Microsoft Teams から Fluid Framework まで: Microsoft 365 の新機能と近日リリース予定の機能をご紹介

Jared Spataro (Microsoft 365 担当コーポレート バイス プレジデント)

※ 本ブログは、米国時間 5 月 19 日に公開された “From Microsoft Teams to Fluid Framework—here’s what’s new and coming soon to Microsoft 365” の抄訳です。

Microsoft Build (英語) が本日初日を迎えました。この開発者向け年次カンファレンスを完全にオンラインで開催するのは初めてのことです。あらゆることがリモートで行われているこの時期ですが、直接会うことはできなくても、テクノロジを活用することで Build のような体験を提供することができています。先日 Satya Nadella が発信したように、このわずか 2 か月の間に、2 年分ものデジタル トランスフォーメーションが進みました。マイクロソフトとしては、これまでに学んだことを活かして、お客様の生産性確保とつながりの維持を支援できることをたいへん嬉しく思っています。マイクロソフトが提供するこれらのエクスペリエンスは、私たち一人ひとりが状況の変化に適応しようとしている今日をはじめ、どのような状況においても業務を継続できるようにと設計されたものです。

本題に入る前に開発者の皆様にお伝えしたいこととしては、今回発表する多くのイノベーションは、皆様が Teams や Outlook で利用することを前提にアプリやソリューションでご開発いただけるということです。今年の Build では、皆様のアプリをさらに強化し、より直観的に使用するために統合できる新機能 (英語) を数多く発表します。また、アプリの開発をさらに容易にするための開発者ツールや、アプリをユーザーの目に届きやすくする管理ツールなども発表します。Build で発表する Microsoft 365 プラットフォームを使用することで、開発者の皆様はさまざまなビジネス チャンスを得られるようになります。詳細については、こちらの記事 (英語) をご覧ください。それでは始めましょう!

Build 2020 の最新情報

本日、Microsoft Teams、Fluid Framework、Project Cortex、Outlook、Edge の新機能と、新しい Microsoft Lists アプリを発表しました。マイクロソフトはお客様がどこにいても生産性やつながりを維持できるようにさまざまなツールの開発に取り組んでおり、これらのツールには、その中で生まれた最新のイノベーションが取り入れられています。

Microsoft Teams

Teams はチームワークのためのハブであり、Web 会議、通話、チャット、コラボレーションを始めとする複数の機能が 1 つのツールに集約されています。この一元化により、コンテキストが保持され、チーム メンバー全員が必要なときに必要な情報をよりすばやく得ることができます。

生産性

カスタムのテンプレートや新しいタスク作成機能など、ユーザーの生産性維持をサポートするさまざまな新機能が Teams に導入されました。

カスタムのテンプレートを使用して、チームをすばやく作成 – チームを新規作成する際、複数のカスタム テンプレート (英語) の中から適切なものを選択できるようになります。テンプレートはさまざまなビジネス シナリオに対応しており、イベント管理や危機対応といった一般業務のシナリオだけでなく、病院や銀行といった業界別のテンプレートもあります。各テンプレートには、チャネル、アプリ、ガイダンスがあらかじめ定義されています。また、管理者が新しいカスタム テンプレートを作成することもできます。組織内の既存のチームをテンプレート化すれば、そのチーム構造を標準化し、関連するアプリを表示させてベスト プラクティスを共有できます。Teams のテンプレートは数か月以内にロールアウトされ、自動的に表示されるようになります。

自動化

Teams との統合や拡張を容易にする Power Platform の機能強化が発表されました。 

Teams でチャット ボットを簡単に作成、管理 – Power Virtual Agents アプリが、近日中に Teams アプリ ストアで公開されます。Power Virtual Agents アプリの使用によって Teams でのチャット ボットの作成と管理が容易になるほか、Teams との統合もこれまで以上に簡単になります。使用したいボットを選択し、[Add to Teams] をクリックするだけで、ボットを Teams に追加できます。さらに、Power Virtual Agents でシングル サインオンがサポートされ、ユーザーが Teams の初回使用時に再認証を行う必要がなくなりました。

Teams にカスタム アプリや自動ワークフローを簡単に追加 – Power Apps の [Teams に追加] ボタンをクリックするだけで、開発者や管理者がカスタム アプリを Power Apps から Teams に簡単に追加できるようになります。この機能を使用するには、make.powerapps.com を開き、公開したいキャンバス アプリの横にある […] をクリックして、[Teams に追加] を選択します。

また、Teams 向けの Power Automate ビジネス プロセス テンプレートが新たに提供されます。構築済みのテンプレートを使用してワークフローを効率化できるほか、独自のテンプレートをカスタマイズするためのベースとして使用することもできます。さらに、Teams 固有のトリガーとアクションが新たに追加され、カスタム メッセージの拡張機能の作成や、@メンションやチャネルへのメッセージ投稿の自動化、ボット名のカスタマイズなどが可能になります。これらの機能は近日リリースされる予定です。

