Global Accessibility Awareness Day への敬意と行動への呼びかけ

ジェニー レイ-フルーリー (Jenny Lay-Flurrie)
マイクロソフト チーフアクセシビリティオフィサー

※本投稿は、米国時間 5 月 20 日に公開された “Honoring Global Accessibility Awareness Day with a call to action” の抄訳を基に掲載しています。

本日は、第 10 回にあたる Global Accessibility Awareness Day (GAAD) です。マイクロソフトでは GAAD を迎え、この 1 年でアクセシビリティへの取り組みを進めることがこれまで以上に重要になったことを無視するわけにはいかないと考えています。

COVID-19 により、障碍のある人はより大きな影響を受けています。障碍のある人に対する社会的インクルージョンの格差が拡大し、世界銀行ではこれを「障碍格差」と定義しています。GAAD は、障碍のある人にも平等に活躍の場が与えられるよう推進する機会といえます。これには、アクセシビリティへの取り組みが確実に永続的で持続可能なものとなるようにすることも含まれますが、そこでまず必要となるのはリーダーシップです。

ホワイトハウスでは、障碍のある人に対する政策ディレクターを初めて設け、キンバリー ナックステッド (Kimberly Knackstedt) 氏がその役職に就任したことを発表しています。また、これまで以上に多くのメディアが障碍のある人に関する話題をカバーする担当レポーターを採用しています。こうした動きにはマイクロソフトも勇気づけられました。そこで、当社もさらに取り組みを進めようと、先日「障碍格差」の解消に向けた5年間の施策を発表しています。このような取り組みを推進するのはマイクロソフトだけではありません。世界中の企業がアクセシビリティへの取り組みを始めたり、拡大したりしているのです。このような取り組みの拡大には頭が下がる思いですが、それでもアクセシビリティはまだ十分注目されているとはいえませんし、アクセシビリティを推進するリーダーも十分揃っているとはいえません。さらなる取り組みが必要なのです。

マイクロソフトでは、米国の従業員の中で少なくとも 6.1% の人に障碍があることがわかっています。企業が「通常の状態に戻る」ことを視野に入れる中、アクセシビリティは組織の中で、特に障碍のある従業員にとって「職場復帰」のあり方などをテーマにした戦略の実施をリードします。

マイクロソフトの「障碍格差」解消に向けた 5 年間のコミットメントの一環として、アクセシビリティのテクノロジ、人材開発、ワークプレースという 3 本の柱に注目し、それを新たなスキル戦略や新たなパートナーシップ、テクノロジへの投資と結びつけました。ここでは、今回の取り組みによって生まれた新たなすばらしい構想を一部ご紹介します。

まずはテクノロジについてお話ししましょう。製品は、障碍のある人に力を与えるだけでなく、世界中に 10 億人以上存在する障碍のある人へのインクルージョンに向け、あらゆる人に力を与えます。マイクロソフトは、「設計上アクセシビリティの高い」製品を構築することに注力しています。以下はその一部です。

  • ゲームにおけるアクセシビリティ: Xbox は本日さまざまな発表を行い、地球上に 4 億人以上いるとされる障碍のあるプレイヤーを含め、より多くの人がゲームをプレイできるような取り組みを継続しています。中でも注目していただきたいのは次の 3 点です。
    • Xbox Accessibility Insider League (XAIL) により、Xbox のエンジニアチームやゲーム開発チームに対し、シンプルかつ効率的に直接アクセシビリティに関するフィードバックを送ることができるようになります。障碍のある人であれば、どなたでも参加できます。Xbox Insider Hub 最新版は、アクセシビリティを優先した上で再設計されており、開発者が求める重要なフィードバックを送る際、そのフィードバック提供の体験や方法を見つける中心的なツールとなっています。
    • また Xbox ゲームアクセシビリティチームでは、状況的な障碍を含め、さまざまな障碍のあるプレイヤーが一般的なゲームで体験したアクセシビリティの障壁をまとめた Gaming and Disability Player Experience Guide (ゲームと障害のあるプレイヤーの体験ガイド) を作成しました。
    • Xbox および Gears 5 や Minecraft などのゲームにさまざまな新機能が登場しています。Xbox Party Chat では、まもなく音声を文字に変換する機能や、文字から音声を合成する機能がサポートされます。Gear 5 には、エスケープモードに「ナビゲーションピング」が用意されました。これは、目の見えないゲーマーや弱視のゲーマーが、ゲーム内でうまく行動できるよう音声指示する機能です。詳細はこちらをご覧ください。
  • アクセシビリティをシームレスでインクルーシブなものに: アクセシビリティは、製品やデータソース、ドキュメント、サポートチャネルの構築など、分野に関わらず全員が責任を持って取り組むものです。今回次のような進化を遂げたことを嬉しく思います。
    • シモーネ スタンフ (Simone Stumpf) 氏は ORBIT (視覚に障碍ある人のイメージトレーニング用オブジェクト認識) を率いています。ORBIT は、全盲や弱視の人からデータを収集し、人工知能 (AI) でパーソナライズされたオブジェクトを認識できるようにするものです。この重要な取り組みは、障碍のある人からのデータが不足するデータの砂漠対策を支援するもので、AI が誰にとっても正確で役立つものになることを目指しています。こちらからスタンフ氏のストーリーをご覧いただけます
    • 新機能の Outlook MailTip が本日公開されました。これは、アクセシビリティを高める方法を教えてくれる機能で、大規模な配信リストにメールを送る前に問題があれば修正してくれます。近日中に公開予定のバックグラウンドアクセシビリティチェッカー機能では、ドキュメントやメール、プレゼンテーションの作成時にアクセシビリティをチェックします。
    • マイクロソフトは 2015 年、耳の不自由なお客様に向け、アメリカ手話 (ASL) に対応した Disability Answer Desk を立ち上げました。また 4 月には、マイクロソフトストアで ASL Support を立ち上げ、お客様の購買体験をサポートしてきました。本日マイクロソフトは、LinkedIn 向け Be My Eyes Support を発表し、製品やアクセシビリティに関するご質問にお答えします。
    • #BuildFor 2030 キャンペーンには、AI for Accessibility の助成先である WeWALK が参加しています。WeWALK はスマート杖を製作、杖から直接音声コマンドでアクセシビリティの高いナビゲーションや探索を行い、全盲や弱視の人の行動範囲を広げています。WeWALK ついて、またその他の AI for Accessibility プロジェクトについては、こちらをご覧ください。

