2030 年に向かって: マイクロソフト 2022 年環境サステナビリティ レポート

2030 年に向かって: マイクロソフト 2022 年環境サステナビリティ レポート

Melanie Nakagawa、最高サステナビリティ責任者、Brad Smith、副会長兼プレジデント

※本ブログは、米国時間 5月 10 日に公開された “On the road to 2030: Our 2022 Environmental Sustainability Report” の抄訳をもとにしています。

マイクロソフトは本日、2022 年環境サステナビリティ レポートを公開しました。2022 年は、イノベーション、パートナーシップ、および弊社の取り組みの進展の年であり、マイクロソフトはお客様、パートナー、そして世界がよりサステナブルな未来に向かって進むことを支援しました。序文は以下で、またレポートの全文はこちらでお読みいただけます。


会社、お客様、そして世界に対するサステナビリティを実現する

2022 年は史上 6 番目に暑い年でした。異常気象は、壊滅的な被害をもたらす干ばつ、山火事、飢饉、洪水、熱波を驚異的な頻度で引き起こしました。私たちはかつてないほど気候変動の影響を実感しましたが、地球温暖化が進むと、今後も世界中のエコシステムやコミュニティへの負の影響を目にし、体感し続けることになるでしょう。気候変動に関する政府間パネル (IPCC) の最新のレポートでは、気候危機の深刻さおよび世界的な共同行動が急務であることが強調されています。意味のある気候変動対策には政府と企業の両方による永続的な取り組みが必要であり、その誓約の実現において民間セクターが果たす役割はますます重要になっています。このような気候危機の深刻さを鑑みて、マイクロソフトはネット ゼロの未来を支援する幅広い取り組み、テクノロジ、およびアプローチに投資することにより、この急務の気候問題に対処するという弊社の目標を拡大しています。

気候危機への対処に関する弊社のアプローチは、マイクロソフトのビジネス自体のサステナビリティから始まります。2020 年に、マイクロソフトは、2030 年までにカーボン ネガティブ、ウォーター ポジティブ、廃棄物ゼロを実現し、エコシステムを保護する企業になるという大胆な公約を発表しました。この取り組みを始めてから 3 年経ちますが、マイクロソフトはこの公約を忠実に遂行しています。2022 年は、気候変動の最も深刻な影響を軽減するには、弊社の取り組みを会社の枠を超えて拡大し、今後数十年にわたる進展を可能にする投資を加速し続ける必要があることを再認識する年でした。

2022 年、マイクロソフトはエンタープライズグレードのサステナビリティ管理ツールの包括的なスイートである Microsoft Cloud for Sustainability の提供を開始しました。また、地球上のすべての人や組織に利益をもたらすことを目的とした、一連の世界的なサステナビリティの取り組みの前進も支援しました。具体的には、マイクロソフトの気候イノベーション基金を通して新たな気候関連テクノロジの普及を加速させ、気候政策目標を強化し、信頼性および相互運用性の高いカーボン アカウンティング (炭素排出量算定) システムの開発を支援し、グリーンな労働力を増やすためのスキル育成プログラムを推奨し、グローバル サウスの弱い立場にある人々の公正な移行を実現するために尽力しました。

新たな気候変動対策ソリューションの開発と促進においてマイクロソフトは重要な役割を果たすと考えていますが、気候危機は 1 つの企業、組織、または政府によって解決できるものではないことも認識しています。あらゆる人にとって健全な未来を保証するには、パートナーシップ、新たなイノベーション、政策、そして全世界的な取り組みがグローバル コミュニティに必要です。

社内から整える

弊社の 1 つ目の影響範囲はマイクロソフト自体のサステナビリティであり、今後も社内を整え、2030 年に向けての公約を達成することに重点を置いていきます。2020 年に野心的な公約を打ち出した時点から、その進展は常に直線的とはならないことはわかっていました。このような取り組みは科学に根差しており、エコシステムを保護し、気候変動の最も深刻な影響を防ぐために必要な段階を踏まなければなりません。マイクロソフトは 2030 年に向けた公約を達成し、今後数十年にわたり弊社のビジネスのサステナビリティを支えていく適切な長期的投資を行うことに全力を注いでいます。長期的な目標に加え、2022 年の弊社の進捗を振り返って評価することも重要です。

2022 年にマイクロソフトのビジネスは 18% 成長し、全社的な排出量は 0.5% 減りました。これは 1 つには、弊社の直接事業 (スコープ 1 と 2) の排出量を 22.7% 削減したことによるものです。マイクロソフトでは、総排出量に占めるスコープ 1 と 2 の排出量の割合は 4% 未満であり、間接排出量 (スコープ 3) が 96% 以上を占めています。ビジネスの成長に伴い、2022 年に弊社が購入した商品およびサービスは 25% 増加しましたが、報告されているスコープ 3 の排出量の増加は 0.5% に留まっています。2022 年のより前向きな成果は、業務の改善、リアルタイムのデバイス テレメトリに基づく測定、再生可能エネルギーへの投資、持続可能な航空燃料 (SAF) の購入、および分離型再生可能エネルギー証書 (REC) の取得によるものです。

