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職場における AI 活用期到来。ここが正念場

職場における AI 活用期到来。ここが正念場

※本レポートは、米国時間 5 月 8 日に公開された “AI at Work Is Here. Now Comes the Hard Part” の抄訳を基に掲載しています。レポート全文はこちら (英語) から、市場別データはこちら (日本語) からダウンロードできます。

2024 年は仕事における AI の活用が本格化する年であることを、データは明らかにしています。生成 AI の利用はこの半年でほぼ倍増し1、世界のナレッジワーカーの 75 が利用しています。仕事のペースと量に苦しんでいる従業員は、自分で用意した AI ツールを職場に持ち込んでいます。リーダーは AI がビジネス上の必須課題であることに同意していますが、その多くは、自分の組織が、AI 導入による個人のインパクトを収益増につなぐための計画やビジョンを欠いていると考えています。AI と向き合うことが不可避であるにもかかわらず、すぐに ROI (投資収益率) を示さなければならないというプレッシャーが、リーダーを躊躇させています。

今、私たちは、あらゆる技術革新に見られる困難な局面を迎えています。すなわち、実験段階を越えてビジネスの変革を達成しなければならないのです。インターネットや PC の発展期に見られたように、ビジネスの変革にはテクノロジの幅広い導入が必要です。成長を促進し、コストを管理し、顧客により大きな価値を提供するために AI を活用できる組織は優位性を獲得するでしょう。

同時に、労働市場は再び変化しており、ここでも AI が大きな役割を果たしています。AI による雇用喪失の懸念にもかかわらず、リーダーたちは重要な職務における人材不足を報告しています。また、キャリアアップを目指す従業員が増える中、管理職は AI への適性は長年の経験に匹敵する価値があると評価しています。多くの従業員にとって、AI はキャリアのハードルを上げる一方で、キャリアアップの可能性を開くことになるでしょう。

リーダーや組織が AI の影響力を克服するために、マイクロソフトと LinkedIn は、AI が広く仕事と労働市場をどのように再構築しているかを調査しました。31 カ国 31,000 人を調査し、LinkedIn で労働と雇用の動向を特定し、Microsoft 365 の数兆件の生産性シグナルを分析し、Fortune 500 企業のお客様を対象に調査を実施しました。このデータは、AI が仕事に与える影響について、すべてのリーダーやプロフェッショナルが知っておくべきインサイトと取るべき行動を示しています。

1.従業員は職場での AI 活用を望んでおり、企業が準備するのを待とうとはしない

すでに AI は予想外の規模で職場に浸透しています。現在、ナレッジワーカーの 75 が仕事で AI を使用していますが、その 46 は使用を始めてから半年未満です。そして、その効果はすでに現れています。

  • ユーザーは AI が役立つこととして、時間の節約 (90)、最も重要な仕事への集中 (85)、より創造的になれる (84)、より仕事を楽しむことができる (83) を挙げています。
  • Teamsのヘビーユーザー (上位 5%) は、2024 年 3 月の 1 カ月間に Copilot を使用して 8 時間分の会議を要約しました。これは、一般的な 1 日の労働時間に相当します2

「私たちは、より早く仕事をこなすだけでなく、より賢く働くための AI 統合の最前線にいます。このテクノロジがチームの創造性を高め、倫理的価値観に沿うようにすることは、組織のリーダーとしての私たちの責任です」

ハーバード大学デジタル データデザイン研究所 会長 カリム R ラカーニ (Karim R. Lkhani) 、ハーバードビジネススクール経営学 教授、ドロシー&マイケル ヒンツェ (Dorothy & Michael Hintze)

ほとんどのリーダーは AI が不可欠であることに同意していますが、すぐに ROI を示さなければならないというプレッシャーから、迅速に動くことが難しくなっています。

  • リーダーの 79% は、競争力を維持するために自社への AI 導入が不可欠であることに同意していますが、59% が AI の生産性向上の定量化に懸念を抱いています。
  • この不確実性がビジョンの実行を妨げています。リーダーの 60% が、組織の経営層に AI を導入するためのビジョンと計画が無いことを懸念しています。

