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インクルーシブなハイブリッドワーク体験 – Microsoft 365 アクセシビリティの新機能 | 2021 年秋

Office Product Group – Engineering 担当コーポレートバイスプレジデント
アレシュ ホルチェク (Aleš Holeček)

※本ブログは、米国時間 10 月 7 日に公開された “Creating inclusive hybrid work experiences – what’s new in Microsoft 365 accessibility features for Fall 2021” の抄訳を基に掲載しています。

今年の National Disability Employment Awareness Month のテーマは、”America’s Recovery: Powered by Inclusion” (「米国の回復: インクルージョンによる推進」) です。そして、ハイブリッドな職場でインクルージョンを実現するためには、テクノロジがきわめて重要な役割を果たします。障碍のある多くの社員にとっては、適切なテクノロジのあるなしによって、対等なチームメンバーとして最高のパフォーマンスを発揮できるか、対話にまったく参加できないかの違いが生まれます。

マイクロソフト製品によってインクルーシブでハイブリッドな職場環境の実現に貢献することが、Office Product Group のエンジニアリングリーダーとしての私自身のコミットメントです。まだまだ改善すべき点はありますが、今後も継続的・段階的な改善を行い、その価値を提唱していきます。私は、このテーマへの理解を深めていただくために、マイクロソフトでの進捗状況を四半期ごとに報告することをお約束しました。また、アクセシビリティが最低限の不可欠な製品の一部として考慮されるよう、業界全体に訴えていきます。

Microsoft 365 のアクセシビリティ関連のここ数カ月間の機能強化の一部をご紹介しましょう。

インクルーシブで柔軟な Microsoft Teams 会議の実現

オンライン会議はハイブリッドワークの主要な要素です。聴覚に障碍のある人々のコミュニティからは、改善点について素晴らしいフィードバックが寄せられています。まだまだ道のりは長いですが、Microsoft Teams は、聴覚に障碍のある方々の会議体験を向上させ、すべての人にとって柔軟性と集中力を高める機能の提供を行っています。

会議参加者の理解を助けるライブキャプションとトランスクリプト

聴覚に障碍のある参加者や、騒がしい場所・静かな場所で仕事をしている参加者にとって、よりインクルーシブな会議を実現する方法の一つとして、キャプションやトランスクリプションのツールを使って、会議の音声内容をテキストに変換することが挙げられます。Microsoft Teams では、組織の管理者がこの機能を有効にしていれば、Teams のデスクトップまたはモバイルアプリを使用する参加者は、会議中に自分だけが見られるライブキャプションを利用できます。この四半期では、発言者の名前が表示されるようにし、対応する言語を 28 に増加、会議だけでなくライブイベントにも拡張するなど、ライブキャプション機能の強化を続けてきました。

ライブトランスクリプションは、ライブキャプションと同様に、音声をほぼリアルタイムでテキストに変換し、発言者を特定します。キャプションとは異なり、トランスクリプションは会議中でも会議後でも利用可能です。管理者がトランスクリプションと録音の両方を有効にしている場合は、参加者が会議の録音を開始すると自動的にライブトランスクリプションが開始され、ワンクリックで議論の内容や発言の詳細を容易に記録できます。録音せずにトランスクリプションのみを利用することも可能です。会議終了後でも議論の内容や発言をテキストで見ることができるので、見逃した話題にキャッチアップすることもできます。Teams 会議のライブトランスクリプションの詳細情報はこちらから参照ください。

CART 対応のキャプション作成者を Teams に招待

今月、ネイティブライブキャプションとトランスクリプションに加えて、Teams に CART (Communication Access Realtime Translation) のサポートが追加されます。National Court Reporters Association (全米法廷記者協会) は、CART サービスを「速記タイプライター、ノートパソコン、リアルタイムソフトウェアを使用して、会話内容を英語のテキストにリアルタイムで置き換えること」と説明しています。CART は、専門用語が多い場合や、参加者がさまざまなアクセントで話す場合など、音声認識ソフトウェアでは対応が困難な状況で特に役立ちます。CART を使用するには、会議の主催者がミーティングの招待状と特別なリンクを CART 作成者へ提供します。会議中、CART 作成者はリアルタイムで会話を文字起こしします。参加者全員がキャプションを見ることができ、CART によるキャプションと AI が生成したキャプションを切り替えることもできます。会議での CART キャプションの設定と使用方法についてはこちらを参照ください。

