Azure Space が衛星コネクティビティと地理空間機能を新たに提供

Microsoft Azure, Azure Global 担当コーポレートバイスプレジデント
トム キーン (Tom Keane)

※本ブログは、米国時間 12 月 9 日に公開された “New satellite connectivity and geospatial capabilities with Azure Space” の抄訳を基に掲載しています。

図 1: 機械学習による複数軌道と地理空間機能を表示する Azure Space のエコシステム
図 1: 機械学習による複数軌道と地理空間機能を表示する Azure Space のエコシステム

昨年、マイクロソフトは Azure Space を発表し、人々や組織が地球の内外でより多くのことを達成できるよう支援するために宇宙の可能性とクラウドの力を融合しました。

本日、以下のような Azure Space の新たなパートナーシップと機能を発表します。

  • Azure Orbital のプレビュー版提供 — これにより、誰もが、Azure へのバックホールコストなしに、世界中にあるマイクロソフト自身およびパートナーの地上基地から衛星との通信や制御ができるようになりました。
  • 雲の向こう側を見ることができる SpaceEye、衛星画像品質を向上する Project Turing などのイノベーションが Azure 上で構築されました。
  • Airbus との新たなパートナーシップにより、世界有数の高解像度の衛星画像や標高データが Azure に導入され、世界をさらに深く理解できるようになりました。
  • 衛星モデムプロバイダー最大手の iDirect との仮想化に関するパートナーシップにより、お客様に最新の柔軟なソリューションが提供されます。
  • Esri、Blackshark.ai、Orbital Insight との Azure 上での地理空間とデータ分析に関する新たなパートナーシップにより、お客様に新しい洞察を提供可能になりました。

宇宙から収集したデータを抽出し、活用することで、産業全体を変革し、新たなパラダイムを創出することができます。Azure Space は、パートナーシップ、宇宙関連データ、マイクロソフトが提供するコラボレーションツール、サービス、機能を通じて、お客様に多大な可能性をもたらします。

Azure Orbital による衛星データのクラウドスケールの管理

Azure Orbital による衛星データのクラウドスケールの管理

官民問わず多くの組織が人工衛星や衛星コンステレーションを宇宙に打ち上げる中、低遅延で大容量の地上インフラの必要性がますます高まっています。マイクロソフトは、世界をリードする地上インフラをパートナーとともに提供し、この業界を支援します。

マイクロソフトは、Azure Orbital の次のマイルストーンとして、衛星事業者が専用の地上局ネットワークを構築する上でのテクノロジ、スケジュール、コストの課題を解決するサービスのプレビューを発表します。Azure Orbital そして、マイクロソフトのパートナーネットワークによる大規模で広範囲の地上局により、衛星事業者は、より低コストな対象地域へのアクセスにより、世界中で高い信頼性とレジリエンスを実現し、あらゆる種類のミッションをサポート可能になります。

Azure Orbital プレビューには、マイクロソフトおよび KSATlite の地上局へのサポートが含まれます。今月から、お客様は Azure Orbital API や Azure Portal を使って、マイクロソフトと KSAT のアンテナによる衛星との通信ができるようになりました。このネットワークは、地上局パートナーである ViaSat と USEI のサポートが追加され、来年初頭からさらに拡大を続ける予定です。

マイクロソフトと KSAT のパートナーシップにおけるこの重要なステップにより、お客様は、一般的なマルチネットワークソリューションに伴う統合コストやデータ配信コストを不要のグローバルなカバレッジ拡大が可能となり、Microsoft Cloud を活用して、宇宙からのデータを処理、保存し、洞察を引き出せるようになります。

「この 1 年間、KSAT では、Azure Orbital とのコラボレーションを継続し、当社の世界規模の衛星地上ネットワークとマイクロソフトのネットワークを統合し、宇宙からのデータの転送、処理、保存をグローバルにシームレスにサポートすることに力を注いできました。衛星データの配信や、機械学習技術などの資源集約型コンピューティングをクラウドベースのソリューションで実行できるようになれば、当社のサービスの提供方法だけでなく、お客様の今後の情報活用の方法も変わってくるでしょう。当社は、このパートナーシップを通して、お客様のミッションに向けて、最も先進的なソリューションを提供し続けることを目指します。」— KSAT CEO ロルフ スカティボエ (Rolf Skatteboe)

Azure Orbital に関する追加情報は、こちらの Microsoft Mechanics のエピソードをご覧ください。

Azure のイノベーションが衛星画像を強化

衛星画像を強化

SpaceEye — 雲を通した “視覚”

世界の 67 パーセントは雲に覆われています。宇宙からの地球観測の大きな課題は、地球の大部分が不透明な雲に覆われていることです。Microsoft Research が Azure 上に構築した SpaceEye は、地球の雲のない可視光およびマルチスペクトル画像を日次で生成できる AI ベースのシステムです。

SpaceEye は、Sentinel-1 ミッションの Synthetic Aperture Radar (SAR) を元データとして使用し (レーダーのデータは雲に影響されません)、レーダーデータと過去の光学画像を組み合わせて、雲の下の様子を AI で予測します。これにより、農業、土地利用監視、災害対応など、重要なユースケースの可能性が広がります。

プロジェクト Turing 俯瞰画像に対する人間の知覚を向上

俯瞰画像に対する人間の知覚を向上

Microsoft Azure は、人と人との相互運用性を高めるために地理空間データを準備・強化するためにも利用されています。マイクロソフトの研究プロジェクト Turing は、映画の中の架空の機能だった「イメージ強化」を現実のものにしました。Turing のセマンティックな解像度向上テクノロジにより、衛星画像の解像度を航空写真と同等に高めることができ、俯瞰画像に対する人間の知覚を飛躍的に向上できます。現在、このテクノロジは Azure 上で動作し、世界中の Bing Map の映像を強化し、全ユーザーのリクエストの 50 パーセント以上に対応しています。