1. 従業員は職場での AI 活用を望んでおり、企業が準備するのを待とうとはしない

経営層からの指導や許可が無いことから、従業員は自分たちの手で物事を進めており、AI 利用が隠れた状態になっています。

  • AI ユーザーの 78% が自分の AI ツールを職場に持ち込んでいます (BYOAI)。これは、中小規模企業ではさらによく見られる傾向です (80)。
  • BYOAIは、Z 世代だけでなくすべての世代に共通の傾向です。
  • AI を仕事で使っている人の 52% が、最も重要な仕事において AI の使用を認めることを躊躇しています。
  • 職場で AI を使用している人の 53 が、重要な業務に AI を使用することで、自分が代替可能な人材に見えてしまうことを懸念しています。

このようなアプローチでは、AI の戦略的な大規模活用から得られるメリットを逃してしまうことになります。また、サイバーセキュリティとデータプライバシーが最大の関心事となっている現在において、企業データを危険にさらすことにもなります。

BYOAI

BYOAI を推進するもう 1 つの要素は、仕事が従業員の能力を上回るスピードで増えていることです。

  • 68 の人が仕事のペースや量に負担を感じ、46 の人が燃え尽き感に悩まされていると答えています。
  • メールの過負荷状態が継続しています。メールの 85 が 15 秒以内に読まれ、典型的なケースでは 1 通のメールを送信するごとに約 4 通のメールを読まなければなりません3
  • 会議時間と時間外労働はパンデミック後の高い水準を継続しており、勤務時間中は依然としてコミュニケーションが中心になっています。Microsoft 365 のユーザーは電子メール、チャット、会議に 60% の時間を費やし、Word や PowerPoint のようなコンテンツ作成アプリには 40% しか時間を費やしていません4

「これらの発見は、人間の脳が、ルーチンワークの実行とイノベーションの間のトレードオフをどのようにやりくりしているかに完全に一致しています。これらは、脳内の異なる 2 つの、相互作用する神経ネットワークによって支えられている別種の思考です。両者を常に切り替えていると、仕事の効率が下がります。AI は労働者を雑務から解放し、イノベーションと創造性を活性化します」

Wharton School of the University of Pennsylvania  教授、神経科学者、マイケル プラット (Michael Platt)

AI の利用が急速に進む中、AI を「極めてよく知っている」リーダーたちは、AI が、タイプライターからコンピュータへの移行と同様の変革をもたらす可能性があると見ています。今後 5 年以内に、これらのリーダーの 41 が、AI を使ってビジネスプロセスをイチから設計し直すことを期待しています。また、これらのリーダーたちは AI ボットのオーケストレーション (38) とチームのトレーニング (42)、および、AI の倫理的な使用を確保 (47) することが自分の仕事の中核になると予想しています。

データは明確です。人々はデジタル負債に圧倒され、仕事に追われており、AI に救いを求めています。この機運を ROI につなげることが、すべてのリーダーにとっての好機となります。

2.AI は従業員の目標設定を高め、キャリアの上限を打ち破る

また、AI は労働市場にも影響を与え始めています。AI と雇用喪失は多くの人にとって最重要課題ですが、データは繊細な視点を示しています。すなわち、隠れた人材不足です。転職を希望する従業員で、AI のスキルアップに意欲的な人には大きなチャンスがあります。

  • リーダーは雇用を続けています。リーダーの過半数 (55) が、今年度に募集している職務に十分な人材を確保できるか心配していると回答しています。このようなリーダーは様々な職務に属していますが、特に、サイバーセキュリティ、エンジニアリング、クリエイティブ デザインに携わる分野では、その割合は 60 またはそれ以上です。
  • プロフェッショナルもこの動向を見ています。AI が自分の仕事を取って代わると心配するプロフェッショナルもいますが (45)、ほぼ同じ割合のプロフェッショナルが (46)、今後 1 年で現在の会社を退職することを考えていると答えています。これは、2021 年の Great Reshuffle (人材大移動) 前の 40 よりも高い割合です。また、 LinkedIn の調査によると、米国では昨年秋以降、職種ごとの求人応募数が 14 増加しており、プロフェッショナルの 85 が今年、新しい仕事を検討しています5

 AI は従業員の目標設定を高め、キャリアの上限を打ち破る

企業はすでに AI技術者の獲得に乗り出しており、AI 技術者の採用は過去 8 年間で 323 増加しています。今、企業は、ChatGPT や Copilot のような生成 AI ツールを使用するスキル、つまり AI 適性を持つ非技術系人材に目を向けています。