複数ビデオのピン留めやスポットライトによりプレゼンターと通訳者を同時表示

手話でコミュニケーションを取る人は、ビデオ通話中に通訳者とプレゼンターの両者を画面上に表示しておく必要があることがあります。この分野ではまだ大きな課題が残っていますが、当面の解決策として、Teams は複数のビデオのピン留めとスポットライトをサポートしています。ピン留めは参加者のプライベートな表示のみを変更するのに対し、スポットライトでは、主催者やプレゼンターが最大 7 つのビデオをハイライトして参加者全員に見せることができます。また、スポットライトでは映像が拡大されるので、聴覚に障碍のある参加者が読唇を行いやすくなります。そして、先月、この 2 つの機能が Windows 上の Microsoft Teams Rooms でも利用できるようになりました。Teams 会議で自分の映像を調整する方法はこちらを、相手の映像にスポットライトを当てる方法はこちらを参照ください。

Outlook において書き手にとっても受け手にとってもよりアクセシブルな操作を実現

ハイブリッドワークの構成要素はビデオ通話だけではありません。電子メールも依然として最も一般的なコラボレーション方法の 1 つです。そのため、マイクロソフトは、インテリジェントなライティング支援機能、高速なディクテーション機能、文脈に応じたアクセシビリティに関するリマインダーといった、Outlook の機能強化によって、あらゆる人にとっての電子メールの作成と閲覧の体験を改善しています。

Editor により自信を持ってメールを作成する

簡潔で効果的で適切なメールを書くことが、学習障碍やある種のニューロダイバージェンスのある人々にとっては難しいことがあります。Windows 版 Outlook Editor は、メッセージをより効果的に伝え、ユーザーにライターやコミュニケーターとしての自信を与えるように設計されています。Editor は、スペルや文法修正の提案に加えて、明瞭性、簡潔性、包括性などを向上させるための改善案を表示します。

アップデートされた音声コマンドと自動句読点機能によるスムーズなメール入力

Outlook のディクテーション機能のイメージ
Outlook のディクテーション機能のイメージ

Windows 版および Mac 版の Outlook は、Word と共に、高速なディクテーション機能と音声コマンド機能をサポートするようになりました。電子メールの音声入力は、視覚や運動機能に障碍のある人々にとって文字入力よりもはるかに簡単であると同時に、誰にとっても現代的なユーザーインターフェースです。音声コマンドの最新のアップデートにより、メールに宛先を追加したり、件名を追加したり、メッセージの中で誰かを (@名前) メンションとしてあえて言及したり、メールを送信したりと、声だけで多くのことを実現できます。また、テキストの削除、太字化、斜体化も音声で行うことができ、自動句読点機能を有効化して「ピリオド」や「カンマ」などと言わなくてすむようにもできます。Outlook のメールディクテーション機能についての詳細はこちらを参照ください。

電子メールをよりアクセシブルにするためのリマインダー

Outlook 自体をアクセシブルにすることと同様に、Outlook で作成した電子メールを受信者にとってアクセシブルにすることも重要です。そのため、マイクロソフトは、今年初めにアクセシビリティチェッカーの MailTip を導入しました。メール作成中に、白地に黄色の文字や alt テキストのない画像など、アクセシビリティに欠けるコンテンツが検出された場合、自動的にプロンプトを表示し、問題の修正をサポートします。Outlook でアクセシブルな電子メールを作成するためのベストプラクティスについては、こちらを参照ください。

Viva インサイトで従業員のメンタルヘルスとウェルネスをサポート

メンタルヘルスの疾患は、今日の世界における障碍の中で最も一般的です¹。また、精神的・感情的なウェルビーイングは、仕事における生産性、イノベーション、エンゲージメントの基礎となります。マイクロソフトは、人々がバランスを保ち、知的にコラボレーションし、仕事に集中し、どこで仕事をしていてもベストを尽くせるよう Microsoft Viva を開発しました。そして、Viva インサイトの提供により、マイクロソフトの分析と AI の強みを活かして、お客様のメンタルヘルス、集中力、ワークライフバランスの優先順位付けを支援します。

Microsoft Viva ホームページのイメージ
Microsoft Viva ホームページのイメージ

Viva インサイトの「時間の確保」機能では、集中して仕事をするための時間を予約することで、気を散らされなくなり、仕事の中断を減らすことができます。Headspace の厳選されたガイド付き瞑想セットがマインドフルネスを促進し、ストレスを軽減します。バーチャル通勤体験がタスクの確認とまとめの時間を確保できるよう支援し、翌日のタスクをリスト化して、勤務時間外にリラックスできるようにしてくれます。そして、個人情報の分析は本人の目の前でのみ行われます。詳細については、こちらを参照ください。

