マイクロソフト、従業員の組織化と労働組合との関わりに関する原則を導入

マイクロソフト、従業員の組織化と労働組合との関わりに関する原則を導入

ブラッド・スミス (Brad Smith) プレジデント 兼 副会長

※本ブログは、米国時間 6 月 2 日に公開された ”Microsoft adopts principles for employee organizing and engagement with labor organizations” の抄訳を基に掲載しています。

21 世紀も 4 分の 1 が過ぎようとしていますが、米国経済は進化を続けています。この国の自由市場が再構築されている要因の一端は、仕事の本質や企業の責任に対する人々の期待が変化していることにあります。テクノロジはこうした変化に貢献してきましたし、テクノロジ業界自体も長年米国経済や米国民主主義にとって重要とされてきた従業員の団結権という側面にあらためて取り組んでいます。

最近、テクノロジ業界を含め全米で組合結成に向けた運動が起こっており、こうした問題が当社をはじめとするより多くの企業に影響を及ぼすことになるだろうと考えざるを得ない状況になりました。そこでマイクロソフトでは、従業員、株主、お客様をはじめとするさまざまな関係者にとって最善の方法を積極的に検討するようになりました。

マイクロソフトの従業員が当社の幹部と対話するにあたって組合を作る必要は全くありません。

とはいえ、マイクロソフトも職場が変化していることは認識しています。そこで当社では、労働組合との取り組みの指針となる原則を共有することにしました。

本日マイクロソフトは、従業員の組織化に関する新たな原則を発表するとともに、当社が従業員や労働組合、その他重要な関係者と仕事に関する重大な話し合いをする際に、どのように関わっていくかを発表します。

当社の考えは次の 2 点に基づいています。

まず 1 点目は、労働組合との関係はマイクロソフトにとって新しいものではないものの、学ぶべきことが多いことも理解しているという点です。他業界には、当社よりもはるかに多くの経験や知識を持つ企業が多数存在します。ここ数ヶ月は、当社も労働界やビジネス界、学界の著名なリーダーと話し合い、学びを得ようと懸命に取り組んでいます。これは、当社が他国の労使協議会や労働組合と協力してきた経験がベースとなっており、私自身 1990 年代に欧州の企業総務や法務を担当した際に学んだことでもあります。それでもほとんどのケースで、これまでに学んできたことよりもこの先に学ぶことのほうが多いこともわかっています。

そして 2 点目は、マイクロソフトにとって正しいアプローチが、他の企業にとっても最適なアプローチとは限らないことを認識しているという点です。業界や企業はそれぞれ唯一無二のものです。マイクロソフトでは、新技術の開発と採用における当社従業員の重要かつ革新的な役割を高く評価した上で、この問題に取り組んでいます。これは、特に急速に変化する重要な課題に対し、当社のアプローチに共に耳を傾け、学び、進化させることにフォーカスした成長のマインドセットに基づく共通の企業文化によるものです。

こうした要素を反映し、マイクロソフトの関係者には次の 4 つの原則に基づいたオープンで建設的なアプローチが最適だと考えました。

  • マイクロソフトでは、従業員の懸念に耳を傾けることが重要だと考えています。当社の幹部はオープンドアポリシーを取り入れており、意見を聞くシステムや従業員リソースグループに投資し、何がうまくいっていてどこを改善するべきかを常により深く理解しようとしています。しかし、一部の国の一部従業員が、組合の結成や加入を希望するケースがあることも把握しています。
  • マイクロソフトでは、従業員に組合の結成や加入を選択する法的権利があることを理解しています。当社はこの権利を尊重しており、組合の結成や加入などの保護活動に参加する合法的な従業員の取り組みに抵抗することが、当社の従業員やその他関係者の利益につながるとは考えていません。
  • マイクロソフトは、従業員が権利の行使を希望し、特定の組合結成を提案した場合、組合と創造的かつ協力的なアプローチを取ることを誓います。多くの場合、従業員の組合結成の提案により、マイクロソフトが既存の組合と協力し、従業員との個人的契約によって権利が行使できるよう合意されたプロセスに取り組む機会が開かれることもあるでしょう。マイクロソフトは、従業員が情報に基づいて決断を下し、組合の結成や加入の選択に向けた法的権利を行使する方法を、複雑化するのではなくより簡素化できるよう、協力的なアプローチに取り組んでいます。
  • マイクロソフトは、グローバルな労働経験に基づき、組合を代表する従業員を含めすべての社員と緊密な関係を保ち、共同パートナーシップを維持することに注力しています。当社は数十年にわたり、ヨーロッパ各国の労使協議会や世界中の組合と緊密に協力してきました。マイクロソフトが今後もリーダーシップを発揮し成功を続けるには、これから何年にもわたり、変化する労使関係の環境について学び、適応し続けなくてはならないと考えています。

これは長い道のりであり、当社は今後も周辺環境とともに変化する従業員の期待や見解について学び続け、変わり続けなくてはならないと考えています。そして、会社側と従業員がすべての点で常に合意するとは限らないことも認識しており、それで問題ないと考えています。

おそらく何よりもひとつ言えるのは、競争の激しい世界経済の中で成功するには、企業と労働者がうまく協力し合う必要があるという認識に基づいた楽観的な感覚を当社がもたらしているということです。

ワシントン D.C. の当局を訪問すると、1903 年にセオドア・ルーズベルト (Theodore Roosevelt) 大統領が唯一の内閣機関である商務労働省を創設したことを思い出すことがあります。10 年後に同省庁は分割され、2 つの異なる連邦機関がそれぞれの明確なニーズに対し、より真っ向から取り組めるようになりました。それが今では、企業や国が実際に発展を遂げるには、企業側と労働者が対話し、協力し、信頼し合うことがよく求められるようになっているのです。

将来どのような課題がやって来るのか正確にわかる人などどこにもいません。それでも、従業員の意見に耳を傾け、従業員とうまく協力する企業が勝利を収めるということだけは言えるでしょう。

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