生徒の学習意欲を高めてくれた先生方に感謝を込めて

バーバラ ホルザプフェル (Barbara Holzapfel), マイクロソフト エデュケーション担当バイスプレジデント

※本ブログは、米国時間 5 月 4 日に公開された “Teachers: Thank you for inspiring students in their learning” の抄訳を基に掲載しています。

概要:

  • 困難で不確実な状況が続いている中で、世界中の教員の皆様はこれまで素晴らしい取り組みを続け、生徒を惹きつけ意欲を高める新たな方法を模索してこられました。その先生方に感謝の気持を送りたいと思います。
  • リモート学習やハイブリッド学習では、教員がイノベーションを起こしてテクノロジを学習と結びつけ、生徒を惹きつけています。教育者の 82% が、テクノロジによってこの 1 年で教育と学習のイノベーションのペースが速まったと感じています。
  • 学校が学習を再考する中で、重要な要素が総合的なアプローチとしてまとめられました。その要素とは、生徒中心であること、スキルへのフォーカス、ソーシャルラーニング (社会的学習)、安全性とセキュリティ、拡張性です。学習をサポートする際に重要となるテクノロジは数多く存在します。例えば、共同作業ができるオンライン環境や、分析およびフィードバックツール、複雑な概念を深く理解する際に役立つ包括的で没入型の体験などです。
  • 本日マイクロソフトは、教員と生徒の前進をさらにサポートする新しいアプリや機能を発表します。そのひとつは、学習をパーソナライズし生徒を成功へと導く Reading Progress です。
  • Group Assignments などの新機能や、Microsoft Teams におけるサードパーティーアプリとの連携、LMS システムとのよりシームレスな接続など、30 以上の機能拡張により、教育者の力を高め生徒の授業体験をサポートします。

本日は、先生方への感謝の意を示す National Teacher Appreciation Day です。そこで、私はまず個人的に教員の皆様の取り組みすべてに感謝したいと思います。この 1 年は非常に困難な時期でしたが、先生方は思いやりと回復力を持ち、それぞれの生徒とその学習の道のりに対する揺るぎないコミットメントを示されています。

この 1 年で、教員の方々は革新的な方法でテクノロジを活用し、生徒を惹きつけてきました。テクノロジは、リモート学習やハイブリッド学習でのつながりをサポートする一時的なライフラインに過ぎませんでしたが、今では多くのバーチャル教室や対面教室に完全に統合されています。マイクロソフトの委託で実施した YouGov の最近の調査によると、幼稚園から高校までの教育者の 71% が、テクノロジによって指導力が高まり、教育者としての能力が強化されたと答えています。
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今後も継続して教員や生徒を支援させていただくために、マイクロソフトは本日、新たなツールとアップデートを発表します。この新ツールやアップデートは、生徒中心であること、スキルへのフォーカス、ソーシャルラーニング (社会的学習)、安全性とセキュリティ、拡張性という 5 つの重要な分野を支えるために設計されており、これによって教員が総合的な学習環境を構築し、教育を前進させることが容易になります。

Reading Progress で生徒中心の学習が可能に

リモート学習やハイブリッド学習では、一部の生徒の読解力が低下しているという調査結果が出ています。学力低下を挽回するにあたり、教育者は生徒がどの段階にいるのかを見定め、生徒自身のペースで学習を進められるような方法を模索しています。そこで今回、生徒の読解力をサポートする新たな無料ツールを発表します。

Reading Progress とは

生徒が新たな言語を学ぼうとしている場合や、教育者が生徒の一般的な読解力を高めようとしている場合などに Reading Progress を活用すれば、安全かつ生徒中心の環境でスキルを高める練習が可能です。Reading Progress により、教育者は次のようなことができます。