マイクロソフトは今後もスコープ 1 と 2 の排出量をゼロ近くまで削減することに取り組んでいきますが、最終的な脱炭素化の課題はスコープ 3 です。スコープ 3 を削減するには、ビジネス、テクノロジ、および政策に対するベスト プラクティスを、世界中のあらゆる関係者間で協力して進化させることが必要です。2020 年にマイクロソフトが打ち出したカーボン ネガティブの公約は、弊社のビジネスのサステナビリティをサポートするための挑戦というだけではなく、創造力を行動に変え、そして行動を影響へと変えるこの取り組みに参加するよう世界に促すものでした。カーボン ネガティブに関する公約に加え、水、廃棄物、およびエコシステムに関する 2030 年の公約の達成に向けても、マイクロソフトは大きく進展しました。

ウォーター ポジティブ

マイクロソフトは 1,560 万 m3 以上の容積効果が見込まれる水補充プロジェクトを契約し、水補充プロジェクトの累積合計は 3,500 万 m3 に達しました。また、ブラジル、インド、インドネシア、メキシコの 16 万 3,000 人を始め、85 万人以上の人々に、清潔な水と衛生設備を提供しました。

廃棄物ゼロ

マイクロソフトはすべてのクラウド ハードウェアの再利用およびリサイクル率を 82% に引き上げ、2030 年の 90% という再利用およびリサイクル率目標の達成に向けて歩み続けていきます。また、マイクロソフトのすべての梱包材での使い捨てプラスチックの使用を 3.3% まで削減し、2025 年までにその使用をなくすことを目指しています。合計で 1 万 2,159 トンの固形廃棄物を埋め立てずに転用しています。

エコシステムの保護

マイクロソフトは、使用面積以上の土地を保護することにも取り組んでいきます。2022 年には、契約した 1 万 7,000 エーカーを超える土地のうちの 1 万 2,000 エーカーが保護地域として正式に指定されました。2022 年に保護された面積は、マイクロソフトが現在使用している約 1 万 1,200 エーカーの土地面積を超えています。

マイクロソフトの影響を拡大し、より多くの成果を達成できるようお客様を支援する

マイクロソフトの 2 つ目の影響範囲は、お客様のサステナビリティです。私たちはテクノロジ企業として、マイクロソフトのテクノロジを信頼する何千社もの企業のお客様に対して果たすべき役割があります。弊社の大半のお客様は気候変動対策に関する誓約を行っており、マイクロソフトはお客様がこのような誓約を実現することを支援しています。

マイクロソフト自体の排出量フットプリントは世界の排出量のほんの一部ですが、世界の排出量の残り 99.97% の削減または除去の実現においても、弊社が果たすべき役割があります。サステナビリティに対するマイクロソフトのアプローチを、会社の枠を超えて拡大し、お客様のサステナビリティのニーズを支えるために活かすことが重要です。

企業は測定できるものしか管理できないため、マイクロソフトはお客様がタイムリーで正確な方法で各社の環境への影響を測定することを支援しています。2022 年 6 月に、Microsoft Sustainability Manager を含む包括的な環境サステナビリティ管理プラットフォームである Microsoft Cloud for Sustainability の提供が開始されました。これらの新しいデジタル ツールはほぼすべてのビジネス システムと相互運用が可能であり、サステナビリティの取り組みのあらゆる段階にある組織に対してデータ インテリジェンスを統合します。Sustainability Manager を使用すると、スコープ 1、2、および 3 の排出量を記録、報告、削減することが可能です。

Azure のお客様は Emissions Impact Dashboard (EID) へのアップグレードによるメリットも受けることができます。EID では Microsoft Cloud の使用から発生する排出量の影響を把握することができます。EID は、お客様のクラウドの使用に関連する、マイクロソフトの直接排出量と間接排出量、およびお客様がオンプレミスではなくクラウドでワークロードを実行することにより回避した排出量を推定します。

2022 年に、マイクロソフトは Microsoft Planetary Computer のプレビュー バージョンもリリースしました。この製品は、業務の影響を受ける可能性があるエコシステムを測定、監視、管理し、気候リスクに関する重要な決定を行うことを可能にします。Planetary Computer は 60 ペタバイト以上のオープンソースの地理空間データを活用します。このデータをマイクロソフトの AI for Good Lab の分析機能と組み合わせることにより、世界中の企業および政府に地球に関する新たなレベルの洞察を提供します。