次に、マイクロソフトでは、障碍のある人の代表となるようなグローバル人材が必要だと考えています。人材育成は、マイクロソフトの中心となる目標のひとつです。障碍のある人でも公平に教育や仕事の機会に恵まれるべきだと考えているためです。ここで 2 つの例をご紹介します。

  • 11 社のパートナーと協力して生徒に学習成果の向上を促し、教室でのアクセシビリティとインクルージョンを高めようとしています。そのひとつが Lexplore です。Lexplore は、小学校から高校までの教育者が AI と視線追跡技術を使い、K-12 の教育者に、わずか 3~5 分で完全に読解力評価ができるというものです。また、 Made by Dyslexia では、教室で 5 人に 1 人いるとされるディスレクシア (読字障碍) の生徒を特定し、サポートするためのトレーニングを開始しました。
  • APAC 支援プログラムでは、開始から 7 ヶ月間で、6 ヶ国 110 人の障碍のある人の就職活動を支援しました。企業には、雇用主パートナー向けのクラウドと AI のトレーニングやアクセシビリティ教育、障碍のある人をサポートしている非営利団体からのインクルーシブ採用などが提供されています。インドでは、新たなスキル構想で金融部門での雇用機会創出に取り組んでいます。

マイクロソフトでは、世界中の障碍のある人の完全な代弁者となることを目指しており、真剣に取り組んでいます。これまで何度もお伝えしてきたように、これをひとつの道のりとして、引き続き企業 DNA にアクセシビリティと障碍のある人のインクルージョンを組み入れていきます。マイクロソフトでは、すべての従業員が本来の自分の姿を職場に持ち込み、障碍があることを自分で認識し、自分や同僚に対しそのことを共有し支持するよう勧めています。ここで、マイクロソフトのチーフピープルオフィサーであるキャスリーン ホーガン (Kathleen Hogan) が、第 11 回年次 Ability Summit にて自らの道のりについて語ったビデオをご紹介します。Ability Summit にはバーチャル上で 1 万 2000 人が集まり、アクセシビリティと障碍のある人のインクルージョンの未来について議論しました。私は、障碍を強みとみなし、人間であることの一部としてみなすような企業の一員であることに、謙虚さと誇りを感じます。

本日は、英国カナダスウェーデンをはじめとする世界中のマイクロソフトのオフィスでも、インクルージョンに関する面白い取り組みが紹介されています。「障碍格差」の解消には、全員の成功が必要です。そこで皆様にお願いしたいことがあります。今日は時間を使って知識を深めてください。マイクロソフトでは、アクセシビリティ基礎コースや、LinkedIn の Digital Accessibility for the Modern Workplace (現代の職場におけるデジタルアクセシビリティ) に関する新ビデオシリーズなど、さまざまなアクセシビリティに関するコースを用意していますので、お好きなコースを受講いただければと思います。詳細は、aka.ms/AccessibilityCommitment をご覧ください。

本ページのすべての内容は、作成日時点でのものであり、予告なく変更される場合があります。正式な社内承認や各社との契約締結が必要な場合は、それまでは確定されるものではありません。また、様々な事由・背景により、一部または全部が変更、キャンセル、実現困難となる場合があります。予めご了承下さい。

Tags: , , , , ,

関連記事