人種平等イニシアチブ: 1 年間の取り組みで成し遂げたこと

リンジー-レイ マッキンタイア (Lindsay-Rae McIntyre)
マイクロソフト チーフダイバーシティオフィサー

※本ブログは、米国時間 6 月 21 日に公開された “Racial Equity Initiative: A year of progress on our commitments” の抄訳を基に掲載しています。

人種的不平等に立ち向かうにあたり、マイクロソフトが今後 5 年間で取り組む内容を提示してから 1 年が経ちました。この取り組みは、個人として、また組織として、正当性と公平性に向けてやるべきことが緊急性の高いものであり、意図的かつ持続的に実施しなくてはならないという信念に基づいたものです。これは、1 年の中で特定の時期にだけ気にかけるものでもなく、人生の中で特定の年にだけ関心を持てばいいというものでもありません。マイクロソフトはこの件に関して継続的な調査に取り組んでおり、できる限り情報を得て効果的かつ持続的に変化を起こそうとしています。

マイクロソフトのアプローチは、財政投資とテクノロジ、そして知的資本を組み合わせ、社内での実体験を向上させるための有意義な進歩を遂げつつ、米国での組織改革を推進するというものです。この取り組みには、以下の 3 点が含まれます。

  • 幅広い人種を象徴する人員構成とインクルージョンの強化を目指します。マイクロソフトでは、1 億 5000 万ドルの追加投資により、ダイバーシティ&インクルージョンを活性化しています。今後もインクルージョンの文化を強化し、2025 年までに米国で黒人およびアフリカ系アメリカ人、そしてヒスパニックおよびラテン系のピープルマネージャーや上級社員、シニアリーダーの数を倍増させる予定です。
  • サプライチェーンや銀行系パートナー、パートナーエコシステムとの関係性を進化させます。より強力でより生産的なエコシステムの構築には、コミュニティの多様性を高める必要があると考えているためです。
  • データやテクノロジ、パートナーシップを活用してコミュニティを強化します。これによって米国の黒人およびアフリカ系アメリカ人コミュニティへの人種的不平等や不公平に対処し、当社の従業員とそのコミュニティの安全とウェルビーイングを向上させます。

従業員も、お客様も、パートナーも、マイクロソフトがどのような進化を遂げているのか、そして何を学んでいるのかを把握し、当社の方向性を見極めたいと考えていることでしょう。そこで今回、多くの人の努力を代表して、3 分野の取り組みにおける現状をお知らせしたいと思います。今後も進展があれば、こちらで最新情報やリソースをお伝えしていきます。

幅広い人種を象徴する人員構成とインクルージョンの強化

進捗状況に関する説明責任: 2025 年までに米国における黒人およびアフリカ系アメリカ人、そしてヒスパニックおよびラテン系のピープルマネージャーや上級社員、シニアリーダーの数を倍増する取り組みについては、その数値達成に向け順調に進んでいます。

  • 黒人およびアフリカ系アメリカ人のピープルマネージャー (ディレクターより下の役職) については、2025 年の目標に対し 64.0% 達成した段階です。
  • 黒人およびアフリカ系アメリカ人のディレクター以上 (ピープルマネージャーおよび上級社員) については、2025 年の目標に対し 35.7% 達成した段階です。
  • ヒスパニックおよびラテン系のピープルマネージャー (ディレクターより下の役職) については、2025 年の目標に対し 20.9% 達成した段階です。
  • ヒスパニックおよびラテン系のディレクター以上 (ピープルマネージャーおよび上級社員) については、2025 年の目標に対し 20.4% 達成した段階です。

過去 5 年間で、マイクロソフトは全社員層と役職での多様性が高まっており、それは 2020 年版ダイバーシティ&インクルージョン (D&I) データ開示報告書にも示されています。2021 年秋には 2021 年版 D&I データ開示報告書を発行する予定です。

ただし、この取り組みは数字を超えた、個人、文化、組織の改革を推進する有意義で持続可能な方法へとつながるものだと考えています。ここで、当社の取り組みに関する最新情報をご紹介します。

インクルージョン文化: マイクロソフトでは、職場でのアライシップ、カバーリング、特権に関する D&I 学習コースの受講を必須としており、過去 1 年でその修了率が 92% を超えました。黒人およびアフリカ系アメリカ人の職場体験にフォーカスしたエグゼクティブ D&I 会談の試験運用も開始し、今年はヒスパニックおよびラテン系の職場体験に関する会談の試験運用も開始します。これは、幹部がアイデンティティやコミュニティ、地域に関して議論を始めたことを示すもので、今後もこの取り組みを拡大していく予定です。

また、3 月 17 日と 18 日には社内外の D&I イベント「Include 2021」を開催しました。同イベントでは 110 以上のセッションが行われ、185 ヶ国から 7 万人が登録しました。また、新しく Microsoft Inclusion Journey というサイトを立ち上げ、その一環としてイベントのコンテンツをオンデマンドで視聴できるようにしました。同サイトでは、マイクロソフトの社内 D&I 学習コースの一部を、パートナーやお客様、ベンダー、開発者といった幅広いエコシステムで共有する取り組みも進めています。今後も数ヶ月以内に新たなコンテンツやトピックを追加していく予定です。

キャリアプランニングと人材開発: 中間管理職および上級管理職のリーダーシップ開発プログラムを 20 件立ち上げました。来年以降もより高レベルのプログラムを用意する予定です。細分化された開発プログラムは、学習と成長に向け心理的な安心感をもたらすことから、従業員体験とキャリア開発にプラスの効果がありますが、これは全従業員を対象とした学習および開発プログラムの一部に過ぎません。このプログラムはオプトイン方式で、参加者のマネージャーにも並行して行われるプログラムへの参加が求められます。ここでマネージャーは、部下を理解しサポートする方法を把握し成長することになります。

