「地産地消」で港区を自治体 IT 活用の模範に

「みなとワークスタイル宣言」の実現に向けた、職員の働き方改革の推進を支援

向かって左から、港区長 武井 雅昭様、日本マイクロソフト株式会社 執行役員 常務 パブリックセクター事業本部長 佐藤 知成

日本マイクロソフトは、東京都港区様が推進されている「みなとワークスタイル宣言」の実現に向けた、職員の働き方改革の推進をご支援しています。区職員等の庁内約 3,600 ユーザーが利用する統合コミュニケーション基盤として、マイクロソフトのクラウドソリューション「Microsoft 365」を導入いただき、Microsoft 365 に含まれるコラボレーションツール「Microsoft Teams」等を活用いただくのにあたり、当社が自社実践したノウハウや品川本社オフィスでの働き方などを共有させていただいています。

本ブログでは、港区長 武井 雅昭様と、日本マイクロソフト株式会社 執行役員 常務 パブリックセクター事業本部長 佐藤 知成による対談と、庁内でいち早くフリーアドレス化を実現した企画経営部 企画課のオフィス環境をご紹介します。

[港区長 武井 雅昭様と日本マイクロソフト株式会社 執行役員 常務 パブリックセクター事業本部長 佐藤 知成の対談]

・佐藤: 「みなとワークスタイル宣言」の推進をご一緒させていただきありがとうございます。Microsoft Teams などを含む当社の統合コミュニケーションツール Microsoft 365 を職員の皆様に活用いただきます。Teams といえば、最高裁判所が民事訴訟手続きの IT 化で Teams を採用されることを先日発表しました。裁判所に行かなくても、自宅や事務所からでも Teams の Web 会議機能を使って争点整理をすることができ、将来的には裁判所に行かなくても裁判に参加できるような先進的なデジタル裁判の実現も目指されています。港区様でも同じように、いつでもどこでも場所にとらわれない多様な働き方を実現されようとしています。

武井区長: 平成 29 年 7 月に「みなとワークスタイル宣言」を行い、全庁を挙げて、働きやすい職場づくりに取り組んでいます。職員が Microsoft Teams を庁内で活用するのに加えて、テレワークで活用することも想定しています。人が場所に縛られて移動を繰り返すのではなく、情報の方が動いてくれる、そうした環境を実現できるものと期待しています。

佐藤: 医療機関では、病院に行かなくても Teams でお医者さんとやりとりできるようになってきていますし、教育現場での活用も進んでいます。当社では、教職員の皆さまの働き方改革と、子どもたちの学び方改革をお手伝いしています。子どもたちの 1 人 1 台PC環境が言われていますが、1 人 1 台になった時に何を学ぶことが、子どもたちにとって望ましいのかを一緒に考えさせていただいたり、PC を使った授業に慣れていない先生向けのカリキュラムを作って各自治体の教育委員会様に提供させていただいたりしています。

武井区長: 教員の負担軽減が、教育現場の課題になっています。教材研究などやりたいことがたくさんあって、とことんやってしまう先生も多いようです。学校で勤務後に、いったん家に帰って育児や介護をしてから、再度学校に行って仕事するケースもあると聞きます。時間外労働を前提とするわけではありませんが、少なくともこうした移動の負担は、在宅で働く仕組みを整えることで軽減できます。個人情報に関わるものは学校で作業するとしても、教材づくりなどは自宅でも作業でき、負担軽減につなげることができます。

佐藤: 先生の授業内容や教材をデジタル化しておくことで、他の先生に共有しやすくなり、効率化できますし、子どもも何らかの事情で通学が難しい場合、Teams のようなツールを使えば、家から授業に参加できます。

武井区長: 集団教育はもちろん大事ですが、どうしても登校できない状況が続くと、授業についていけない、遅れてしまうという課題があります。先生の職場環境に対するイメージの問題もあります。子どもたちや人を育てることを生涯の仕事にしようという意欲を持つ若い人たちの想いを叶えられるような環境を整える必要があります。一方で、役所では、会議は人を集めて実施するものという意識が根強く、デジタル化が遅れているように感じます。

佐藤: 港区様ではこれまでもテレワークなどを実現できるIT的な仕組みはあったものの、ツールがバラバラに分かれていて不便だったと伺いました。

武井区長: 今はカメラなどの付いた最新端末が職員に配備され始めて、いつでもどこでも働きやすくなりました。庁内の新しい働く環境を考えるのにあたって、職員が日本マイクロソフトの品川本社オフィスを何度も訪問して、働き方を学ばせていただきました。

佐藤: 実は当社も品川に移転して 9 年が経過して、これまで当社オフィスに視察にいらっしゃったお客様が現在働いている環境のほうが、当社の先を行っているケースが増えてきましたので、当社オフィスのリニューアルを年内に開始しようとしています。リニューアルが終わりましたら、また新しい働き方をご紹介させてください。

庁内では Teams の活用に伴い、フリーアドレスの席も増えてきたようですが、どのように感じていらっしゃいますか?