  • 流暢に読めるようにする課題を作成することで、時間を節約できます。課題はクラス全体に出してもいいですし、各生徒が個別に取り組めるようなものでも構いません。Reading Progress には英語の自動検出機能が組み込まれており (発音の精度は調整可能です)、結果を分析できるほか、特定の録音部分に飛んで気になる単語や文章を確認できるため、教員は課題を迅速かつ正確にレビューできます。
  • Education Insights ダッシュボードとの統合により、読解力の進歩を可視化できます。教育者は個々の生徒やクラス全体を対象として、読み方の正確さや 1 分毎の正しい単語数、間違った発音や音の脱落など、傾向とデータによる全体像を把握できます。Education Insights により、教育者は授業の進め方を決める際に活用できる実用的なフィードバックを得ることができ、1 対 1 での対応が必要な部分も特定できます。また、教育者はデータや事例を学校認定の読み書きの指導者や言語聴覚士、個人指導の先生、保護者と共有することも可能です。
  • 生徒の好きな時間に自主練習させることができます。生徒は音声とビデオの両方を利用して自分のペースで練習でき、何度でも録音・録画しプレッシャーを感じることなく進歩することが可能です。Immersive Reader が搭載されていることから、使いやすくわかりやすいものになっています。
「Reading Progress は、音読の繰り返しと教育者の緊密なモニタリングによる確固たる科学的根拠に基づいて構築されています。これにより教育者は、生徒 1 人ひとりに個人指導できるとともに、大勢の生徒がいるクラス全体に対応することも可能です」—ケント州立大学 識字教育教授 ティム ラシンスキー (Tim Rasinski) 氏

Reading Progress は、新学期に先駆けて提供され、Microsoft Teams for Education を使用しているすべての生徒と教員が無料で利用できます。Reading Progress は、生徒のプライバシーを保護する Family Educational Rights and Privacy Act (FERPA) に準拠しています。

教室で生徒のエンゲージメントを高める新ツールを発表

マイクロソフトでは、教育者がデジタル体験を実現し、対面授業を実施する際にその体験を補完してより豊かなものにできるよう、Teams やその他のツールを強化します。新しい無料サービスは、教育専門家やシステムリーダー、教育者、生徒などのインサイトを参考にしており、新学期に先駆けて提供されます。

  • グループ課題: 教育者が生徒を課題用のグループに分け、生徒はグループで同じ課題を共同制作し、コラボレーションして提出できます。これにより生徒は、チームワークの力を直接体験できます。
  • 課題でお気に入りのアプリを利用: 一部のアプリがひらめきを与えてくれることは教員も認識しており、これによって生徒の興味を引き、より深い学習へと導くことも可能です。そこで、教育者がさまざまなサードパーティーアプリから直接 Teams に課題を出せるようにしました。これによって時間が節約でき、生徒の創造性を高めることが可能です。
  • カレンダーの統合: 新たにカレンダーと統合したことで、生徒は Teams や Outlook のカレンダーで授業の時間や課題の締切日を確認できるようになりました。これにより生徒は、自分の目標や、学習を続けるにあたって何をするべきかなど、重要な内容をすべて一ヶ所で確認できます。
  • LMS のアップデート: 教育者の時間節約と、よりシームレスな体験の実現に向け、マイクロソフトは Instructure や Blackboard などの主要な学習管理システム (LMS) プロバイダーと協力し、LMS と Microsoft Teams、Teams 会議、OneDrive とのより深い統合と改善に向けた取り組みを進めています。また、LMS パートナーもマイクロソフトと協力し、Microsoft Teams に各社独自の機能を提供しています。

学習をより魅力的で楽しいものに

没入感のある体験が学習を深めることは教育者も理解しており、その上で生徒の積極的な参加を促すような手法を常に模索しています。

最近の YouGov の調査によると、80% の教育者はゲーム的要素のあるリソースが生徒のエンゲージメントを高め、さまざまな科目の理解度を深めると考えていることがわかりました。そこでマイクロソフトは、教室の内外で生徒が遊びながら学ぶ機会を増やせるよう、Minecraft: Education Edition に複数の新機能を追加しました。

  • Minecraft: Education Edition の体験を Teams Flipgrid でより豊かに: 教育者の意見に基づき、マイクロソフトは Minecraft: Education Edition に Teams とのシームレスな統合が可能となる機能を追加しました。Minecraft のワールドやレッスン中に、教育者は新しいリソースのリンクを使い、Flipgrid Topic や Forms のクイズ、評価ツールを組み入れることが可能です。Minecraft のレッスン中は、生徒が Flipgrid Topic を開き、制作物を記録して共有し、数クリックするだけで他の生徒を招待して自分の作ったワールドに参加させることができます。
  • Minecraft: Education Edition for Camps and Clubs: 今回マイクロソフトは Minecraft Education Edition for Camps and Clubs も発表します。これにより、生徒は Minecraft: Education Edition を教室外でも利用できるようになります。今年の夏より、キャンプやクラブ、ホームスクール団体、非営利団体が、Minecraft: Education Edition のライセンスを購入できるようになり、あらゆる年齢の生徒がクリティカルシンキングやコラボレーション、ゲームに基づく学習ができるようになります。今夏にはマイクロソフトストアにて、Minecraft: Education Edition を使った面白いキャンプやトレーニングセッションが開催される予定です。

