Microsoft Azure Space でミッション達成の新たな道を切り開く
2023年 12 月 11 日 | ザック クレイマー (Zack Kramer) Azure エンジニアリング担当バイスプレジデント
※本ブログは、米国時間 12 月 11 日に公開された “Create new ways to serve your mission with Microsoft Azure Space” の抄訳を基に掲載しています。
Microsoft Azure Space の立ち上げ以降、私たちは以下の 3 つの主要な目標に取り組んできました:
- 全ての人が、どこにいても、どんなセキュリティレベルでも、Microsoft Cloud の力と可能性を最大限に活用できるようにする。これには、Muon Space や True Anomaly といったエキサイティングな宇宙スタートアップや、米宇宙軍のような政府機関との協業も含みます。
- 軌道上で収集されたペタバイト級のデータをリアルタイムで解析し、お客様がすぐにミッションに対応できるようにする。
- 開発者が軌道上でアプリケーションを開発、デプロイ、実行できるようにする。
お客様やパートナーが Azure Space ポートフォリオを採用し活用することで、何が可能かを示す新しく興味深いユースケースが出てきています。本日は、Azure Orbital のソフトウェア開発キットである Azure Orbital Ground Station と Microsoft Planetary Computer のアップデートとともに、お客様のストーリーをいくつかご紹介します。まだ始まったばかりですが、これらのストーリーは、宇宙レイヤーへのアクセスが、官民を問わず組織がミッションを達成する方法をどのように変えることができるかを理解する手助けとなるでしょう。
衛星事業者は、宇宙船の通信に Azure Orbital Ground Station を使用
宇宙データを地球に配信するには、低遅延で高スループットの安全で堅牢な地上ネットワークが必要です。しかし、オペレーターは様々な課題に直面しています。衛星との接触は地上局のカバレッジによって制限され、十分な容量を確保するのは困難で、コストがかかることもあります。
Azure Space は、宇宙データのダウンリンク、処理、ストレージ、分析、配信を一貫してサポートし、パートナーによる宇宙からクラウドへの伝送を可能にします。Azure Orbital Ground Station は、打ち上げから運用、運用終了まで、衛星ミッションの全フェーズをサポートするために必要な通信製品とサービスへの簡単で安全なアクセスを提供します。Microsoft Azure のマネージド データパスを利用して、コンタクトのセルフサービス スケジュールを行うことにより、ミッション運用は、シームレスに進行できます。
Muon Space が最初の 2 回の打ち上げでマイクロソフトと協力
すでに発表されているように、Muon Space は、初の打ち上げのサポートにマイクロソフトを選び、MuSat-1 ミッションの唯一の地上プロバイダーとして Azure Orbital Ground Station を使用しました。Muon Spaceは、2024 年初頭の 2 番目の衛星 MuSat-2 の打ち上げに向けて準備を進めており、ここでも Azure Orbital Ground Station を使用して、プロトタイプのマイクロ波センサーから収集されたデータを取得します。Muon Space は、宇宙天気と電離層データを米宇宙軍に提供します。
「打ち上げと初期運用は、衛星事業者にとって常にストレスの多い時期です。Azure Orbital のおかげで、ロケットから分離して 6 分以内に MuSat-1 とのコンタクトを確立することができました。この初期の成功は、軌道上での継続的な運用とともに、未来のミッションで Azure Orbital を使用する自信を与えてくれました。」― Muon Space オペレーション オートメーション リード、ペイジ ホランド氏 (Paige Holland)
政府のお客様向け Azure Orbital Ground Station
Azure Orbital Ground Station を採用する法人のお客様の勢いが増しています。現在、Azure Orbital Ground Station は、Microsoft Azure Government リージョン内でプレビュー利用が可能です。Azure Orbital Ground Station をAzure Government に導入することで、政府機関のお客様は、地上局、クラウドモデム、セルフサービス スケジュール、マネージド データパスのグローバルなパートナーエコシステムを最大限に活用できるようになります。
True Anomaly と Viasat は、宇宙領域を認識するため Azure Government の Azure Orbital Ground Station を活用
True Anomaly は、ランデブーと近接操作用の自律型軌道車両である 2 機の宇宙船「Jackal」の打ち上げに向けて、マイクロソフトと Viasat による地上支援を選びました。そして、Azure Government の Azure Orbital Ground Station を使用して、Viasat の Real Time Earth (RTE) サイトで衛星とのコンタクトをスケジュールします。
「Azure Orbital Ground Station のマネージド データパスを利用することで、グローバルな地上ネットワークへの接続が容易になります。Azure のボタンを 1 回クリックするだけで、Viasat Real Time Earth のすべてのサイトにアクセスでき、宇宙船からのデータがどこに着地すべきかを指定するだけで、マイクロソフトがオーケストレーションと接続を処理します。Azure Government 内で作業することで、お客様のいる場所で対応することができます。」― True Anomaly Jackal Block 1 プロジェクト マネージャー、ジャレッド カークパトリック氏 (Jared Kirkpatrick)
Viasat サイトへのファイバー供給
マイクロソフトは、お客様にデータを迅速かつ安全に提供するため、一部の Viasat RTE サイトに高速でリアルタイムなクラウド接続を設定し、お客様が毎秒数ギガビットのダウンリンクをストリーミングできるようにしています。
