アクセシビリティを考慮し、障碍のある人のコミュニティと共に設計した Surface アダプティブ キット
ガビ ミシェル (Gabi Michel)
※本ブログは、米国時間 12 月 1 日に公開された “Surface Adaptive Kit – designed with accessibility in mind and in collaboration with the disability community” の抄訳を基に掲載しています。
※日本の展開に関しても下記掲載していますので、併せてご確認ください。
9 月下旬、マイクロソフトは Surface アダプティブ キットの登場が間近であるとお伝えしました。本日、同製品が正式に発表されたことを受け、Surface デバイスをより簡単に使えるよう、ラベルやインジケーター、オープナーの作成にご協力いただいた方々やコミュニティ、そしてそのストーリーに対し、改めて感謝を伝えたいと思います。
設計段階からアクセシビリティを考慮
数年前、マイクロソフトは障碍があるゲーマーの人たちと協力し、Xbox Adaptive Controller を開発しました。このコントローラーで、より多くの人が自分の好きなゲームを楽しめるようになりました。その過程において、障碍のある人たちが伝えてくれた体験から学びを得て、当社の開発する製品は設計段階からアクセシビリティを考慮することが重要であるとの思いが高まりました。この学びに基づき、2020 年 6 月にマイクロソフトは障碍のある人たちをマイクロソフトの Inclusive Tech Lab に招待しました。その目的は、障碍のある人たちが Microsoft Surface PC をどのように使用しているかを学び、どういった課題に直面するのか把握するためです。1 週間にわたり、デザイナーやエンジニアなどのチームがバーチャルで開催された Inclusive Design Sprint に参加し、弱視、脳性麻痺、ALS といった障碍のあるお客様と直接交流したほか、誰もがアクセシビリティの高い生活ができるよう取り組んでいる非営利団体の Open Style Lab など、アクセシビリティデザインの専門家ともお話ししました。
アクセシビリティ担当 シニア UX リサーチャーのブライス ジョンソン (Bryce Johnson) は、「すでに一部の障碍のあるお客様は、Surface をより使いやすくしようと工夫していることもわかっていました。最終的には、そういった工夫によってお客様の生産性が高まるだけでなく、その工夫を施した Surface のようにお客様自身の価値を高めることにつながると考えています。Inclusive Design Sprint の参加者から得たフィードバックにより、お客様がデバイスを使う時に体験する課題に共通点があることもわかりました。それが Surface アダプティブ キットの基本の柱となっています」と語ります。「Xbox Adaptive Controller での取り組みと同様、マイクロソフトでは『私たちのことを私たち抜きで決めないで (Nothing About Us, Without Us)』という考えを尊重しています。そのため、Surface アダプティブ キットの設計にあたって障碍のある人たちに協力してもらうことは非常に重要だったのです」
Surface アダプティブ キットの制作全般において最優先事項となったのは、マイクロソフトの Inclusive Design Principles (インクルーシブデザイン指針) に忠実であることです。開発中に、マイクロソフトは障碍のある社員のベータテストコミュニティを設け、コミュニティからのフィードバックを継続的に設計や機能に反映させました。特に驚いたのは、Surface アダプティブ キットが想像もしなかったような形でテストコミュニティに力を与えているとの話を聞いたことでした。
マイクロソフトのシニアプログラムマネージャーで、ベータテストに参加したブレット H (Brett H) は、「まずキーボードでこのキットを使い、特定のキーにラベルを貼って入力時に位置がわかりやすいようにしました。次に想像力を発揮して、家の中にある他のものにもラベルを貼って同じように利便性を高めようと考えました。例えば、電子レンジにラベルを貼ってボタンの位置をわかりやすくしたり、ワイヤレスヘッドフォンにラベルを貼って充電用の厄介な USB コネクタをさっと揃えられるようにしたりといった具合です。次は洗濯機や乾燥機にも貼ってみようかと考えているところです」と話します。
社内コミュニティからのフィードバックは、Surface アダプティブ キットを設計段階からアクセシビリティを考慮したものにするという取り組みの支えになりました。できるだけ多くの人がパッケージを簡単に開けられるようにしたほか、QR コードの横に点字を添えることですぐにコードを見つけて読めるようにしました。マイクロソフトの社員以外にも、コロラド州デンバーの Craig Hospital といった外部パートナーとも協力してフィードバックを集め、Surface アダプティブ キットの要素を改善しました。こうした皆様から当チームは数多くのことを学びました。皆様のご協力の賜である Surface アダプティブ キットが、あらゆる人たちの生産性を高めてくれるよう願わずにいられません。
ジョシュアさんのストーリー
今回の発表に向け、当チームはマーケティングチームと協力し、Surface アダプティブ キットのアダプティブデザインだけでなく、製品の制作に協力してくれたコミュニティを表現する目的で写真撮影の機会を設けました。クリエイティブチームがすばらしい才能を持つ協力者を探し出し、共に製品体験に命を吹き込んでいきました。撮影中は皆自由に製品を使い、自分が最も役立つと思う使い方を披露していました。