Airbus との提携により、地球上のあらゆる場所の高解像度衛星画像が閲覧可能に

マイクロソフトは、Airbus との新たなパートナーシップ、そして、同社の高品質衛星画像と標高データの Microsoft Azure Maps を通じた一般提供を通じて、Azure Space を宇宙コミュニティにとって最適なプラットフォームとエコシステムにするというミッションを追求しています。このパートナーシップを通じて、Airbus は、SPOT 1.5m、Pléiades 50cm、Pléiades Neo 30cm の衛星画像と WorldDEM4Ortho の標高データを Azure Maps に提供することになります。

Airbus Defense and Space のインテリジェンスビジネス担当ディレクター、フランソワ ロンバード (François Lombard) 氏は次のように述べています。「Microsoft Azure のコミュニティの一員になれたことをうれしく思います。正確で最高品質の画像を求める Azure Maps ユーザーは、当社のプレミアムデータサービスを利用して新しいアプリケーションを開発し、革新的なアイデアを現実のものにすることができるようになります。」

追加情報は、こちらのブログ記事 (「地理空間画像が Azure での新たなクラウドコンピューティングのシナリオを解き放つ」) をご参照ください。

仮想化がもたらす宇宙におけるコネクティビティの新時代

従来、衛星から地上局への接続は、高価で柔軟性に欠ける無線ハードウェアに依存していました。Azure Orbital は、仮想化技術の活用により、機能を専用ハードウェアから汎用ハードウェア上で展開できるソフトウェアへと移行し、よりスケーラブルでコスト効率の高いソリューションをお客様に提供します。

また、宇宙コミュニティにとってのもう 1 つの大きな課題は標準化の欠如です。マイクロソフトは、設立委員を務める Digital IF Interoperability (DIFI) コンソーシアムを通じて業界と協力し、デジタイザと仮想モデム間のデータストリーミングのための IEEE-ISTO Std 4900-2021: Digital IF Interoperability Standard などの宇宙エコシステムをサポートする標準を策定しています。仮想化とオープンな標準の組み合わせにより、お客様はクラウドの力を活用し、宇宙産業に新たな時代を切り開くことができます。

マイクロソフトは、仮想宇宙と衛星通信用の Azure ソフトウェア無線ツール (GitHub で公開) を活用し、最も広く展開され信頼されている衛星プラットフォームの 1 つである ST Engineering iDirect を、Azure Orbital 地上セグメントパートナーのリストに追加しました。ST Engineering iDirect とマイクロソフトは、開発パートナーシップを通じて、ST Engineering iDirect の衛星通信ソリューションを、Azure Orbital のお客様が容易に導入・利用できる仮想モデムとして Azure に提供できるよう協業します。iDirect とマイクロソフトは、衛星地上局を完全に仮想化されたデジタルプラットフォームへと変換し、衛星事業者がクラウド規模の運用による規模の経済とソフトウェアの効率性を達成できるよう支援します。

地理空間分野でのパートナーシップにより、Azure 上の宇宙データのシームレスな分析を実現

宇宙データのシームレスな分析を実現

また、本日、Esri、Blackshark.ai、Orbital Insight との地理空間とデータ分析に関する新たなパートナーシップの発表により、マイクロソフトのお客様に新しい洞察を提供できるようになりました。

Esri

マイクロソフトは、Azure クラウドでネイティブな宇宙空間データに関する地理空間分析ワークフローを提供するために、地理情報システムソフトウェア (GIS)、ロケーションインテリジェンス、マッピングの世界的マーケットリーダーである Esri と提携しました。

マイクロソフトは、パートナーの市場機会実現を支援するために、クラウドでのイノベーションを続けています。Azure Orbital Esri は、宇宙データのワークフローを合理化し、Azure のお客様に Esri ArcGIS 地理空間分析ソフトウェアと組み合わせたほぼリアルタイムの衛星データへのアクセスを可能にします。」 — Esri、Imagery and Remote Sensing 担当バイスプレジデント、リチャード クック (Richard Cooke)

Esri は、シングルテナントの専有 SaaS である ArcGIS Image を Azure のお客様に提供し、ほぼリアルタイムの宇宙空間データのエンドツーエンドの地理空間データ管理と分析を可能にします。ArcGIS Image for ArcGIS Online は、お客様が既存の画像データから得られた洞察を管理、解釈、分析、共有できるように設計されたマルチテナント型の SaaS サービスです。お客様は、自社でインフラを管理する必要なしに、容易に Azure クラウドに画像をホスティングし、そのデータに対して大規模で高度な分析を行うことができるようになります。

Blackshark.ai

マイクロソフトと Blackshark.ai は、Blackshark.ai の高度な地理空間情報と3D合成環境の大規模な導入を行い、Microsoft Azure 上で地球に関するデータ、洞察、および、デジタルツインを官民のお客様に提供するために提携しています。

Orbital Insight

マイクロソフトは、地球に起きていることの理解を支援する世界有数の地理空間分析ソフトウェア企業である Orbital Insight と提携し、同社の GO プラットフォームを Microsoft Azure 上で利用できるようにしました。Azure 上で GO を利用することで、企業や政府は、生活パターンに関する洞察を獲得し、サプライチェーンの可視化、異常の発見、施設の監視、軍事行動の検出などを行い、意思決定者が確信を持って行動できるよう支援できるようになります。

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