AI カスタマーコミットメントを公開

AIカスタマーコミットメントを公開

アントニー クック (Antony Cook) コーポレートバイスプレジデント 兼 副法務顧問

※本ブログは、米国時間 2023 年 6 月 8 日に公開された ”Announcing Microsoft’s AI Customer Commitments” の抄訳を基に掲載しています。

AI は、規模や業界を問わずあらゆる企業にこれまでにないような機会をもたらしています。当社でも、お客様が AI サービスを活用してイノベーションを促進し、生産性を向上させている様子や、画期的な治療法を開発したり気候変動の課題に対処する新たな方法を見いだしたりと、人類にとって重要な問題を解決している様子を目にするようになりました。

同時に、このテクノロジの力や、これが利益ではなく害をもたらすために利用される可能性について、当然のことながら懸念もあります。こうした状況において、世界中の政府が既存の法律や規制をいかにして AI に適用できるか検討し、どのような新しい法的枠組みが必要か模索するのは当然のことです。責任を持って AI を利用するにあたり適切な安全対策を用意することは、テクノロジ企業や政府だけに求められていることではありません。AI システムを構築する組織や利用する組織のすべてが、独自のガバナンスシステムを開発し実装する必要があるのです。そこでマイクロソフトは本日、お客様の責任ある AI への取り組みを支援する 3 つの AI カスタマーコミットメントを発表します。

AIカスタマーコミットメントを公開

1 点目は、責任ある AI の開発と展開についてマイクロソフトが学んでいることを共有し、お客様も同じことができるよう学んでもらうため支援することです。マイクロソフトは 2017 年から責任ある AI の取り組みを推進しており、約 350 人のエンジニア、弁護士、政策専門家のスキルを活用して安全かつ安心、そして透明な形で AI の設計や開発、展開が行われるよう、堅牢なガバナンスプロセスを実装しています。具体的な内容は次の通りです。

  • 専門知識の共有: マイクロソフトは、このプロセスで作成した主要なドキュメントを公開し、知識と専門性をお客様と共有することをお約束します。これにより、お客様も当社の経験から学びを得ることができるようになります。ドキュメントには、当社の責任ある AI の基準 (Responsible AI Standard) や、AI 影響評価テンプレート (AI Impact Assessment Template)、AI 影響評価ガイド (AI Impact Assessment Guide)、透明性ノート (Transparency Notes)、そして責任ある AI を設計段階から実装する当社のアプローチについての詳細な入門書などが含まれています。
  • 研修カリキュラムの提供: 責任ある AI の実践と文化を構築するにあたってマイクロソフトが実施している取り組みも共有します。この中には、当社の従業員研修で使用するカリキュラムの重要な部分も含まれています。
  • 専任リソースの構築: マイクロソフトは、責任ある AI の展開と活用に関するお客様からの疑問に対応できるよう、世界各地域で専任のリソースと専門性に投資します。

2 点目は、AI 保証プログラムを構築することです。これは、当社のプラットフォーム上で展開するお客様の AI アプリケーションが、責任ある AI についての法律および規制の要件を確実に満たすよう支援するものです。このプログラムには、以下の内容が含まれます。

  • 規制当局との連携サポート: 公共部門や規制の厳しい業界のお客様は、情報技術の利用にあたって発生するさまざまな規制の問題を管理することが求められますが、マイクロソフトにはそのようなお客様を支援してきた豊富な経験があります。例えば、グローバル金融サービス業界において、当社はお客様および規制当局の両者と長年にわたって緊密に連携し、同業界にて規制上の義務を遵守しつつクラウド上で DX が追求できるよう取り組んできました。この経験からひとつ学んだことがあります。それは、金融機関がお客様の身元を確認し、リスクプロファイルを確立し、不審な行為を検知できるよう取引を監視するという業界の要件、つまり「顧客を知る」要件です。このアプローチは、「KY3C」と呼ばれるクラウド (Cloud)、顧客 (Customer)、コンテンツ (Content) の 3 つの C を知るよう一定の義務を課すアプローチにおいて、AI にも適用できると考えています。当社では、AI 保証プログラムの一環として KY3C が適用できるよう、お客様と協力していきたいと思います。

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  • リスクフレームワークの実施: マイクロソフトは、米国国立標準技術研究所 (NIST) がこのほど発表した AI リスク管理フレームワーク (AI Risk Management Framework) の当社での実施状況を証明し、この分野における NIST の重要な継続的取り組みに携わった経験を共有する予定です。
  •  顧客評議会: お客様に呼びかけて顧客評議会を実施し、最も適切でコンプライアンスに準拠した AI テクノロジやツールを提供する方法について意見を伺いたいと思います。
  •  規制の擁護: 最後に、効果的で相互運用可能な AI の規制を推進するにあたり、当社は積極的に政府と連携する役割を果たします。先日マイクロソフトが発表した AI ガバナンスに関する青写真では、政府をはじめとする関係者に対し、AI の適切な規制の枠組みについて当社の提案を示しています。マイクロソフトのバイスチェア兼プレジデントであるブラッド スミス (Brad Smith) によるこの青写真のプレゼンテーションと、その詳細を解説したホワイトペーパーも公開しています。

 3 点目は、お客様が責任を持って AI システムを実装できるよう当社にてサポートするとともに、パートナーエコシステム向けに責任ある AI プログラムを開発することです。

  • 専任のリソース: 世界各地域に AI の法律および規制の専門家からなる専任チームを設け、お客様のビジネスで責任ある AI ガバナンスシステムの実装をサポートするためのリソースとして提供します。
  • パートナーサポート: マイクロソフトのパートナーの多くは、お客様が AI ソリューションを評価し、テストし、採用し、商業化できるよう支援する包括的な手法をすでに確立しており、責任ある AI システムを独自に構築しているところもあります。当社はこの専門知識を活用し、選ばれたパートナーと共に共通のお客様が独自の責任ある AI システムを展開できるよう支援するプログラムを立ち上げます。本日発表できるのは、PwC と EY がこのすばらしいプログラムの立ち上げパートナーであるということです。

ただし、こうした取り組みは始まりに過ぎず、テクノロジと規制の状況が進化する中でこの活動をさらに発展させていく必要があることもわかっています。それでもマイクロソフトは、責任ある AI への道のりをお客様と共に歩んでいく中で、より緊密にお客様と連携できるこの機会に大きな喜びを感じています。

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