Microsoft Ability Summit: よりアクセシビリティの高い未来を実現するテクノロジ、人材、パートナーシップ、政策について考える

Microsoft Ability Summit:よりアクセシビリティの高い未来を実現するテクノロジ、人材、パートナーシップ、政策について考える

ジェニー レイ-フルーリー (Jenny Lay-Flurrie) マイクロソフト チーフアクセシビリティオフィサー

※本ブログは、米国時間 3 月 8 日に公開された “Microsoft’s Annual Ability Summit: Exploring the technology, people, partnerships and policies driving a more accessible future” の抄訳を基に掲載しています。

マイクロソフトは本日、第 13 回年次 Microsoft Ability Summit を開幕します。このイベントは、アクセシビリティと障碍のある人に対するインクルージョンの未来に向けたディスカッションを行う日となります。今年は、CEO のサティア ナデラ (Satya Nadella) をはじめとするマイクロソフトのシニアリーダーや、運輸長官のピート ブティジェッジ (Pete Buttigieg) 氏といった政策リーダーがサミットに参加し、100 か国におよぶ国々から集まる 2 万人の参加者と、70 人を超えるプレゼンターによる支援のもと、アクセシビリティの高いインクルーシブな未来を想像し、次のステップを歩み始めるためのイベントとなるでしょう。今年も話題は盛りだくさんです。

今年のサミットでの最新情報

まずはテクノロジから始めましょう。マイクロソフトのアクセシビリティは、ソフトウェアからハードウェア、AI などのサービスに至るまで、製品ポートフォリオのあらゆる側面に広がっており、企業文化の一部となっています。今年は、以下のような新しくエキサイティングなアクセシビリティ技術をご紹介します。

  • 新アダプティブアクセサリ: 本日マイクロソフトは、現在 Microsoft ビジネス ペンおよび Microsoft クラスルームペン 2 にて提供されているカスタマイズ可能な 3D プリントアタッチメントを、年内に既存の Surface ペンにも拡張することを発表します。3D プリント型グリップは、Shapeways によってプリントされたもので、動きに制限があるユーザーがペンを握って使用する際に新たな使用法ができるほか、Surface デバイスでの創造性や生産性をサポートします。
  • Microsoft 365 の「アクセシビリティアシスタント」: 本日マイクロソフトは、Microsoft 365 の新機能となる「アクセシビリティアシスタント」を発表します。この機能は、スペルや文法をチェックするのと同じくらい簡単に使えるもので、クリエイターがよりアクセシビリティの高いコンテンツを作成できるよう支援します。アシスタントがアクセシビリティに関する問題の防止・修正に向け、より優れた既定値を設定するほか、リアルタイムでコンテンツを修復し、わかりやすいガイドを提示します。このほど Visual Studio にもアクセシビリティチェッカーが追加され、クリエイターにとっても開発者にとってもインクルーシブなコンテンツの制作が容易になりました。
  • Microsoft Translator: Microsoft Translator が新しい言語に対応しました。本日より新たにヨルバ語やハウサ語、イグボ語など、13 のアフリカ言語に対応します。Microsoft Translator は、現在 125 の言語で音声からテキストへの変換機能をサポートしており、ユーザーはリアルタイムで多言語による会話ができるほか、メニューや道路標識、ウェブサイト、ドキュメントなどを翻訳することが可能です。これにより、世界中の音が聞こえない人や聞こえにくい人にとってより包括性の高いテクノロジが実現します。
  • Inclusive Design for Cognition Guidebook (認知ガイドブック用インクルーシブデザイン): 新たに Inclusive Design for Cognition Guidebook を発行し、さまざまな認知能力を持つ人々に向けた製品づくりを支援します。
  • Azure の進化: Azure プラットフォームの活用に関する発表が 2 件あります。
  • Seeing AI: マイクロソフトの Seeing AI アプリは、Azure と AI の力を駆使し、目の見えない人や見えにくい人が周辺の世界で移動できるようにするものです。当社は Haleon と新たに Seeing AI に関するコラボレーションを開始し、Seeing AI のコードライブラリに 1500 を超えるプロダクトを追加しました。また、Seeing AI に新しく屋内ナビゲーション機能を導入しています。これにより、目の見えない人や見えにくい人が空間的音声指示に従い建物内を 1 人で移動できるようになります。
  • LinkedIn: 現在、LinkedIn の投稿の 40% 以上に少なくとも 1 つの画像が含まれています。そこで、視覚用 Azure Cognitive Services を活用し、LinkedIn のプラットフォームに自動代替テキスト解説とキャプション機能を追加します。
  • Windows 11: 最近、Windows 11 の内蔵スクリーンリーダーである Narrator の改善点についてお伝えしましたが、これによって HumanWare の新たな Surface ディスプレイ 3 台をはじめ、サポートする点字対応ディスプレイの種類が増えることになりました。Narrator は現在、アクセシビリティの高いアクセサリにシームレスに対応するようになっています。また、音声アクセス機能はプレビュー段階を経て、現在では Windows 11 全体でマイクロソフトのアプリケーションによる音声ナビゲーションアクセスが可能となっています。