Teams Power BI レポートを簡単に共有 – Power BI ユーザーがレポートやレポート内の特定のグラフを Teams と共有できるようになりました。新しい [Teams に共有] ボタンを使用して共有できるようになります。また、受信者がレポート内の特定のグラフに注目できるようにしたり、チーム全体と共有できるようにすることもできます。それには、送信者が Power BI ポータルで [Teams に送る] を選択し、共有するチーム名を入力します。

会議とイベント

時差がある場所や、ソーシャル ディスタンスを確保する必要がある状況でも、組織では大小さまざまなグループで集まり、コラボレーションを行うことが必要な場合があります。そうしたさまざまな場面で最適なエクスペリエンスを実現できる新機能が Teams に加わりました。

Teams Bookings アプリでオンライン面会をスケジューリングMicrosoft Teams に統合された新しい Bookings アプリを利用すると、B2C のオンライン面会のスケジューリング、管理、実施を行うことができます。単一のスケジューリング エクスペリエンスで複数の部門や場所を管理し、応募者の面接や学生からの相談、財務コンサルティング、訪問診療といったあらゆるオンライン面会を安全にホストできます。Teams は HIPAA コンプライアンスをサポートし、HITRUST 認証を取得しています。医療分野だけでも、この 1 か月間に、オンライン診療をはじめ 3,400 万件以上の Teams 会議が開かれました本日、医療組織が俊敏性を維持し、より良い体験、洞察、ケアの提供という最高の仕事に集中できるようになる Microsoft Cloud for Healthcare を発表しています。

Teams でイベントの配信、スタジオ仕様のコンテンツ制作 – これだけ多くの組織が全面的または部分的にリモート ワークに移行し、出張件数が過去最低を記録する中、リモートの視聴者を相手に、プレゼンテーションのフェーズをどう切り抜ければよいか模索している企業は少なくないはずです。Microsoft Teams では、新たにネットワーク デバイス インターフェイス (NDI) と Skype TX をサポートし、相互運用を実現します。これにより、カスタムの大規模な公開/非公開の配信映像を制作するための高度なオプションを利用できるようになります。

NDI for Teams のリリースは来月を予定しています。このリリースによってお使いのストリーミング アプリや制作ツールの高度な配信機能を Teams で利用し、Teams 会議のフィードをオンライン ステージに変えることができます。

また、Teams は新たに Skype TX デバイスとの相互運用にも対応します。Skype TX は今日、1 対 1 のインタビュー形式の通話接続やニュース配信の制作に使用されており、発信者のキュー処理や接続品質管理といった高度な機能を利用できます。

安全なリモートでのスケジュール管理

シフト アプリを使用すると、従業員とマネージャーはモバイル デバイスでスケジュールを管理したり、連絡を取り合ったりすることができます。

Microsoft Teams のシフト アプリを拡張 – シフト アプリに新機能が追加され、既存のシステムとの統合が可能になりました。まず、シフト アプリ用の Graph API の一般提供が開始されました。これにより、カスタムの従業員管理システムを含むさまざまな外部従業員管理ツールと統合できるようになりました。また、Power Automate に新たなアクションが加わり、開発者がシフト アプリから情報を取得して、他のアプリでワークフローをカスタマイズしたり、大規模な操作を実行したりできるようになっています。さらに、新たに追加されたトリガーとテンプレートを使用することで、さまざまなシナリオの時間節約やプロセスの最適化が可能になりました。たとえば、マネージャーの承認が不要な場合に、シフト申請の自動承認を有効にすることができます。

Fluid Framework

Ignite 2019 では、Microsoft Fluid Framework のパブリック プレビューが発表されました。Fluid Framework は、アプリ間の障壁を解消してシームレスなコラボレーションを実現する新たなテクノロジです。

Outlook Office.com でのコラボレーションに Fluid のコンポーネントとワークスペースを使用 – Microsoft 365 に Fluid Framework を統合することで、ドキュメント上で動的に共同編集を行い、接続コンポーネントを作成してアプリ間でシームレスにデータを共有できるようになります。たとえば、表、グラフ、タスク リストを Outlook on the web に挿入すると、売上データ、プロジェクト タスク、調査レポートなどを常に最新の状態に維持することができます。また、Office.com 内では、ドキュメントのアクティビティ フィード、おすすめリスト、@メンションなどに Fluid Framework ワークスペースを作成して管理したり、Office.com 全体から検索したりすることができます。Fluid Framework のコンポーネントは軽量であるため、編集は瞬時に反映されます。

Fluid Framework の主要なインフラストラクチャがオープンソース化され、アプリでの使用が可能に – Web ベースの Fluid Framework を使用すれば、アプリのコラボレーションを瞬時に実現できます。Fluid Framework には、低レイテンシで同期を実行できるデータ構造と、エンドポイントを接続するリレー サービスが含まれます。静的データ構造を Fluid データ構造に置き換えると、アプリですぐにリアルタイムのコラボレーションがサポートされます。

