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AI とレントゲン: COVID-19 の多様な症状を判別

Lunit のテクノロジが多くの国々で医師による患者の診断、選別、監視を支援

スティーブン ボロウィック (Steven Borowiec)

※本ブログは、米国時間 3 月 16 日に公開された “AI and X-rays: Identifying the many faces of COVID-19” の抄訳を基に掲載しています。

人工知能とクラウドコンピューティングを活用し、放射線科医よりも高速に大量の胸部レントゲン画像を読み取るデジタル診断ツールが、COVID-19 患者の診断、選別、監視で医師を支援しています。

韓国の放射線科医、キューモク リー (Kyu-mok Lee) 博士は、Lunit INSIGHT CXR の高速診断機能が「COVID-19 の多くの顔」とも呼ばれる多様な症状を迅速に発見し、医師を支援し、患者の治療を迅速化し、感染拡大を未然に防ぐことに貢献していると述べています。

ワクチン接種が進む中でも、疑わしい患者を迅速に発見し、隔離することはコロナウイルスの感染拡大をコントロールする上できわめて重要です。しかし、患者数が急増し、検査プロセスや要員などのリソースが逼迫する中、それが困難になっています。

ブラジルで Lunit のテクノロジを利用する医療プロフェッショナル (写真提供: Lunit)
ブラジルで Lunit のテクノロジを利用する医療プロフェッショナル (写真提供: Lunit)

これが、COVID-19 の診断のために、多くの国の病院や検査施設が高速で正確な AI を活用した胸部レントゲン画像検査を採用し始めている理由です。

Lunit のアルゴリズムはレントゲン画像の読影を学習しており、癌などの重大な疾病を 97 パーセントから 99 パーセントの精度で検出できます。

パンデミックが拡大した時、同社の開発者は、肺炎をはじめとする COVID-19 の兆候も検出できるようアルゴリズムを調整しました。

韓国のソフトウェア企業である Lunit は迅速なイノベーションを行うことで、パンデミックと戦う医療プロフェッショナルのための重要な支援ツールを構築できました。

1 年前にソウルで最初の流行が発生した時、リー博士と放射線科医のチームは、COVID-19 との戦いの最前線に立ちました。

まず、市内の大型病院に一時的な地域治療センターを開設し、多くの患者を受け入れました。感染の流行期には、1 日あたり数 1000 の人々が検査を受けました。

その時点でも、医師はどの患者がウィルスに感染しているか、そして、重症度はどの程度かを診断し、適切な隔離と治療を行えるようにするための迅速で正確な方法を必要としていました。

COVID-19 の疑いのある患者はその重症度に応じて様々な症状を示します。咳、発熱、倦怠感、痛みなどの明らかな症状を示す人もいれば、ほとんど症状のない人も、重篤になる人もいます。さらには、まったく無症状の人もいます。

無症状の患者は感染の兆候がなくても、気付かないうちにウィルスを他者に感染させる可能性があります。これは感染拡大の大きなリスクです。

このテクノロジは韓国に加えて、タイ、インドネシア、メキシコ、イタリア、フランスで採用されています。被害が大きいブラジルでは、大手の医療グループが、COVID-19 の症状を示す患者の胸部レントゲン画像のスクリーニングにこのテクノロジを使用しています。患者数が多く、放射線科医が少ない病院において、医療担当者は、より迅速かつ効率的に患者の選別を行えています。

X-rays (写真提供: Lunit)

レントゲン画像はモノクロであるため、病変が人間の目に見えないことがあります。Lunit のソリューションは、病変を明確なカラー画像で表示できる点で有利です。

– キューモク リー博士 (放射線科医)

Lunit のテクノロジは、レントゲン読影に習熟した医師だけではなく、放射線医学の経験が少ない医師も支援できます。パンデミック流行中にはこの点が有用であることが明らかになりました。

「(COVID-19 の) 治療には、整形外科医、精神科医、家庭医療などの様々な分野の医師が参加してきました。これらの医師は放射線医学の経験を積んできたわけではないので、レントゲンの読影能力には限界があります」とリー博士は述べています。