  • リーダーの 66 が AI スキルの無い人材は採用しないと回答しています。
  • リーダーの 71% が、AI スキルを持たない経験豊富な候補者よりも、AI スキルを持つ経験の浅い候補者を採用したいと回答しています。
  • 若年の求職者は新たな強みを手にするかもしれません。リーダーの 77 が、AI によって若い人材により大きな責任を与えられるようになると回答しています。

「過去数十年にわたり、企業は新しい世代や労働トレンド、パンデミックの影響を受けながら、従業員との心理的契約、すなわち働く理由を再交渉してきました。AI が仕事の進め方において労働者に大きな力を与えるようになった今、企業は従業員との「業務上の契約」、すなわち仕事の進め方を再交渉しなければなりません」

— Institute for Life at Workおよびボストン大学クエストロムビジネススクール、組織心理学者、コンスタンス ヌーナン ハドリー (Constance Noonan Hadley)

リーダーたちは AI 適性のある新しい従業員を迎え入れることの価値を認識する一方で、自社の人材を育成することの価値を見逃しています。

  • 米国エグゼクティブの 45% は現在、従業員向けの AI ツールや製品に投資していません6
  • AI を業務に活用している人のうち、会社から AI のトレーニングを受けている人はわずか 39 です。
  • 今年、生成 AI に関するトレーニングを提供する予定の企業は 25% に過ぎず、トレーニング不足はさらに深刻化しています7

スキル

プロフェッショナルは、公式な指導やトレーニングを待たず、自分自身でスキルを磨いています。

  • 76 が労働市場で競争力を維持するために AI スキルが必要だと回答しています。
  • 69 が AI は昇進を早めるのに役立つと答え、さらに多くの人 (79) が AI のスキルは仕事の機会を広げると回答しています。
  • 過去 6 カ月の間に、AI 適性を強化するためにデザインされた LinkedIn Learningのコースの利用が、非技術系プロフェッショナルの間で 160% 急増しました。特に、プロジェクトマネージャー、建築家、事務アシスタントなどの職種の人がスキルアップを求めています。
  • また、ChatGPT や Copilot などの AI スキルをプロフィールに追加する LinkedIn のメンバーが 142 に増加しています。特に、ライター、デザイナー、マーケティング担当者が上位を占めています。B2B マーケティング担当者の回答では、今年生成 AI の活用が計画されている上位 2 分野は、より価値の高い業務に集中するための効率化 (55) と、ターゲットオーディエンスに響く最適化された魅力的なコンテンツの作成 (51) でした。業種別では、意外なことに、管理サポートサービス、不動産、小売がハイテク産業よりも先行しています。

大半の人にとって、AI は自分の仕事に取って代わるものではなく、仕事を変えるものです。そして、次の仕事はまだ存在しない職務かもしれません。

  • 世界的に、スキルは、2016 年から 2030 年までに 50 変化すると予測されており、生成 AI はこの変化を 68% まで加速すると予想されています。
  • LinkedIn の今年の Jobs on the Rise (米国で最も急成長している職務) の 3 分の 2 以上 (68) は、20 年前には存在しなかった職務です。
  • 採用担当者の 12% が、生成 AI の活用に特化した新たな職務をすでに作っていると回答しています
  • AI 部門責任者が不可欠なリーダーとして台頭しています。この職務は過去 5 年間で 3 倍に増加し、2023 年には 28 以上増加しています。

また、フレキシブルな勤務形態と同様に、AI へのアクセスの提供は、企業が優秀な人材を惹きつける上で重要です。

  • AI や生成 AI に言及している LinkedIn の求人情報は、言及していない求人情報と比較して、過去 2 年間で応募数が 17% 増加しています
  • 別の調査では、未来の労働力である若手の従業員と一般的な従業員の 54 が、AI へのアクセスが雇用主の選択に影響すると回答しています。
  • 採用担当者の 22 が、職務に生成 AI の利用を反映させるために職務経歴書を更新していると回答しています
  • 将来を見据えた組織はすでに行動を起こしています。JPMorgan Chase、Procter & Gamble、AT&T といった LinkedIn の今年のトップ企業の多くは、大規模な変革を推進するために、チームに AI 学習の機会を提供しています。