生徒のウェルビーイングをサポート

気持ちが安定していることは生徒の成功の鍵となります。調査では、生徒のウェルビーイングをサポートする手法への需要が高い一方で、そのニーズに応えきれていないことがわかっています [i]。昨年の混乱から、教育者にとってより重要度が増していることがあります。それは、生徒の課題解決を支援するには、生徒が直面している複雑な事情や精神状態、そして彼らのモチベーションを理解しなくてはならないということです[ii]

最近の YouGov の調査にて、81% の教育者が、生徒の感情を定期的に把握することが非常に重要だと感じていることがわかりました。

テクノロジは、教員が生徒とつながりを保ち、生徒をより深く理解するにあたって重要な役目を果たすとともに、生徒の社会情緒的スキルの発達を促進する役目も果たします。ここで紹介する新ツールは、まさにそのために設計されたものです。

Microsoft Teams の無料アプリである Reflect により、教育者は定期的に各生徒やクラスの感情を確認できるようになります。生徒は自分の感情を特定して分類し、感情を言葉で表現できるようになるほか、自分の感情が学習に与える影響を認識し理解する力を向上させることが可能です。また、教員が各生徒個別のニーズをより的確に把握できるようにもなります。

また、称賛バッジやステッカーなど、OneNote と Teams に組み込まれたツールにより、生徒と教育者のつながりが強くなり、効果的に人間関係を育むことが可能になります。教育者からはこの 1 年で、Microsoft Flipgrid が非常に役立ったという意見も寄せられています。Flipgrid により、生徒の自信を高め、教室内外で貴重な学習の対話を進めることができたとのことです。

安心で安全な教室の実現

学校外での学習が増える中、デジタルトラフィックや接続デバイスの数が増加し、新たな課題が生まれています。その課題とは、悪意のある攻撃やデジタル教室への招かざる客などさまざまです。また、生徒が対面式の学習に戻るようになると、物理的に安全を保つことも重要となります。

デジタル空間と物理空間の双方で生徒を安全に保つため、マイクロソフトは Teams に Supervised Chat を導入します。今月後半に提供開始となるこの機能により、担当の教育者は生徒とのチャットを開始できますが、適切な教育者がいない場合、生徒は新たなチャットを開始することができません。監督者はチャットから退席することができず、他の参加者はチャットを削除できない仕組みです。つまり、生徒は学校のスタッフが許可し適切にモニターされた状態で安全なディスカッションができるようになっています。

教員のインサイトとアイデアが教育におけるポジティブな変化を促進

昨年学校がオンラインへと移行した際、教員はすべての生徒が学習を続けられるよう、人並み外れた努力を重ねました。欠けている部分を見つけてそれを補い、クラス全員とつながる方法を模索し、協力して課題に取り組み、新時代へと教育を変革させる戦略を立てました。

YouGov の調査では、83% の教育者が、この1年で学習が特定の時間や場所に縛られないことがわかったと述べ、82% がテクノロジによって教育と学習のイノベーションのペースが速まったと答えています。

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実際のところ、どこにいても学習が可能だということを証明したのは教員であり、テクノロジに支えられ教育のイノベーションを加速させたのも教員です。ここで、生徒の人生に大きな違いをもたらした先生方にあらためて感謝の気持ちを伝えたいと思います。教員の皆様は、生徒が実際の教室で学んでいても、自宅で学んでいても、その他の場所で学んでいても、このように変化と不確実な状況の中で生徒の学習を継続させ、つながりを保ち、生徒にクリエイティブになるよう、自信を持つよう、楽観的になるよう励ましてくれました。

どうかすばらしい Teacher Appreciation Day をお過ごしください。


[i] 経済誌 The Economist の調査部門である The Economist Intelligence Unit の「Emotion and Cognition in the Age of AI (AI 時代の感情と認知)」より
[ii] YouGov が 2020 年 12 月に教員と生徒を対象として実施した調査「Learning Forward (これからの学習)」より

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