※本ブログは、米国時間 5 月 8 日に公開された “Microsoft and LinkedIn release the 2024 Work Trend Index on the state of AI at work” の抄訳を基に掲載しています。
1 年前の生成 AI の登場により、スマートフォン以来初めて、人々はテクノロジとの関わり方を変え始めました。人々は AI を予想外の規模で仕事に取り入れ始めていますが、その現状がどのようになっているかということが大きな疑問となっています。
AI が職場で普及するにつれ、従業員も企業も大きなプレッシャーにさらされています。パンデミックの時に加速した仕事のペースと厳しさは緩和されていないため、従業員は自分の AI を職場に持ち込んでいます。リーダーは AI がビジネス上の必須課題であることに同意しており、すぐに ROI (投資収益率) を示さなければならないというプレッシャーを感じていますが、AI 導入による個人のインパクトを収益増につなぐための計画やビジョンを欠いています。
同時に、労働市場は変化し、新たな AI 経済が到来しようとしています。AI が自分の仕事に取って代わるのではないかと心配する専門家もいますが、データはより繊細なストーリーを物語っています。それは、隠れた人材不足、転職を希望する従業員の増加、そしてスキルアップを望む人々にとっての大きな機会です。
マイクロソフト 会長 兼 最高経営責任者 (CEO) のサティア・ナデラは、次のように述べています。「AI は、従業員全体の専門知識を民主化しています。私たちの最新の調査は、あらゆる組織がこのテクノロジを適用することによる、より良い意思決定、コラボレーション、ひいてはビジネス成果の促進につながる機会を強調しています。」
本日公開した第 4 回 Work Trend Index では、LinkedIn と初めて共同レポートを作成し、AI が仕事だけでなく労働市場全体をどのように変化させているかについて包括的な見解を示しました。31 カ国 31,000 人を調査し、LinkedInで労働と雇用の傾向を特定し、Microsoft 365 の数兆件の生産性シグナルを分析し、Fortune 500 企業のお客様を対象に調査を実施しました。このデータは、AI が仕事に与える影響について、すべてのリーダーやプロフェッショナルが知っておくべきインサイトと取るべき行動を示しています。
1.従業員は職場での AI 活用を望んでおり、企業が準備するのを待とうとはしない
ナレッジワーカーの 4 人に 3 人 (75%) が、現在仕事で AI を使用しています。仕事量にプレッシャーを感じている従業員は、AI が時間を削減し、創造性を強化し、最も重要な仕事への集中を助けてくれると述べています。リーダーの 79% が、競争力を維持するために AI の導入が不可欠であることに同意していますが、59% が AI による生産性向上の定量化に懸念を抱いており、60% が自社に AI を導入するビジョンと計画が無いことを懸念しています。リーダーが個人の生産性向上を全社的なインパクトに変えるプレッシャーを感じている一方で、従業員はメリットの享受を待ってはいません。AI ユーザーの 78% が自分の AI ツールを職場に持ち込んでいます。この機運を ROI (投資収益率) につなげることが、すべてのリーダーにとっての好機となっています。
2.AI は、従業員の目標設定を高め、キャリアの上限を打ち破る
AI は労働市場にも影響を与え始めています。AI と雇用喪失が最重要課題となっている人々もいますが、マイクロソフトのデータによれば、転職を検討する人が増加し、求人もあり、AI スキルを持つ従業員が優先的に採用されています。リーダーの過半数 (55%) が、今年度に募集している職務に十分な人材を確保できるか心配していると回答しており、特に、サイバーセキュリティ、エンジニアリング、クリエイティブデザインの分野での懸念が大きくなっています。
そして、プロフェッショナルはこの動向を見ています。世界の 46% の従業員が今後 1 年間に退職することを検討しており、これは 2021 年の Great Reshuffle (人材大再編) 以来最大です。別の LinkedIn の調査では米国の数値はさらに高く、85% が転職を考えています。リーダーの 3 分の 2 が AI スキルの無い人材は雇わないと考えている一方で、会社から AI の研修を受けたことがある従業員はわずか 39% しかいません。そこで、プロフェッショナルは自分自身でスキルアップしています。昨年末の時点で、Copilot や ChatGPT などの AI スキルをプロフィールに追加する LinkedIn のメンバー数が 142 倍に増加し、AI 適性を高めるために LinkedIn のラーニングコースを利用する非技術系プロフェッショナルの数が 160% 増加しました。
