統合のためのトリガーやバインディングによって、イベントドリブンなプログラミングを容易に実現します。
    • Azure Logic Apps は、400 種以上のコネクタライブラリにより、アプリ、データ、サービス、バックエンドシステムを統合するための自動化されたワークフローを生成します。
    • Azure Event Grid は、任意のソースから任意のデスティネーションへのイベントのルーティングを管理する単一のサービスを提供し、イベントベースのアプリケーション構築を簡素化します。
    • Azure API Management は、内部および外部のすべての API に対して、統一された管理体験と完全な監視性を提供します。

これらのクラウドネイティブのアプリケーションサービスは、それぞれが GitHub や Visual Studio Code と深く統合されているため、開発者は Azure 上の未来のアプリケーションを迅速に構築することができます。

Kubernetes のコントールと Application Services の生産性

マイクロソフトがお客様から継続的に伺っている課題の一つに、Kubernetes のコントロール機能の強化やエコシステム上のメリットにもかかわらず、開発者にとって Kubernetes の直接的な使用は依然として複雑であるという点があります。開発者は多くの高度な概念や API を学ぶ必要があり、生産性を低下させています。

本日の発表によって、開発者は、Azure Application Services の生産性と Kubernetes のコントロールによるメリットからいずれかを選択する必要がなくなりました。

手順を簡単にご紹介しましょう。通常の開発ワークフローを使用して新しい Azure Function を作成し、ストレージキューのトリガーなどの統合機能を使用して、Azure リージョンではなく Kubernetes クラスターをターゲットにします。すると、Azure Functions ポッドが他のワークロードと一緒に Kubernetes モニタリングダッシュボードに表示されます。Azure 上での生産的な開発体験が、Azure Arc を介して接続された任意の Kubernetes クラスター上でも提供されます。詳細についてはこちらをご参照ください。

Azure Arc によってアプリをどこでも稼働

開発者が、オンプレミス、エッジ、マルチクラウドなど、より多くの環境をターゲットにし始めるたことで、アプリケーションホスティング、データホスティング、モニタリング、セキュリティ、DevOps オートメーションなどのカスタムソリューションの構築の必要性が増しています。ホスティング環境に対応するためだけにカスタムソリューションを生成しなければならないのは非生産的であり、信頼性を損ないます。

本日の発表によって、開発者は、Azure Arc で実現されるポータブルなアプリケーションサービスを利用して、ハイブリッドアプリケーションの構築時間を短縮できるようになります。また、Azure PostgreSQL や Azure SQL などの Arc 対応のデータサービスと組み合わせることで、アプリケーションとそのデータの両方が、完全に管理されたクラウドサービスを利用してどこでも稼働できるようになりました。これは、業界初のことです。

Azure や Azure Arc を使ったアプリケーションサービスを試してみたいと思われる場合は、GitHub 上の新しいシナリオベースのアクセラレーターですぐに始められます。

オンプレミスとクラウドでアプリを一貫して管理

先日、お客様が環境にかかわらずワークロードを管理し、統制できるようにするための、Arc 対応版 Kubernetes の一般提供開始を発表しました。Siemens Healthineers は、Azure Arc の GitOps 機能を利用することで、数万カ所の Kubernetes クラスターを展開・管理し、世界 70 カ国の病院にある MRI スキャナー、CT スキャナー、X 線装置、超音波装置の保守を支援することができるようになりました。Azure Arc は、CNCF に準拠したあらゆる Kubernetes クラスターと連携し、Azure Portal による一元的な可視化と、Azure Policy によるガバナンスおよびコンプライアンスを実現するための単一の管理画面を提供します。

マネージドな Kubernetes コントロールプレーンを求めているお客様のために、本日、AKS on Azure Stack HCI の一般提供開始を発表します。AKS on Azure Stack HCI によって、お客様は、Azure Kubernetes Service (AKS) と互換性があり、マイクロソフトがフルサポートし、オープンソースのエコシステムに 100 パーセント準拠した Kubernetes クラスターを容易に展開することができるようになりました。AKS on Azure Stack HCI の展開は、わずか数クリックで完了します。Azure Stack HCIクラスターは初期状態から Arc 対応済みであり、組み込み型セキュリティ、使い慣れた管理ツール、Azure との深い統合を提供します。AKS on Azure Stack HCI の詳細についてはこちらをご参照ください。

クラウドネイティブな技術を扱う開発者にとって、今はとてもエキサイティングな時代です。これらの発表やクラウドネイティブ分野のイノベーションについての詳細情報については、Microsoft Build 2021 における私のテクニカルセッション “Build cloud-native applications that run anywhere” (どこでも稼働するクラウドネイティブアプリケーションの構築) を是非ご聴講ください。皆さんがこれから何を作っていくのか、楽しみにしています!


1: 出典: Arnal Dayaratna, PhD., IDC Analyst

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