エコシステムへの取り組み

エコシステムへの取り組みに関する目標達成についての最新情報は以下の通りです。これには、社会的変化を促進するにあたり、当社のバランスシートや、サプライヤーおよびパートナーとの関係を活用することも含まれます。

サプライヤー: 黒人およびアフリカ系アメリカ人が経営するサプライヤーが増えており、全体的なサプライヤー体験についても好意的なフィードバックを受けています。マイクロソフトでは、機密扱いの調査として任意の職場多様性調査を実施したほか、サプライヤーのダイバーシティプログラムを把握するため、Diversity Equity & Inclusion (多様性、公平性、インクルージョン) 成熟度フレームワーウも導入しています。今後もマイクロソフトは調達方針とその実施方法を継続的に改善し、購買プロセスに多様なサプライヤーを取り入れインクルージョンを高めたいと考えています。

銀行関連: 昨年の会計年度、マイクロソフトでは黒人およびアフリカ系アメリカ人の経営する金融機関との取引量の比率が 2 倍以上高まりました。また、黒人およびアフリカ系アメリカ人の経営する少数民族所有預貯金取扱金融機関 (MDI: Minority Owned Depository Institution) への預金額を増やし、地域社会への資金提供を増加させています。また、以下の投資も実施しました。

パートナー企業: 昨年の会計年度、マイクロソフトのパートナーネットワークでは黒人およびアフリカ系アメリカ人が経営するテクノロジパートナーが急増しました。また、Black Women Talk Tech や Black is Tech、Black Men in Tech、AfroTech/Blavity、Black and Brown Founders といったテクノロジコミュニティとも積極的にパートナーシップを構築しています。

さらに、Black Channel Partner Alliance というコミュニティを立ち上げ、Microsoft Cloud のパートナーとなる際のオンボーディングを支援、マイクロソフトとの共同販売というパートナーのメリットを享受できるようにしています。このほかにも、融資に関するプログラムを立ち上げ、支払期間を延長してキャッシュフローのニーズに対応したり、マイクロソフトの支援による無利子ローンでより多額の資金を入手できるようにしたりしています。

コミュニティの強化

マイクロソフトでは、データやテクノロジ、パートナーシップの力を活用してコミュニティを強化しようと取り組んでおり、これによって全米の黒人およびアフリカ系アメリカ人の生活を向上させたいと考えています。これは、以下に挙げる取り組みの中で、さまざまな人に力を与え、拡張性の高い解決策を推進していくという考えに基づいています。

司法改革: マイクロソフトでは、5 年間で 5000 万ドルという継続的な取り組みにより、地域社会と協力してより公平な司法制度を目指したいと考えています。特に、警察活動や投獄の代替手段、検察改革に注力しており、不必要・不公平に司法制度の中に取り込まれてしまう人の人数を減らし、制度内の格差を削減し、安全で繁栄するコミュニティが構築できるよう支援することを目指しています。

ブロードバンド: マイクロソフトは、黒人およびアフリカ系アメリカ人のコミュニティにおけるブロードバンド格差が特に大きい米国 8 都市に対して Microsoft Airband Initiative を拡大し、デジタル経済への参加を支援しています。インターネットサービスプロバイダーやその他のパートナーと協力して安価なブロードバンドを提供しているほか、低価格デバイスを提供するプログラムやデジタルスキルを向上させる取り組みにも協力しています。

スキルと教育: マイクロソフトはグローバルスキルイニシアチブの一環として、黒人およびアフリカ系アメリカ人のコミュニティが運営している非営利団体や、そのようなコミュニティを支援している非営利団体で、より多くの人が 21 世紀の仕事に必要なデジタルスキルを身に着けられるよう取り組んでいるコミュニティベースの団体に助成金を提供しています。また、当社の Technology Education and Literacy in Schools (TEALS) プログラムと、歴史的に黒人の多い大学 (HBCUs: Historically Black Colleges and Universities) との継続的なパートナーシップにより、黒人およびアフリカ系アメリカ人の高校生・大学生を対象としたコンピュータサイエンスとデータサイエンスのカリキュラムを拡充する予定です。

非営利団体: マイクロソフトは 2020 年秋に開始した Nonprofit Tech Acceleration (NTA) イニシアチブを急速に拡大し、黒人およびアフリカ系アメリカ人のコミュニティに対して重要な人的・社会的サービスを提供するコミュニティベースの非営利団体に向けたテクノロジサポートを強化しています。NTA は非営利団体にクラウドテクノロジやトレーニング、コンシェルジュサポートを提供し、最新のソリューションで成功へと導きます。

1 年前にお伝えしたとおり、マイクロソフトはここに挙げた 3 分野の取り組みを通じて体系的な課題に全体的な対応を行うことで、人種的不平等および不公平性に立ち向かっていきます。マイクロソフトでは、多様性を高めインクルージョンを強化しようと、幅広く継続的に揺るぎない態度で取り組んできましたが、どの分野で進化を加速させるかより正確に把握できる立場にもあります。ここで紹介した取り組みは、マイクロソフトがその責任を負っていることを示すものです。

今後もマイクロソフトは、全社の従業員とリーダーによる情報提供とリーダーシップによってたゆまぬ努力を続けていきます。当社がミッションを達成するには、すべての人のインクルージョンが欠かせないのです。この取り組みについては、進捗状況を率直に伝え、当社の決意に責任を持って進めていく所存です。

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