LinkedIn の求人広告で AI が言及されると応募が 17% 増加する世界では、AI は双方向の効果を持ちます。すなわち、従業員に AI ツールやトレーニングを提供する組織は優秀な人材を惹きつけることができ、スキルアップしたプロフェッショナルは人材市場で優位に立つことができます。
3.AIパワーユーザーの台頭と彼らが明らかにする未来
調査の結果、AI ユーザーには、AI をほとんど利用しない懐疑派から、幅広く活用するパワーユーザーまで、4 つのタイプがあることがわかりました。懐疑派と比べ、AI パワーユーザーは根本的に仕事のやり方を変え、ビジネスプロセスを再考し、1 日あたり 30 分以上も時間を節約しています。パワーユーザーの 90% 以上が、AI によって過重な仕事量を管理しやすくなり、仕事がより楽しくなると答えていますが、彼らは自分たちだけで AI を活用しているわけではありません。
パワーユーザーが働く企業の特性は異なります。彼らは、生成 AI の重要性について CEO から話を聞いたことがある可能性が 61% 高く、AI による自社の業務変革を検討するようリーダーから奨励される可能性が 53% 高く、特定の役割や職務に合わせた AI 研修を受ける確率が 35% 高くなっています。
LinkedIn CEO のライアン ロスランスキー (Ryan Roslansky) は次のように述べています。「AI は仕事を再定義しています。私たちが新たな行動規範を必要としているのは明らかです。安定性ではなく俊敏性を追求し、社内のスキル向上に投資するリーダーこそが、組織の競争優位性を高め、より効率的で、熱心で、公平なチームを作ることができるのです」
プロンプトボックスは新しい空白ページ
私たちは、お客様から一貫して「AIと話すのは意外と難しい」という声を聞きます。私たちは皆、検索エンジンの使い方を学んでおり、最適な検索結果を得るために適切なキーワードを選定できます。AI の場合はより複雑です。直属の部下や同僚に仕事を任せるときと同様です。しかし、多くの人にとって、空のプロンプトボックスは、白紙のページを前にしているような気分でしょう。一体どこから始めればよいのでしょう?
本日、マイクロソフトは、Copilot for Microsoft 365 の新たなイノベーションを発表し、お客様がこの疑問に答えられるようにします。
- プロンプトの冒頭が入力されている場合、Copilot は、探しているものを確実に入手できるよう、より詳細な情報を提案することで、そのプロンプトをオートコンプリートします。これにより、作業スピードが向上するだけでなく、Copilot の力を活用するための新しいアイデアも得られます。
- 自分が何を望んでいるのかがはっきりわかっていても、どう頼んだらいいのかわからない場合もあります。新機能のリライトにより、Copilot はボタンをクリックするだけで、基本的なプロンプトを充実したプロンプトに変え、誰でもプロンプトエンジニアにしてくれます。
- 最近のアクティビティに基づいた個人的インサイトを表示する新しいチャットインターフェイスである Catch Up が、「木曜日に営業の副社長との会議があります。ここをクリックして詳しいメモを入手し、会議の準備を始めましょう」といった応答性の高いレコメンデーションを提供します。
- 職務、チーム、機能ごとに独自のニーズや働き方があることをマイクロソフトは認識しています。業務に適したプロンプトを作成できるように、Copilot Lab では、特性が似たチームにとくに合ったプロンプトを作成、公開、管理できるようになります。
これらの機能は今後数カ月のうちに利用できるようになります。将来的にはさらに一歩進んで、Copilot があなたに質問を投げかけ、最高の仕事を引き出してくれるようになるでしょう。
また、 LinkedIn はあらゆるレベルのプロフェッショナルが AI 適性を向上できるよう、50 以上のラーニングコースを無料で提供しています。
Work Trend Index レポートはこちらをご参照ください。LinkedIn のチーフエコノミスト、カリン キンブロー (Karin Kimbrough) による AI の雇用市場への影響に関する記事は、LinkedIn をご参照ください。
また、本日の発表に関連するすべてのブログ、動画、素材については、マイクロサイトをご覧ください。
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