こうした本質的な過程の中で、撮影に参加した人たちが、個人的な体験を共有することも多くなりました。日々の生活をどのようにこなしているか話してくれることもあれば、熱中している趣味について語ることもあります。
目が不自由なジョシュアさんは、アクセシビリティ技術コンサルタントとして、サーフィンのチャンピオンとして、さらには武道家として、どのように日々力を発揮しているか話してくれました。撮影後、私たちはジョシュアさんの日常について知りたいと思い、彼に 1 日密着してみました。
ジョシュアさんは南カリフォルニア在住で、彼が言うところの「冒険心の哲学」に沿って生活しているといいます。これにより、何があっても対応できるようになるとのことです。「人生は困難であふれています。意図的に難しいことに取り組むようにしないと、人生の出来事に揺さぶられることもあります。サーフィンに行って、何もできずに海に打ちのめされるようなひどい日があっても、その日はそのあと気分が良くなります。難しいことをしたので、頭がはっきりするんです。多くの人はできないと思っているようなことができるのだと確信し、自分の中で自信が湧いてくるのです」
ジョシュアさんは、幼少期は完全に目が見えない状態ではありませんでしたが、高校 2 年生の時の事故で全く見えなくなりました。ジョシュアさんは自らの哲学を貫き、サーフィンの全米選手権で優勝、武道コミュニティにも積極的に参加しています。しかも、さらに大きな野望があるというのです。「サーフィンは 2028 年のパラリンピック競技となる計画が進んでいます。そこで、全盲サーファーとして最初のパラリンピック金メダリストになろうと考えています。また、プロとして武道を教えているのですが、障碍やメンタルヘルスなど、さまざまなことで悩む人たちに対し、それが武道のトレーニングの妨げになることはないと示すような非営利団体を設立したいと考えています」
こうした情熱を追求する以外にも、ジョシュアさんはアクセシビリティ技術に関わる企業で働いています。最初の写真撮影を終えた際、ジョシュアさんはサンプルキットを持ち帰り、使った感想を教えてくれました。「いろんなステッカーがあるところが、すばらしいですね。人それぞれ頭の中で理解できることは、少しずつ違います。それをカスタマイズできるのです。私も自分の Surface タブレットにいろんなステッカーを貼って、キーを素早く見つけられるようにしています。これをコーヒーメーカーなどいろんなものにも貼れます。情報が少し早く手に入るのでいいですね。小さなことですが、十分にメリットがありますし役に立ちます」
まだ始まったばかり
今回、Surface アダプティブ キットを皆様にお届けできることを嬉しく思います。ただし、これは私たちが共に歩む長い道のりの最初のマイルストーンに過ぎません。マイクロソフトは、すべての製品を設計段階からよりアクセシビリティの高いものにしようと取り組んでおり、その中で今後も皆様からのフィードバックを追求し、その声に耳を傾け、学び続けます。こうすることで、Surface や Windows PC をより使いやすくする体験を共に創造していきたいと考えています。
Surface アダプティブ キットは、現在一部の市場で提供しています。Microsoft Store でご購入いただくか、Surface の販売パートナーにお問い合わせください。12 月 14 日には、全世界で販売を開始します。
Surface アダプティブ キットの詳細や、さまざまな使用方法については、こちらをご覧ください。
フィードバックやアイデアは、Inclusive Tech Lab までお送りください。
日本での展開に関して
Surface アダプティブ キットは、一般向けおよび法人向けに販売します。販売方法の詳細は以下の情報をご確認ください。また、Surface アダプティブキットの詳細や使い方はこちらからご確認ください。
- 一般向け
12 月 14 日より、マイクロソフト公式ストアより販売を開始します。
- 法人向け
12 月 14 日より、マイクロソフト認定 Surface リセラーおよび DMP (Distributor Managed Partner ※1) 各社、またはマイクロソフト公式ストア (法人窓口) から販売を開始します。
※1 DMP (Distributor Managed Partner) は、2021 年 4 月 1 日より開始された Surface 正規代理店プログラムです。従来の Device Value Added Reseller Program (D-VAR プログラム) の後継にあたるプログラムです。
◆一般向け製品情報
マイクロソフト公式ストア: Surface アダプティブ キット – Microsoft Store
一般向け価格
製品 | 参考価格 (税込) |
Surface アダプティブ キット | ¥1,870 |
※一般向け製品は消費税の総額表示の対象となるため、価格は税込み参考価格として表示しています。
◆法人向け製品情報
マイクロソフト公式ストア: 法人向け Surface アダプティブ キット – Microsoft Store
法人向け価格
製品 | 参考価格 (税抜き) |
Surface アダプティブ キット | ¥1,700 |
※法人向け製品は事業者間での取引となり、消費税の総額表示の対象ではないことから本価格表での価格は税抜き参考価格として表示しています。
◆法人向け認定 Surface リセラーの情報はこちらからご確認ください。
◆その他関連情報
- 日本における Surface の情報は、https://www.microsoft.com/ja-jp/surface をご確認ください。
- 法人向け Surface の情報は、https://aka.ms/surfacebizjp をご確認ください。
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