「マイクロソフトとの協業により、Viasat は True Anomaly などのお客様に対して、宇宙通信ソリューションへの低負荷アクセスを可能にしました。Azure Orbital Ground Station は、共通のデータプレーンと API を提供しています。これにより、Ka バンドを使用して非常に高いスループットのデータダウンリンクを含む当社のグローバルなアンテナネットワークにアクセスすることができます。」― Viasat 戦略的パートナーシップ担当リアルタイム アース ディレクター、アーロン ホーキンス氏 (Aaron Hawkins)
Azure Orbital Ground Support がお客様のミッションをどのようにサポートしているかについて、こちらのビデオをご覧ください。
宇宙データから洞察を得る
宇宙データの量と価値が増え続ける中、地上インフラに簡単かつ低コストでアクセスできることは、お客様のミッションクリティカルな業務を支える中心的な役割を果たします。また、お客様が宇宙から収集したほぼリアルタイムのデータにアクセスし、それを分析する能力も重要です。
未来のクラウドには、衛星接続や地球観測データなどの宇宙ソリューションが組み込まれるでしょう。そして、地球を観測する宇宙ベースのセンサーや衛星データは、地上でのデータ洞察を向上させるためにますます利用されるでしょう。
マイクロソフトの「クラウドの未来」ウェビナーシリーズの最新エピソードでは、「持続可能な未来のための惑星コンピューター」の構築における宇宙データの役割について探ります。
このシリーズをご覧いただくと、以下のことを学ぶことができます:
- クラウドと宇宙の可能性を最大限に活用し、組織とミッションにおいてデータ主導の意思決定を実現する。
- 開発者が健全な生態系を測定、監視、モデリング、管理するためのツールを構築できるようにすることで、Microsoft Planetary Computer が、どのように環境の持続可能性と地球科学の世界的な取り組みを支援しているか。
- Microsoft Planetary Computer を基盤とした新しい Azure Space データソリューションは、マイクロソフトのお客様に対して、地球観測データの可能性を最大限に引き出す潜在的な機会を生み出す。
開発者が軌道上で構築、デプロイ、運用できるようにする
宇宙産業への参入障壁を低くするためには、全ての開発者がアプリケーションを構築・デプロイし、宇宙へ展開できるようにすることが重要です。Azure Orbital のソフトウェア開発キットは、衛星事業者に新しいビジネスモデルを解放し、ミッション要件を達成するためのツールと機能を提供します。
Loft Orbital、YAM-6 によるバーチャルミッションのお客様のオンボーディングを開始
過去 2 年間、マイクロソフトと Loft Orbital は、宇宙への参入障壁を下げるために連携してきました。その重要な柱が「バーチャルミッション」の実現です。開発者は、独自の宇宙用ハードウェアを開発したり展開したりせずに、ソフトウェアアプリケーションを作成するだけで宇宙機能を簡単に利用できるようになります。
YAM-6 は、この機能に特化した最初の衛星です。先週、YAM-6 が 2024 年のバーチャルミッションのため、お客様の募集を開始したことを発表しました。一般公開は 2024 年 4 月に予定されています。
「Loft の宇宙インフラとマイクロソフトのクラウドおよび地上インフラを活用することで、誰でも簡単に AI アプリケーションを宇宙で大規模に展開できるようになります。YAM-6 は、Azure Orbital Ground Station や Azure Orbital 軌道上スペースエッジアプリケーションフレームワークなどのAzure Orbital の製品ポートフォリオによってサポートされています。」― Loft Orbital 共同創業者兼 CEO、ピエール ダミアン ヴォジュール氏 (Pierre Damien Vaujour)
Space Compass、バーチャルミッションを活用してコンセプトを迅速に実証
Space Compass は、日本の情報通信技術 (ICT) のリーダーである NTT と、アジア最大の衛星通信事業者であるスカパー JSAT 株式会社が設立した合弁会社です。スペースエッジコンピューティング機能と超高速光データ中継ネットワークの展開を目指し、数年にわたりミッションに取り組んでいます。これにより、宇宙データ利用者は、クラウド環境でリアルタイムデータをより効率的に利用できるようになります (図1参照)。
過去 3 カ月間、Space Compass は、マイクロソフトと協力して、軌道上処理の価値をより深く理解し実証するため、また、それをサポートするために、未来の宇宙インフラをどのように形成するかについて、ユースケースを模索してきました。
「マイクロソフトのチームと密接に連携して、最先端の宇宙コンピューティング ソリューションを開発できることを大変うれしく思います。これは、宇宙統合コンピューティング ネットワークを実現するための重要な取り組みのひとつです。」― Space Compass 共同最高経営責任者堀 茂弘氏
Space Compass は、YAM-6 上でバーチャルミッションを実行し、AI ベースの船舶検知を実証します。このデモンストレーションは、Space Compass 独自の衛星で実施される未来のミッションへの道を開き、リスクを軽減します。Space Compass のミッションの詳細についてはこちらをご覧下さい。
マイクロソフトと Space Compass は、クラウドの高速接続を通じて、宇宙エッジに AI 能力をもたらす軌道上処理の力を信じています。
詳細情報
これらのエキサイティングなユースケースは始まりに過ぎません。Microsoft Azure Space がミッションを実現する新しい方法について、詳しく知りたい方は以下をご覧ください:
- Azure Space のデータがお客様の組織やミッションをどのように進化させるかについてのニュースや更新情報を受けるために登録をお願いします。または、このフォームに記入して Azure Space チームと連絡を取ることもできます。
- Azure Orbital Ground Station の Web サイトとドキュメント ページをご覧ください。
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