アクセシビリティと AI

今年、AI が私たちを取り巻く世界への機会と責任の歴史的な転機にいたったことが、大きな話題となりました。AI は、思考、推論、学習、コミュニケーションなど、人間の認知能力を高める可能性を秘めていますが、AI の進化には大きな責任も伴うことから、さまざまな人間のニーズや障壁、能力、経験を幅広く取り入れ、対処する必要があります。

マイクロソフトでは、責任ある AI (Responsible AI) に注力し、アクセシビリティと障碍のある人々のインクルージョンに重点を置いた開発の原則を基本としています。その原則とはアクセシビリティの高い構築を行い、障碍のある人々の代表的なデータを含め、イノベーションを起こすというものです。この原則と責任ある AI は、アクセシビリティを加速させるために共に機能します。

そのためには、代表的なデータを増やしていくことも重要です。昨年マイクロソフトは、イリノイ大学、Amazon、Apple、Google、Meta、そしてマイクロソフトによる異業種パートナーシップとなる Speech Accessibility Project を発表しました。同プロジェクトでは、音声認識技術がさまざまな発話パターンの人たちにとってより包括的で役立つものとなるよう、幅広い音声データを作成します。

Ability Summit では、AI を活用した新しい Microsoft Bing の可能性についてお話しします。アクセシビリティに配慮された旅行の計画から、アクセシビリティに配慮されたコードの記述を容易にすることまで、AI が提供できる可能性はさまざまですが、まだ私たちはほんの始まりの段階にいる状態で、耳を傾け学びながら前進しています。皆様も AI を活用し、その体験を共有いただければと思います。

アクセシビリティに対するマイクロソフトの取り組み

アクセシビリティに配慮されたテクノロジは、社会のあらゆる場面でチャンスを広げるもので、さまざまな障碍のある人たちの能力を高める基本的な構成要素です。ただし、これはテクノロジだけの話ではありません。マイクロソフトでは、「人材」「パートナーシップ」「政策」という 3 本の柱を追加したテクノロジ主導の戦略によって、障碍のある人に対する格差を解消し、学びを得ようと取り組んでいます。

今回のサミットでは、Shell および Haleon とのアクセシビリティパートナーシップの成果や、インクルーシブな採用の推進と Mentra との取り組み、ピート ブティジェッジ (Pete Buttigieg) 運輸長官とマイクロソフトのブラッド スミス (Brad Smith) による米国の運輸政策の未来に関する対談などから、この 3 本の柱について考えたいと思います。それぞれの柱すべてに取り組むことで、アクセシビリティの高いテクノロジの認識と利用度が高まり、スキルと雇用の機会が拡大し、アクセシビリティを基本的権利として推進する政策が提唱できるのです。サミットで取り上げるのは、その一例に過ぎません。

今年のサミットでの重要なディスカッションが楽しみです。皆様もぜひご参加いただき、アイデアやフィードバックをお寄せください。技術的なサポートが必要な場合は、Disability Answer Desk にてお手伝いします。

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