マイクロソフト AI Platform 担当コーポレートバイスプレジデント
エリック ボイド (Eric Boyd)
※本ブログは、米国時間 3 月 9 日に公開された “ChatGPT is now available in Azure OpenAI Service” の抄訳を基に掲載しています。
本日、マイクロソフトは、ChatGPT のプレビュー版が、Azure OpenAI Service において利用可能になったことを発表します。Azure OpenAI Service では、1,000 社以上のお客様が、Dall-E 2、GPT-3.5、Codex といった最先端の AI モデル、そして、Azure 独自のスーパーコンピューティングとエンタープライズ級機能に支えられた大規模言語モデルを適用して、新たな方法でイノベーションを実現しています。
ChatGPT は昨年末に導入されて以来、コンテンツの要約、メールのドラフト作成、さらにはプログラミングに関するサポートなど、さまざまな用途で活用されています。今回、Azure OpenAI Service 内で ChatGPT のプレビュー版が提供されたことで、開発者は独自の AI 機能に基づく体験を自社のアプリケーションに直接的に統合できるようになりました。たとえば、既存のボットを強化して予期せぬ質問に対応できるようにする、コールセンターの会話をサマリーしてお客様の問い合わせを迅速に解決する、パーソナライズされたオファーで新しい広告コピーを作成する、クレーム処理を自動化することなどが考えられます。また、コグニティブサービスを Azure OpenAI と組み合わせることで、企業にとって魅力的なユースケースを創出できます。たとえば、対話によって企業データの知識ベースを検索するために Azure OpenAI と Azure Cognitive Search との組み合わせを活用した事例をご参照ください。
お客様は、ChatGPT を本日から利用できます。料金は、1,000 トークンあたり 0.002 ドルです。すべての ChatGPT 利用への課金は 3 月 13 日から始まります。
真のビジネス価値
多様な業界のお客様が、Azure OpenAI Service を利用することのビジネス価値を実感しています。マイクロソフトは、The ODP Corporation、シンガポールの Smart Nation Digital Government Office、Icertis といったお客様が、今後も Azure OpenAI と ChatGPT モデルを活用し、さらなる成果を上げていくことを大いに期待しています。
「The ODP Corporation は、マイクロソフトとの協業により、Azure OpenAI Service 内で ChatGPT の強力な AI テクノロジを活用できるようになったことを大変うれしく思っています。このテクノロジは、当社のビジネスの継続的変革、より効果的な新しい可能性の追求、革新的なソリューションの設計に役立ち、お客様、パートナー、そして、従業員にさらに大きな価値を提供することができるでしょう。当社は、社内の事業部、特に人事部門をサポートするために ChatGPT によるチャットボットを開発しています。このチャットボットは、人事部門の書類審査プロセスの改善、新しい職務記述書の生成、担当者間のコミュニケーション強化などを実現できています。当社は、ChatGPT の自然言語処理と機械学習の活用による、社内業務の効率化とビジネスの成功を目指しています。この最先端テクノロジを取り入れることで、市場における競争力を高め、お客様の体験を向上できるでしょう。」 — The ODP Corporation プロダクト & テクノロジ担当バイスプレジデント カール ブリスコ (Carl Brisco)
「シンガポールの Smart Nation Digital Government Office は、シンガポール国民により良いサービスを提供し、シンガポールという国のためにより良いアイデアを提供するために、テクノロジを使って職員を支援することを常に考えています。ChatGPT そして、より一般的に大規模言語モデルが、公共分野におけるさまざまな知識労働を加速してくれることが期待されます。そして、ChatGPT に組み込まれたアライメント手法が、より自然で直感的な方法でこれらの強力なモデルを操作できるよう支援してくれます。ポリシー、オペレーション、コミュニケーションの各ユースケースにおいて、Azure OpenAI Service のエンタープライズ級の統制機能が、これらのテクノロジを活用する上での鍵となっています。」 — シンガポール首相府 Smart Nation Digital Government Office 副長官フェンシ シム (Feng-ji Sim)
「契約は商取引の基盤であり、企業のあらゆる入出金を統制するものです。Icertis では、AI を契約管理に適用することで、世界中の企業が収益を上げ、コストを削減し、コンプライアンスを確保し、リスクを軽減することができるようにしています。マイクロソフトの Azure OpenAI サービス上で利用できるようになった ChatGPT は、20 億以上のメタデータとトランザクション要素を含む世界有数の契約データのリポジトリである当社のデータレイクと共に活用することで、これらの成果を達成するための強力なツールとなります。ジェネレーティブ AI は、契約のライフサイクル全体を通して、インサイトを明らかにして活用できるようにする知的アシスタントの役割を果たすことで、企業が契約の意図を完全に実現できるよう支援します。Azure のセキュリティと信頼性という独自の強みを背景に、この能力を企業規模で提供できることは、倫理的 AI という当社の信条にも合致し、当社の契約インテリジェンスプラットフォームにイノベーションの大きな機会を創出します。」— Icertis CTO モニシュ ダーダ (Monish Darda)