Microsoft 365 のその他の最新アクセシビリティ機能強化

  • Windows 版 Excel のナビゲーションウィンドウは、スクリーンリーダー向けに設計されており、ワークブックの理解を容易にし、テーブル、グラフ、イメージなどの要素に直接ナビゲートできるようにしてくれます。Excel のナビゲーションウィンドウの使用方法についてはこちらを参照ください。

  • Web 版およびデスクトップ版 Excel のアクセシビリティ リボンでは、ワークブックをアクセシブルにするために必要な最も一般的なツールが、使い慣れたリボンの中にまとめられています。

  • Teams Rooms でのライブリアクションにより、通話中に会話やテキストチャットが困難な参加者 (さらには、他人を称賛する意思表示をしたいだけの人) にとっての選択肢が広がります。

  • 障碍の中には、たとえば、運転中でノートパソコンを使えないといった一時的な状況によって起こるものもあります。Teams for Apple CarPlay は、ドライバーや乗客がコミュニケーションを取り、それぞれの生活に合わせて会議時間を容易に調整できるようにします。

  • イマーシブリーダーを Outlook デスクトップ、Teams モバイル、OneDrive、SharePoint にも拡張することで、学習障碍や集中力の低下、特定の視覚に障碍のある方が、より多くのアプリやデバイスでコンテンツを読んで理解できるようになります。

  • Teams および Teams モバイルの Cortana (最近、Microsoft Teams for Education のモバイルアプリにも拡張されました) では、ファイルの共有やカレンダーの確認などに音声アシスタントを使用することができます。Teams での Cortana 音声アシスタントに関する追加情報はこちらを参照ください。

政府機関のお客様

以下の Teams のアクセシビリティ機能が、マイクロソフトのマルチテナント型クラウドの法人のお客様向けに加えて、このたび Microsoft 365 GCC (Government Community Cloud)、GCC-High、および、米国国防総省 (DoD) のお客様向けにも提供開始されたこともご紹介します。

  • 複数ユーザーのスポットライト (GCC)

  • 会議の自動録音 (GCC)

  • 追加言語によるライブキャプションとライブトランスクリプション (GCC)

  • ライブトランスクリプションの発言者名表示 (GCC)

  • 録音の開始によってライブトランスクリプションも開始 (GCC)

  • 会話のフォロー/ミュート (GCC)

  • 会議におけるライブリアクション (GCC/GCC-High)

  • MacOS におけるネイティブ通知 (GCC/GCC-High)

  • Teams Rooms のラージギャララリービューと Together モード (GCC-High)

  • Together モード (GCC/GCC-High)

  • ライブイベントにおけるライブキャプション (GCC-High/DoD)

  • Apple CarPlay における Teams 会議 (GCC/GCC-High/DoD)

  • Windows 10 におけるネイティブ通知 (GCC/GCC-High/DoD)

この取り組みを継続していくために

マイクロソフトのアクセシビリティへの取り組みは、障碍のあるお客様や従業員からの意見を反映したものです。マイクロソフト全社でエキサイティングな新しい取り組みが推進されています。ここで紹介した素晴らしい機能に加えて、今月提供開始された Windows 11 は、最初の段階からアクセシビリティとインクルージョンを基本理念として設計されました。また、新製品の Surface Adaptive Kit は、ユーザーが自分のデバイスをよりアクセシブルにするのに役立つ、触覚で検知できるラベルとディスプレイオープナーなどのセットです。

障碍のある方が他の人々とつながり、コミュニケーションを取り、貢献できるように支援する製品を提供することは、マイクロソフトのミッションの中核を成すものです。マイクロソフトは、この分野での継続的な改善にコミットしています。そして、この取り組みの最も重要な指針となるのはお客様からのフィードバックです。現在お使いの Microsoft 365 アプリから提案を送ることができます。ファイルメニューの「フィードバック」から「提案したいことがある」を選択し、#accessibility というタグを付けてご意見をお寄せください。

障碍のあるお客様が技術的サポートを必要とされる場合は、Disability Answer Desk (DAD) が電話 (800-936-5900) またはチャットでサポートします。また、米国の聴覚に障碍のあるお客様には ASL (手話) オプション (+1 503-427-1234) を用意しているほか、Be My Eyes アプリによるビデオサポートも提供しています。エンタープライズのお客様は、Enterprise Disability Answer Desk (eDAD) に問い合わせることで、アクセシビリティ機能、製品のコンプライアンス、支援テクノロジに関する質問の回答を得ることができます。

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