これらは、AI が役割や業界を横断してスキルを向上させる推進要素となる兆しです。経験の少ない従業員もより戦略的なプロジェクトを担当するようになり、管理、関係構築、交渉、批判的思考といった人間特有のスキルが、あらゆるレベルの従業員に重要視されるようになるでしょう。この点を理解している組織は、優秀な人材を確保して維持できるようになり、スキルを習得したプロフェッショナルは優位性を保つことができます。

3.AI パワーユーザーの台頭と彼らが明らかにする未来

私たちの調査では、AI をほとんど利用しない懐疑的なユーザー、AI を幅広く利用するパワーユーザー、その中間である初心者と中級者という 4 タイプの AI ユーザーの存在が明らかになりました。懐疑的なユーザーとパワーユーザーの違いを調査したところ、働き方だけでなく、仕事に対する感じ方にも顕著な違いが見られました。

AI パワーユーザーの台頭と彼らが明らかにする未来

懐疑的なユーザーは、少なくとも AI を使ったことはあるものの、使ったとしても月に 2~3回程度。AI による節約時間は 1 日あたり 10 分以下。初心者は、AI に多少慣れている程度で、使ったとしても月に 2~3 回程度。AI によって節約できる時間は 1 日あたり 30 分以下。中級者は、AI に多少慣れている程度で、月に数回か週に 1 回程度使用。AI によって節約できる時間は 1 日 5 分から 30 分。パワーユーザーは、AI に習熟しており、少なくとも週に数回使用。1 日あたり 30 分以上の時間を節約。

パワーユーザーとは、AI を使い慣れている、あるいは、非常に使いこなしており、少なくとも週に数回は仕事で AI を使用し、1 日に 30 分以上の時間を節約しているユーザーのことです。AI の効果は明らかです。パワーユーザーは、AI を活用することで、膨大な仕事量を管理しやすくなり (92)、創造性が高まり (92)、最も重要な仕事に集中できるようになり (93)、モチベーションが上がり (91)、仕事が楽しくなった (91) と回答しています。

パワーユーザーへの道は、新しい習慣を身につけることから始まります。パワーユーザーは、AI の様々な使い方を頻繁に試す傾向が 68 高くなっています。実際にこの傾向が、その人がパワーユーザーになるかどうかの 1 の予測因子です。また、他の調査回答者と比較すると、パワーユーザーは、タスクの前に頻繁に一時停止し、AI が支援できるかを自問する傾向があり (他の調査回答者と比較し +49%)、初回で完璧な回答が得られなかった場合にもトライし続け (+30%)、新しいプロンプトを調査して試す傾向があります (+56%)。また、パワーユーザーは、1 日の始まりに AI を使い (85)、1 日の終りの翌日の仕事の準備にも AI を使う (85) 傾向があります。

また、パワーユーザーは仕事のやり方を根本的に変えています。彼らが AI を利用するのは、会議を欠席した際の遅れを取り戻すため (+56%)、情報を分析するため (+51%)、ビジュアルコンテンツをデザインするため (+49%)、顧客と対話するため (+49%)、ブレーンストーミングや問題解決のため (+37%)などです。すでに個人の作業の枠を超え、AI を活用してビジネスプロセスやワークフローを再設計するケースも 66% 多くなっています

また、この調査はパワーユーザーを支援する組織には独自の特性があることも示しています。

  • シニアリーダーが積極的: AI パワーユーザーは、仕事で生成 AI を使用することの重要性について、CEO から話を聞く可能性が 61 高く、部署のリーダーから話を聞く可能性が 40 高く、上司の上司から話を聞く可能性が 42 高くなっています。
  • 変革を重んじる企業文化: AI パワーユーザーは、経営層から AI による自分たちの職務の変革を検討するよう依頼される可能性が 53 高く、自社がイノベーションを奨励すると回答する可能性が 18 高くなっています。
  • 適切なトレーニング: AI パワーユーザーは、自社にバーチャルラーニングプログラムがあると回答する確率が 37% 高くなっています。また、プロンプトの書き方 (+37)、自分の役割や職務におけるAIの使い方 (+35)、ライティングやデータ分析などの具体的ユースケース (+32) に関するトレーニングを受けたことがある人も多くなっています。