よりサステナブルな世界を実現してサポートする

最後に、マイクロソフトの 3 つ目の影響範囲は、世界的なサステナビリティへの影響です。マイクロソフトのテクノロジの提供範囲が世界中のほぼすべての国に及んでいるように、弊社のサステナビリティ プログラムの影響も世界中に広げる必要があります。

2022 年 11 月、世界中の気候リーダーが COP27 に集いました。COP27 では、気候変動の不均等な影響と、世界の後発開発途上国が不当に大きな影響を受けている現状に焦点を置いて重要な対話が行われました。たとえば、アフリカ諸国の総排出量は世界の排出量の 5% 未満しか占めていませんが、気候変動により受けているマイナスの影響はその割合をはるかに超えています。マイクロソフトでは、地球の全 80 億人の住人にプラスの影響を及ぼす気候政策およびプログラムに重点的に取り組んでいます。

政策

マイクロソフトは発言力を活用して、世界中のサステナビリティ政策に影響を与えることに全力を注いでいます。私たちは、炭素報告、削減と除去、クリーン エネルギーへの転換、水アクセスの向上と水ストレスの軽減、およびエコシステムを測定、管理、保護する能力を加速させる公共政策のイニシアティブを支援しています。2022 年には、炭素と電力に関する政策概要を発表することにより、公共政策の形成にさらに貢献しました。

炭素測定と Carbon Call

2022 年 2 月、マイクロソフト、ClimateWorks Foundation、および 20 以上の主要な組織が、Carbon Call という新しい重要な取り組みを立ち上げました。このプログラムの目的は、信頼性および相互運用性が高いカーボン アカウンティング システムを中心に世界を 1 つにまとめることです。ClimateWorks Foundation はこのプログラムを世界規模へと広げています。Carbon Call には現在 80 以上の組織が参加し、その最初のロードマップを COP27 で発表しました。

気候イノベーション基金

イノベーションは気候危機を解決するための重要な要素であり、新たなソリューションの普及を加速させるうえで資本投資は重要な役割を果たすと私たちは考えています。マイクロソフトは 10 億ドルの気候イノベーション基金 (CIF) を通して、気候イノベーションの加速に投資しています。投資の対象は、2030 年までに気候に関する有意義で測定可能な効果をもたらす可能性がある、革新的なテクノロジやビジネス モデルです。2020 年の CIF の設立以来、マイクロソフトはエネルギー システム、産業システム、および自然体系に関するサステナブルなソリューションを含む、50 以上の投資先から構成されるグローバル ポートフォリオに 6 億ドル以上を投じてきました。

アフリカ データ ラボ

マイクロソフトは 11 月に、AI for Good Lab をエジプトとケニアに拡大し、気候関連のレジリエンス向上に取り組むデータ サイエンティストの新たなチームをアフリカの現地で構築することを発表しました。これらのデータ ラボの活動は、アフリカの主要組織の代表者で構成される新設の Africa AI Innovation Council (アフリカ AI イノベーション協議会) から情報提供を受ける予定です。

サステナビリティ スキル

パリ協定の野心的な目標を実現するには、労働市場全体でのサステナビリティ スキルの普及に重点を置いた世界的な取り組みが必要です。2022 年 11 月、マイクロソフトと BCG は、新しいレポート「サステナビリティに関するスキル ギャップの縮小: 企業による誓約の実現に向けて」を発表しました。このレポートは、雇用主や政府が、サステナビリティに関する知識やスキルに焦点を絞った学習施策を通じた人材のスキルアップに投資して、将来のサステナビリティ関連の仕事に従事する次の世代を準備することの必要性を強調しています。マイクロソフトはパートナー各社と協力しながら、将来のサステナビリティ関連の人材育成を加速させるための新しいサステナビリティに関する学習教材を開発し、共有しています。

イノベーションと断固たる行動が求められる 10

2030 年およびそれ以降に目を向けると、世界経済を脱炭素化しながらグローバル コミュニティとして成長と繁栄を続けるための集団的能力について、私たちは楽観視しています。マイクロソフトは、気候危機に対処するために必要な規模のサステナビリティ ソリューションを実現する、以下の 3 つの主要領域に投資を続けていきます。

  1. AI ソリューションを進化させて気候に対する効果を拡大させる
  2. 投資を通してサステナビリティ市場の発展を加速させる
  3. 排出量の測定とコンプライアンスを促進するツールを創造する

サステナビリティに対処するための AI の利用の拡大から、新たな官民パートナーシップの構築まで、この先の 10 年はイノベーションと断固たる行動が求められるでしょう。誓約を実現するには、短期的な問題に阻まれることなく、新しい革新的なソリューションを開発し、そして多くの場合、対策を加速させることに力を注ぎ続けなければなりません。マイクロソフトは、企業として、テクノロジ プロバイダーとして、そして地球の住民として、サステナビリティに全力で取り組んでいきます。

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