AI を活用して生命を救う

ブラッド スミス (Brad Smith)
マイクロソフト プレジデント

自然災害や人為的災害、政治的抑圧といった重大な問題が世界を長期的に苦しめ、人道面の危機がもたらされています。グローバルな支援組織がこれらの問題に対応するために努力していますが、その取り組みは事後対応的であることが多く、規模拡大が困難です。クラウド上での人工知能 (AI) などのテクノロジが、支援組織の問題の予測と対応能力を向上することで、この状況を変え、より多くの生命を救い、人々の苦難を軽減し、人間の威厳を回復できるようになるとマイクロソフトは考えています。

本日、国連総会に合わせ、マイクロソフトは新たな 4,000 万ドル規模の 5 年間にわたるプログラム、AI for Humanitarian Action を発表します。この取り組みでは、AI を活用して 4 つの優先事項にフォーカスします。すなわち、災害対策、子供たちのニーズへの対応、難民の保護、そして、人権意識の奨励です。このプログラムは、マイクロソフトの 1 億 1,500 万ドル規模の 5 年間にわたる、人工知能によって社会の最大の課題を解決することを目指した取り組みである AI for Good の一環です。

マイクロソフトによる AI for Earth そして AI for Accessibility の取り組みにならい、選定したNGO や人道組織と、補助金、テクノロジ投資、そして、AI とデータサイエンス分野におけるマイクロソフトの専門知識とパートナーの専門知識の融合といった点で協力関係を構築します。AI for Humanitarian Action が、新たな応用分野における戦略的 AI プロジェクトを生み出し、さらに初期プロジェクトを拡大する新たな協力関係を生み出すことで、イノベーションを加速すると信じています。

以下の 4 領域における AI ソリューションの開発を可能な限り迅速化することがマイクロソフトの目標です。

  • 災害対策:地球上のどこにも、火災、干ばつ、台風など自然災害による深刻な被害の危険性がない場所はないように思えます。災害の兆候を早期に予測・検知し、適切な支援活動のターゲットを定めるためには、人工知能とデータモデリングがきわめて有望です。マシンビジョンなどの AI テクノロジにより、災害の被害を受けた道路のイメージを高速に分析し、迅速で安全な救助活動を行えるようにできます。世界銀行、国際連合、そして、テクノロジ業界のパートナーとの協力により、支援組織は、飢饉がいつどこで発生するかを適切に予測し、支援を迅速に提供し、より多くの生命を救うことができるようになるでしょう。
  • 児童保護:AI は、NGOや政府機関に対して、世界で最も大切な人々、すなわち、子供たちを保護するためのツールを提供できるとマイクロソフトは考えています。たとえば、人身売買は世界最大の犯罪活動のひとつであり、毎年、数 100 万人の子供たちが犠牲になっています。既に、マイクロソフトは、予測分析とボットフレームワークを活用し、人身売買の需要と供給を把握し、最終的には犯罪を防止して、世界中の犠牲者を救うことを目指しています。
    子供たちに対する基本的医療サービスも世界中で強く求められています。マイクロソフトの長期にわたるパートナーである NGO の Operation Smile は、マシンビジョンと顔面モデリングを活用し、顔面手術を必要とする子供たちを支援しています。乳幼児突然死症候群 (SIDS) も先進テクノロジが貢献できるもうひとつの課題です。毎年数 1,000 人の乳児が死亡していますが、その根本原因は完全には理解されていません。マイクロソフトは統計分析と機械学習を使用して、世界の SIDS の原因を究明し、その防止を目指している科学者たちに新たな洞察を提供しようとしています。
  • 難民支援:世界の難民数は史上最大となっており、私たちの世代にとっての緊迫した課題になっています。AI と機械学習には、世界に約 6,800 万人いる住居を失った人々(そのうちの 2,800 万人が難民です)の生活を向上できる可能性があります。AI は、支援物資やサービスの提供を最適化でき、NGO がより多くの難民のニーズに対応できるよう支援できます。マイクロソフトは、既に、Norwegian Refugee Council、NetHope、University College Dublin と協力し、自然言語理解、機械翻訳、音声認識などの AI テクノロジを採用したチャットボットを開発しています。これにより、若い世代の難民が高品質の教育情報に無料でアクセスできるようになりました。この種のチャットボットは現場の活動家も支援できます。たとえば、異なる言語を話す難民の食料、医療、避難所のニーズに適切に応えられるようにできます。
  • 人権保護:マイクロソフトは、NGO および人権団体と協力し、人権侵害行為を監視・検知・防止するための画期的ソリューションの開発を推進しています。ディープラーニングにより、重大な人権侵害行為の発生の予測・分析・対応能力を向上できました。AI による音声翻訳機能を利用して、人々は人権保護を担当する無料奉仕の弁護士とやり取りすることができるようになります。

AI for Good の取り組みの基本的要素は、人工知能やデータサイエンスにおけるマイクロソフトのテクノロジと専門知識を、世界中の環境問題、アクセシビリティ、人道支援などの領域の人材と結び付けることにあります。

AI を社会貢献に活用したいという強い力が革新的 NGO と組み合わされた時、世界ですばらしいことが起きるでしょう。テクノロジを社会の問題に広く適用することで、誰もがより多くのことを達成できるよう支援することができます。

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