「時代の最先端を行くため、私たちは AI トレーニングを優先し、誰もが Copilot for Microsoft 365 やその他の AI ソリューションの力を活用できるようにしています。また GenAI Academy を立ち上げ、アンバサダーと GenAI パワーユーザーを世界中に増やすことを目的に、従業員の成長と育成を支援しています。私たちはすでに、働き方とイノベーションの方法が変革されるメリットを目の当たりにしています」

Honeywell、チーフデジタルテクノロジーオフィサー、シニアバイスプレジデント、シーラ ジョーダン (Shiela Jordan)

AI パワーユーザーは未来への窓を提供し、従業員が新しい働き方を受け入れ、リーダーが積極的になることで可能なことを示してくれます。

Copilot に関する調査: AI はどのように労働時間を再編成しているのか

マイクロソフトの調査担当者は、複数業種の 60 人の Copilot ユーザーを対象に、6 カ月間にわたるランダム化比較試験 (RCT) を実施しました。この調査は、使用を奨励する介入がない自然な職場環境で AI を使用する 3,000 人の個人に対する大規模調査として初めてのものです。暫定結果では、AI が職場の労働形態を根本的に変えたことが示されました。受信トレイの処理に費やす時間が減少し、会議の価値が高まり、価値の高い集中作業に費やす時間が増加するなどの結果が得られました。

メール

メール: 全体として、Copilot のユーザーでは、個々のメールを読む回数が 11% 減り、メールのやり取りに費やす時間が 4% 減少しています。最も効果があったユーザーでは、メールを読む時間が 25% から 45% 短縮しました。

会議

会議: 会議に費やす時間が増えた企業もあれば、減った企業もあります。一つの仮説は、AI が、情報の蓄積として、そして、創作活動への近道として会議の価値を高め、ブレーンストーミングから容易に文書の初稿が得られるようになったというものです。効率性が高まったことで会議の回数が減る企業もあれば、価値が上がったことで会議の回数が増える企業もあるということです。AI の能力が進歩するにつれて、研究者はこの効果が続くと予想しています。すなわち、会議の時間を短縮できるとともに、会議の価値を高めることができます。

文書

文書: 全体として、Copilot のユーザーでは Word、Excel、PowerPoint での文書編集量が 10% 増加しています。最も大きな影響を受けた企業は、20% 増加しています。これは、人々が節約した時間を、情報の作成や消費といった価値の高い作業に再利用していることを示唆しているのかもしれません。

進むべき道

従業員の AI に対する熱意をビジネスの変革につなげることが、リーダーにとっての将来の機会となります。その方法は組織によって異なりますが、ここでは一般的な始め方を紹介します。

  • ビジネス上の課題を識別し、AI を適用する: あらゆる機能で効率化が可能ですが、重要なのは、プロセスを選び、AI を適用することです。たとえば、カスタマーサービスから始め、電話対応時間の改善にフォーカスするなどです。世界的な広告ネットワークである電通は、クリエイティブ開発プロセスに AI を導入しています。Estée Lauderは、製品開発と顧客体験を再構築するためにAIを活用しています。
  • トップダウンとボトムアップの両方のアプローチ: 実験から変革に至るには、CEO から若手の従業員に至るまで、組織のあらゆるレベルでの関与が必要です。AI でチームを活性化させるために、ビジネスラインのリーダーを参加させることが、ビジネス上の利益につながります。マイクロソフト社内で Copilot を展開する際には、AI の熱意と適性をモデル化して広めるために、あらゆるレベルでの社内推進役を頼りにしてきました。
  • 研修の重視: AI のパワーユーザーは、独学で学んでいるわけではありません。彼らは、一般的なタスクと、自分の役割や機能に合わせた使い方の両方について、継続的なトレーニングを受けています。LinkedIn Learning はスキルアップに最適な場所です。 また、Copilot Scenario Library は特定の職務や機能のユースケースを提供します。

今、私たちは、仕事における AIの重要な瞬間を迎えています。私たちが PC 以前の時代を振り返るように、AI が無かったらどうやって仕事をできたのだろうと考える日が来ることでしょう。AI はすでに人々の創造性と生産性を高め、求職者に優位性を提供しています。長期的には、仕事のあらゆる側面を変えていくでしょう。実験的な試みを具体的なビジネスインパクトに変えるという、技術革新の難局に直面したとき、この課題に正面から立ち向かう企業こそが成功するでしょう。この段階では、運は大胆な者に味方します。