大小さまざまな企業が Azure OpenAI Service を活用してビジネス価値を実現していることに加え、マイクロソフト社内でも、コンシューマーおよびエンタープライズ向け製品で新しい体験を提供するために、OpenAI の大規模言語モデルと AI に最適化された Azure のインフラ機能を融合させる取り組みが行われています。たとえば、以下のような取り組みが行われています。
- GitHub Copilot は、Azure OpenAI Service の AI モデルを活用し、AI ペアプログラマーによるコード開発の高速化を支援します。
- Microsoft Teams Premium には、個人、チーム、組織の生産性を高めるための、インテリジェントなサマリーや AI 生成チャプターなどの機能が含まれています。
- Microsoft Viva Sales で新たに提供される AI による販売担当者体験は、メールコンテンツの提案やデータに基づくインサイトにより、営業チームが戦略的販売活動にフォーカスできるように支援してくれます。
- Microsoft Bing は、消費者の検索体験を全く新たな方法で強化するために、AI を活用したチャットオプションを導入しました。
これらは、マイクロソフトが、ジェネレーティブ AI モデルを活用して組織を支援し、AI による変革を推進している事例のほんの一部に過ぎません。
また、お客様やパートナーは、Azure OpenAI Studio のノーコードアプローチにより、競合他社と差別化できる新しいインテリジェントアプリやソリューションを構築できます。Azure OpenAI Studio は、サービスを通じて提供されるすべてのモデルのカスタマイズ性を提供することに加えて、ChatGPT をカスタマイズし、組織のポリシーに沿った応答を設定するための独自インターフェイスを提供します。
Azure OpenAI Studio でシステムメッセージを使用して ChatGPT をカスタマイズする方法をご覧ください。
AI への責任あるアプローチ
生産性の向上、創造性の強化、日常業務の支援など、AI が人々や企業に与える影響はすでに明らかです。マイクロソフトは、AI システムが責任を持って開発され、意図したとおりに機能し、人々が信頼できる方法で使用されるようにすることにコミットしています。ChatGPT や DALL-E 画像生成モデルなどのジェネレーティブモデルは、新しい人工物を生成するモデルです。このようなタイプのモデルは、新たな課題を生み出します。たとえば、説得力はあるが間違っている文章を作成したり、リアルだが現実ではない画像を作成したりするために使用されることがあり得ます。
マイクロソフトは、これらの課題に対処するために、4 段階の重層的緩和策を採用しています。これらは、マイクロソフトの Responsible AI Standard に沿ったものです。第 1 に、たとえばテキスト出力が AI によって生成されたものであることを説明し、ユーザーに承認させるなどの、お客様が主体となるアプリケーションレベルの保護があります。第 2 に、入力と出力のコンテンツフィルタリングなどの技術的な保護があります。第 3 に、不正行為を報告するシステムやサービスレベル契約に至るなどの、プロセスおよびポリシーによる保護があります。そして、第 4 に、モデルの利点やテスト内容を説明するためのデザインガイドラインやトランスペアレンシーノートなどの文書化があります。
マイクロソフトは、そう遠くない将来に、AI が、私たちの働き方や組織のあり方を大きく変えると考えています。この瞬間を迎えるために、マイクロソフトは AI システムが責任を持って使用されるよう規範的アプローチを取り続けながら、耳を傾け、学び、改善し、最終的に人類に利益をもたらす形で AI テクノロジを導いていきます。
Azure OpenAI Service を始めてみましょう
- Azure OpenAI Service に関する追加情報はこちらを、最新の機能強化についてはこちらをご参照ください。
- Azure OpenAI Service を使った ChatGPT の始め方についてはこちらをご参照ください。
- Microsoft Learn の “Introduction to Azure OpenAI Service” コースはこちらにアクセスしてください。
- パートナーによる発表のブログ記事 ”Empowering partners to develop AI-powered apps and experiences with ChatGPT in Azure OpenAI Service” (Azure OpenAI Service 内の ChatGPT が、AI を活用したアプリや体験を開発するパートナーを支援) をご参照ください。
The AI Show の共同主催者である Principal Program Manager のセス フアレス (Seth Juarez) が、Azure OpenAI Service の主要ユースケースと ChatGPT を使った小売業向けチャットボットの事例を紹介しています。
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