Fluid Framework の可能性をどこまで引き出すことができるかは、多様でオープンな開発者コミュニティを構築し、そこでの活動を活発化できるかどうかにかかっています。そのためマイクロソフトは Fluid Framework をオープンソース化し、Fluid Framework の主要なインフラストラクチャを開発者や作成者が各自のアプリに使用できるようにする予定です。また、開発者向けドキュメントとツールを追加でリリースします。Fluid Framework の開発とリリースについて、マイクロソフトはこのような形で開発者と連携して取り組んでいきます。

Project Cortex

Ignite 2019 で発表された Project Cortex の一般提供が、2020 年初夏に開始されます。Project Cortex は、AI と Microsoft Graph を活用してナレッジ ネットワークを構築し、Microsoft 365 や外部ソースのコンテンツを接続して複数のシステム内やチーム内のナレッジを整理できる強力なサービスです。また、高度なセキュリティ機能とコンプライアンス制御機能、自動化されたワークフローを活用して、情報の管理とプロセスの最適化を行えます。

新しい開発者ツールをプライベート プレビューで提供 – 今回、Microsoft Graph に、Project Cortex および Managed Metadata Services (MMS) 用の新しい開発者向け API が導入されました。また、Azure の Language Understanding サービスとの統合も新たに追加されています。プライベート プレビュー プログラムは拡大しており、現在、Arla Foods や Siemens Healthineers をはじめとする 75 社以上の組織から何百万ものドキュメントや動画からナレッジを提供していただいています。今後も重要なマイルストーンに到達した時点で発表させていただきます。

Outlook

Outlook は日々、世界中のお客様からスケジュール管理や連絡の手段としてご利用いただいています。今回は、Outlook アプリでの生産性をさらに高める新機能を追加しました。

Outlook でのキーボード操作を削減 – Outlook on the web でメール メッセージの作成に予測入力を使用できるようになりました。インテリジェント テクノロジによって意味や意図を推測できるため、メッセージをすばやく作成し、タイプミスを防ぎ、洗練された文面を完成させることができます。

Outlook Yammer の情報をチェック – Outlook for Windows、Outlook for Mac、Outlook Mobile で、受信トレイを開いたまま、Yammer の会話、投票、質問、称賛を表示し、返信できるようになりました。この機能は、Yammer からのメール通知をオンにしている場合に自動的に使用できるようになります。

Microsoft Lists

Microsoft Lists は、Microsoft 365 の新しいスマート追跡アプリです。これを使用することで、情報を追跡し、チームのタスクを整理しやすくなります。

Microsoft Lists で複数のアプリのコンテンツを追跡 – 新しい Microsoft Lists アプリを使用すると、Microsoft Teams、SharePoint、近日リリース予定の Lists モバイル アプリから直接、問題追跡や進捗レポートなどのデータを簡単に作成、共有、追跡できます。Lists では、テンプレート、色分け、If/Then ワークフローなどの機能を使用して、だれでも簡単にリストを作成し、カスタマイズできます。ぜひ Microsoft 365 アプリ起動ツールからお試しください。

Microsoft Edge

Microsoft Edge については、カスタマイズや Web 開発者向けツールに関連する複数の新機能 (英語) が発表されます。

関連する Pinterest コレクションをすばやく表示 – Pinterest で、コレクションの下部におすすめを表示できるようになりました。これにより、関連するコンテンツが見つけやすくなります。おすすめをクリックすると、トレンドの似ているピンが表示されたボードが開くため、興味のあるアイデアをすばやく見つけて追加することができます。コレクションでは、OneNote への送信機能もサポートされ、コレクションを OneNote ページに簡単にエクスポートできるようになりました。

検索時間を短縮サイド バー検索が実装され、新しいウィンドウやタブを開かずに検索できるようになりました。また、プロフィールの自動切り替えが可能になり、Microsoft Edge を仕事とプライベートの両方に使用しているユーザーの利便性が向上しています。リンク先で職場の資格情報が必要なことが検出された場合には、職場のプロフィールに切り替えることができます。

プレビュー中の開発者オプションを拡張 – プレビュー中の開発ツールに、.NET および UWP (WinUI 3.0) 向けの新しい開発オプションを追加し、WinForms、WPF、UWP/Win UI 3.0 などのアプリに Chromium ベースの Edge WebView を埋め込めるようになりました。また、3D ビューも追加されています。詳細については、こちらのスタート ガイドを確認してください。また、Visual Studio を開き、WebView2 パッケージをダウンロードして使用を開始することも可能です。

前代未聞の変化を強いられている今日ですが、私たちはその新たな時代の働き方を受け入れ、迅速に適応しつつあります。ソフトウェア開発者も、医療従事者も、救急隊員も、企業の経営陣も、離れていても一緒にいるときでも、生産性を損なわずにつながりを維持し続けられる新たな方法を探し求めています。今回 Build で発表する新機能と機能強化はすべて、世界中のお客様の成功をサポートするために設計されたものです。今日も、そしてこの危機を乗り越えた後も、マイクロソフトは世界中のお客様の継続的なビジネスを支えるツールを開発することをお約束します。

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