中小企業および米国の都市圏におけるデータの比較はこちらからご覧ください。そして、マイクロソフトLinkedIn が、AI の時代に組織プロフェッショナルの成功を支援するためにどのようなイノベーションに取り組んでいるのかをご確認ください。

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  1. 仕事で生成 AI を使用している調査回答者の 46% は 使用開始から6 カ月未満です。
  2. データは、2024 年 3 月までの連続する 28 日の期間における、法人顧客による会議の要約のための意図的な Copilot クエリ数を表しています。Teams Intelligent Recap のアクティビティは含まれません。ヘビーユーザーとは、Copilot クエリ数の上位 5% のユーザーを指します。EU および教育分野での使用を除きます。
  3. データは、2024 年 3 月までの連続する 28 日間における、法人顧客による意図的なメールの利用数を表しています。EU および教育分野での使用を除きます。
  4. 2024 年 3 月までの週末を除く、連続する 28 日間における Microsoft 365 のコラボレーションパターン。滞在時間は、Outlook、Teams、Word、PowerPoint、Excel、OneNote などの Microsoft 365 アプリケーションでの意図的なアクティビティにより表されます。意図的なアクティビティには、会議への出席、メール作成、データ分析、文書の見直しや編集などが含まれます。法人顧客を含み、教育分野を除きます。
  5. 調査は、 LinkedIn に代わって Censuswide が 2023 年 11 月 24 日から 2023 年 12 月 12 日の間に米国の社会人 1,013人 を対象に実施したものです。
  6. LinkedIn の Executive Confidence Index に基づく未公開データ。
  7. LinkedIn の 2024 Workplace Learning Report に基づく未公開データ。

調査手法

Work Trend Index Survey

Work Trend Index の調査は、2024 年 2 月 15 日から 2024 年 3 月 28 日にかけて、31 市場においてフルタイム勤務者または自営業のナレッジワーカー 31,000 人を対象に、独立系調査会社 Edelman Data & Intelligence が実施したものです。この調査は 20 分間で、英語または各市場の現地語によりオンラインで実施されました。各市場でフルタイム労働者 1,000 人を対象に調査を行い、全回答を集計して平均値を算出しました。米国では、9 つの地域/大都市圏で 2,800 人のフルタイム勤務者または自営業の知識労働者の追加サンプルを収集しました。

調査対象の国:

アルゼンチン、オーストラリア、ブラジル、カナダ、中国、コロンビア、チェコ共和国、フィンランド、フランス、ドイツ、香港、インド、インドネシア、イタリア、日本、マレーシア、メキシコ、オランダ、ニュージーランド、フィリピン、ポーランド、シンガポール、韓国、スペイン、スウェーデン、スイス、台湾、タイ、英国、米国、ベトナム。

調査対象となった米国の地域/大都市圏:

アトランタ、オースティン、ボストン、DCメトロ、ヒューストン、ニューヨーク、ノースカロライナ、ピッツバーグ、サンフランシスコベイエリア。

本レポートで言及されている対象者は以下のように定義されています。

  • ナレッジワーカー: (オフィスか自宅かにかかわらず) デスクワークが一般的な人。このグループには、対面勤務、あるいは少なくともある程度のリモート勤務をしている人が含まれます。
  • AI パワーユーザー: 生成 AI に慣れ親しんでおり、少なくとも週に数回は仕事で使用し、1 日 30 分以上の時間を節約しているナレッジワーカー。
  • ビジネスリーダー/ビジネス意思決定者: ナレッジワーカーであり、採用、予算、福利厚生、社内コミュニケーション、オペレーションなどに関する意思決定に少なくとも一定の影響力を持つ中堅以上の役職者 (SVP、VP、シニアディレクター、ゼネラルマネージャー、EVP、C-Suite、社長など)。
  • 従業員/非ビジネス意思決定者:採用、予算、福利厚生、社内コミュニケーション、オペレーションなどに関する意思決定影響力を持たない、中堅以下のナレッジワーカー

LinkedIn Economic Graph Research Institute

LinkedIn のエコノミックグラフは、10 億人以上の会員、6,700 万社の企業、13 万 4,000 校の学校をカバーし、デジタルで世界の労働力を表現したものです。LinkedIn の Economic Graph Research Institute (EGRI) は、エコノミックグラフのデータに基づいて、経済と労働市場に関するメンバーやリーダーの重要な質問に答えることにフォーカスした調査を推進しています。本レポートにおける EGRI の測定基準は以下のとおりです*