武井区長: フリーアドレスになり、特に職員の意識が変わったのが大きいと感じています。これまでは、何となくの居残りが少なくなかったのですが、フリーアドレスだと、自分の荷物を置いたままにできず、必ず机をきれいにしてからでないと帰れないため、働く環境をより意識するようになったり、「午後 5 時まで働こう」など、時間を決めて効率的に働くことを考えやすくなりました。

佐藤: 港区には外国籍の方が約 2 万人住まれていると伺いました。当社では、港区のホームページの AI 翻訳の実証実験にも参加させていただいています。

武井区長: 実証実験を行うまでは、AI ならなんでもできるという過度な期待もあったのですが、訳したい文章がきちんとしていないと、いくら AI でも正しく翻訳するのは難しい。そうしたことがわかったのも大きな成果と捉えています。港区には約 130 か国の方が住んでいます。区から住民の皆様にお知らせする行政情報は、まずは英語、それから他の言語に広げていきますが、同時に日本語の情報も、「やさしい日本語」に変えていきます。例えば災害時には、「迅速に避難してください」という案内よりも、「すぐに逃げてください」の方が外国の方に伝わりやすい。自動翻訳の活用を進めていく過程で、そうした「やさしさ」の部分を人が意識することで、より良いものにしていきたいし、それ自体が、職員の意識改革にもつながります。相手の立場に立って、より伝わりやすくするにはどうすべきか、また、行政のすべてのサービスが、利用者にとってどうなのか、相手の立場で考えるのが大事です。今回のAIのような最先端の技術を導入し活用することで、思いもよらない形で住民サービスの改善につながるのではと期待しています。

佐藤: 昨年の日本は自然災害が多く発生しましたが、災害時もクラウドサービスが威力を発揮しました。北海道で地震があった際に、現地のITシステムの多くが被害を受けたのに対して、北海道大学はクラウド上にデータを保管していたため、通常通り運用でき、学生や職員の方の安否確認も迅速にできたと伺っています。

武井区長: 災害時の帰宅困難者対策も考える必要があります。自分は職場にいて安全でも、家族が心配で一刻も早く帰りたいと誰もが思うものです。ICT を活用することで、お互いの安否確認が円滑にできるようになれば、無理に帰る必要もなくなります。今後 5G が普及すれば、災害時にもつながりやすくなるのではと期待しています。

佐藤: 企業ではスマートフォンで当社のTeamsを利用されるケースも増えています。とくに災害時はスマートフォンで情報収集する方が増えることになります。

武井区長: スマートフォンのような小型の携帯端末で何でもできるようになれば、職員が住民の皆さまのところに行って、必要なサービスをお聞きしたり、提供させていただくようなワンストップサービスも提供しやすくなります。

佐藤: 私の高齢の母親が、スマートフォンを使いたいから教えてほしいと言うのですが、高齢者がデジタル機器を活用するようになると、行政側の仕組みを予め用意しておくことも大事になります。

武井区長: 高齢者はスマートフォンなどの最新機器の扱いは苦手だろうと考えがちですが、そうした概念自体を変えて新しい住民サービスを考えていく必要がありますね。

佐藤: 高齢化社会が進む中で、高齢な方ほどデジタルの恩恵を受けられるようにするのが重要だと思います。

武井区長: 私は新年会の挨拶などで、「地産地消」とお話ししています。港区に本社がある日本マイクロソフトは、港区の財産の 1 つです。そうした港区の企業の良さを取り入れて、地域住民の皆さまの生活に還元したいと考えています。港区にはたくさんの企業があり、通信などのインフラや技術の面でも充実しています。こうした地元の強みをできるだけ活用することで、日本のどこにも無いような住民サービスを提供していきたいと考えていますし、自治体の一つのモデルとなって、他の自治体の皆さまのヒントになれるものと思います。是非 日本マイクロソフトには引き続き我々に刺激を与えていただきたいと思います。

佐藤: 港区から日本を代表するような最新技術を活用した働き方改革が実現していくように、お役に立ちたいと思います。本日はありがとうございました。

[港区職員のフレキシブルシーティング]
港区の本庁舎では、自由な場所で働くことができるフリーアドレス化が推進されており、2019 年 3 月時点で全体の約 3 割、2020 年 3 月時点で約7割での導入が予定されています。いちはやくフリーアドレス化を実現した港区 企画経営部 企画課の働き方をご紹介します。

こちらはフリーアドレスへの移行前の従来のオフィス環境 – 個人の席上や引き出しに紙の資料がたくさんあります。
こちらも従来のオフィス環境における、役職者のデスク。決裁ボックスが、書類で埋まってしまうことも。
フリーアドレス化に伴い、最小限の個人の荷物や書類だけが置かれるようになり、快適に作業されていました。昇降式のデスクで仕事をする方も見られます。
役職者のフリーアドレス化に伴い、以前 役職者が座っていたエリアは、フリーアドレス化に伴い、自由に利用できる会議スペースに変更されました。
個人で保有していた紙資料は廃棄、どうしても必要なものだけ職員の個人用ロッカーに保管されています。日本マイクロソフト品川オフィスのロッカーを参考にしたそうです。
職員に順次支給されている、最新のWindows 10搭載端末と庁内用PHS。
無線LAN 対応も進められており庁内のどこでも働ける環境を整備されています。フリーアドレス化に伴い紙資料が格段に減るとともに、決裁も ICT 中心に進むようになり、以前より迅速に承認されるようになったそうです。

港区の職員の働き方改革の推進の詳細は、下記プレスリリースをご参照ください。
東京都港区の「みなとワークスタイル宣言」の実現に向けた、職員の働き方改革の推進を支援

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