「レントゲン画像はモノクロであるため、病変が人間の目に見えないことがあります。Lunit のソリューションは、病変を明確なカラー画像でわかりやすく表示できる点で有利です。」

このソリューションは医療スタッフが情報に基づいた意思決定を行うよう支援します。しかし、患者の扱いを決めるのは AI だけではありません。テクノロジによって感染の疑いありと判定された患者は医師がフォローし再確認します。

Lunit のテクノロジにより正確な診断を大規模に行えることで、多忙な放射線科医の時間が有効に使えるようになったとリー博士は述べています。

「レントゲン画像は人体の 3 次元構造を 2 次元に圧縮して表示したものです。必然的に、器官や構造が画像内で重なり合って表示され、人間の目では病変を発見できない可能性が生じます」と彼は述べています。

「特に韓国内で言えることですが、放射線科医が各レントゲン画像の読影に多くの時間をかけることは現実的に不可能です。毎日、数百から数千もの読影を行わなければならないからです。」

韓国のソウル大学病院で Lunit のテクノロジを活用している放射線科医 (写真提供: Lunit)
韓国のソウル大学病院で Lunit のテクノロジを活用している放射線科医 (写真提供: Lunit)

Lunit のテクノロジは、Microsoft Azure のクラウドコンピューティング能力を活用し、ヒートマップの形式で検出された病変の位置情報を出力します。また、検出された病変が放射線科医による精査が必要なものであるかの目安となる異常度スコアを算出します。

経験を積んだ放射線科医でもプレッシャーがある時にはミスを犯します。リー博士は、Lunit のアルゴリズムが、医師によって見逃された COVID-19 関連病変を検出した最近のケースを記憶しています。

この病変が発見されず、治療されていなければ、この患者は重症化し、入院が必要となっていたでしょう。「病変を早期に検出できることはとても重要です」とリー博士は述べます。

COVID の検査法としては、PCR 検査が時間を要するものの確実であり、胸部レントゲンはその補助的手段に過ぎないとリー博士は述べます。しかし、Lunit のソリューションは、感染拡大を食い止める上で貢献しています。

Lunit のソフトウェアは継続的に機能向上されており、世界 80 カ国以上において、650 万件以上の胸部レントゲン写真を分析してきました。

診断において収集されたデータは研究や研修目的でも使用されています。すべての情報から個人識別情報が削除されているため、患者のプライバシーは守られます。

Lunit のテクノロジは、Radiology、Lancet Digital Health、JAMA Network Open、 Clinical Infectious Diseases などの査読を伴う主要専門誌で公表された研究論文を通じて実証されています。

「より正確で、効率的で、タイムリーな胸部疾病の診断を可能にすることで、Lunit INSIGHT CXR は医療プロフェッショナルの負担を軽減します。それにより、患者に提供できる価値を向上できます。」

– ブランドン スー (Brandon Suh) Lunit CEO

Lunit は、2013 年に、AI とデータによる医療を新たな標準にするために創立されました。

「当社は、世界の死因の多数を占める癌の撲滅にフォーカスしています。適切な診断により患者に最適な治療を適切なコストで提供するために、正確な診断と治療法選択を行う AI ソリューションを開発しています」と CEO のブランドン スー氏は述べています。

「より正確で、効率的で、タイムリーな胸部疾病の診断を可能にすることで、Lunit INSIGHT CXR は医療プロフェッショナルの負担を軽減します。それにより、現在のパンデミックのような危機的状況においても、平常時の医療サービスにおいても患者に提供できる価値を向上できます。」

これに加えて、同社は、他の疾病の診断においても AI による大きな成果を達成しています。たとえば、Lunit INSIGHT MMG というソリューションは、マンモグラフィにおいて平均的な放射線科医と同等の正確性で乳癌を診断できることが、最近の研究により示されています。

このマイルストーンを達成したことで、同社の研究者は、このソリューションが、放射線科医の負担を軽減し、将来に癌の検出率を向上できる、独立した読影者としての役割を果たす可能性もあると考えています。

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