  • AI 適正スキル: ChatGPT、Copilot、GitHub Copilot などの生成 AI ツールを使用する能力を指す標準化されたスキルです。
  • AI 適性スキルを追加したプロフェッショナル:プロフィールに任意のスキルを追加した会員数に対して、AI 適性スキルを追加した会員数の割合の伸びを算出しました。
  • AI 適性スキルを追加したトップ職種: LinkedIn の分類による各職種について、プロフィールに任意のスキルを追加した会員数に対する、AI 適性スキルを追加した会員数の割合の伸びを算出しました。
  • AI部門責任者: 「AI」、「人工知能」、「機械学習」のキーワードと「Head」のキーワードまたは LinkedIn の標準的な上級職表記である「Director」、「VP」、「CXO」のキーワードを含む役職を持つメンバーを特定しました。次に、AI 責任者の役割を担っている会員が少なくとも 1 人いる企業数の時系列を作成しました。
  • 20 年前には存在しなかった LinkedIn の Jobs on the Rise (JOTR) (米国のみ): LinkedIn は、毎年、過去 3 年間で、その職種に就いている (その肩書を持つ) 会員数が最も急成長した職種をランキングした JOTR を発表しています。インターンシップ、ボランティア、暫定的勤務、学生は除きます。20 年前には存在しなかった JOTR の割合を計算するために、O*NETの 2000 年度の分類法との比較を行いました。O*NETは、米国労働省の支援により開発されたデータベースで、米国の職業情報の主要な情報源です。何百もの職務の定義が含まれており、学術研究にも広く利用されています。
  • スキルの変化予測: スキルが過去にどのように変化したかを調べ、線形外挿によって将来どのように変化するかを推定することで、スキルが時間とともにどのように変化するかを予測しました。また、生成 AI によって簡単に複製できるスキルが、他の重要なスキルに比べて重要でなくなるというシナリオを想定することで、生成 AI テクノロジの影響についても考慮しています。

* 特に断りのない限り、レポートの結果は英国、ドイツ、フランス、インド、シンガポール、オーストラリア、ブラジルを含むグローバルなものです。

LinkedIn Executive Confidence Index

LinkedIn の Executive Confidence Index (ECI) は、LinkedIn の会員 (副社長クラス以上) 5,000 人を対象に、四半期ごとに実施されるオンライン調査です。直近の調査は 2024 年 3 月 4 日~19 日に行われました。会員は無作為に抽出され、調査に参加するにはオプトインする必要があります。データは集計後に分析され、会員のプライバシーは常に尊重されます。データは、プラットフォーム上のエグゼクティブの公平な代表性を確保するために、職務と業種によって重み付けされています。この結果は、LinkedIn の会員から見た世界を表しています。LinkedIn の会員と市場全体との間の相違は考慮されていません。

LinkedIn Workplace Learning Report

LinkedIn Learning 2024 Workplace Learning Report では、予算の決定に何らかの影響力を持つ L&D 担当者および人事担当者 1,636 名と、学習者 1,063 名を対象に調査を行いました。調査対象の地域は以下のとおりです。北米 (米国、カナダ)、南米 (ブラジル)、アジア太平洋 (オーストラリア、ニュージーランド、インド、日本、カンボジア、インドネシア、シンガポール、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、タイ、香港)、ヨーロッパ (英国、アイルランド、ベルギー、オランダ、ルクセンブルク、ノルウェー、フィンランド、スウェーデン、アイスランド、デンマーク、フランス、ドイツ、オーストリア)。

2024 Global Marketing Jobs Outlook Report

Ipsos と LinkedIn が、NAMER (米国)、EMEA (英国、ドイツ、フランス)、APECA (インド、オーストラリア、シンガポール)、LATAM (ブラジル) において、377名の CFO を含む、様々な業種のシニアレベルの B2B マーケティングリーダー 1,577 名を対象にして 2023 年に実施した調査から得られた知見が活用されています。

本ページのすべての内容は、作成日時点でのものであり、予告なく変更される場合があります。正式な社内承認や各社との契約締結が必要な場合は、それまでは確定されるものではありません。また、様々な事由・背景により、一部または全部が変更、キャンセル、実現困難となる場合があります。予めご了承下さい。