誰もが使えるコンテンツを簡単に作ろう—Microsoft 365 アクセシビリティ機能 (2022 年冬)
アレシュ ホルチェク (Aleš Holeček)
※本ブログは、米国時間 1 月 20 日に公開された “Making it easier to create content that everyone can use—what’s new in Microsoft 365 accessibility features for Winter 2022” の抄訳を基に掲載しています。
ハイブリッドワークにおけるアクセシビリティとインクルージョンの向上に向けて、すべての Microsoft 365 製品の取り組みについて最新情報を定期的に提供することを昨年 10 月にお約束しました。2 回目となる今回は、Microsoft 365 におけるコンテンツ作成とコラボレーションのインクルージョンを高めるために行ってきた取り組みのいくつかをご紹介します。
Microsoft 365 アプリのアクセシブルなオーサリングの簡素化
長年にわたり、マイクロソフトは、基本的なスペルチェックからインテリジェントな編集やデザインの提案に至るまで、オーサリングの体験を形作る様々なツールを提供してきました。適切に使いこなせば、これらのツールは作業にシームレスに適合し、コンテンツ作成に集中できるようにしてくれます。アクセシビリティチェック機能も、何百万人ものユーザーがコンテンツをよりアクセシブルにするために役立ってきましたが、必ずしも使いやすいツールではありませんでした。
今後は、アクセシブルなコンテンツの作成においても、スペルチェックや文法チェックと同様にシンプルで強力な支援を提供していきたいと考えています。この四半期には、Microsoft 365 アプリのオーサリングワークフローにいくつかの改善を加え、コンテンツ作成作業の流れを中断することなく、誰もが利用できるドキュメントを作成できるようにしました。詳しく見てみましょう。
コンテンツ作成中にアクセシビリティの問題を意識できるリマインダーを表示する
スペルチェックや文法チェックと同様に、編集作業中もアクセシビリティの問題を視野に入れておくことで、修正作業が行いやすくなります。最後になって修正すべき項目の長いリストに遭遇するのではなく、文脈に応じたヒントによって誤りの理由を知り、書き続ける間に同じ誤りを繰り返さないようにできるのです。このような情報を作業の流れの中で提供するために、Windows 版の Word、Excel、PowerPoint でアクセシビリティチェック機能をバックグラウンドで実行するオプションを提供します。このオプションを有効にすると、下部のステータスバーにインジケーターが表示され、文書が「問題なし」なのか、あるいは、調査すべき問題があるのかが示されます。メッセージをクリックすると、アクセシビリティチェック機能のペインが表示され、詳細を確認したり、修正したりできます。アクセシビリティを確認しながら作業を行う方法についてはこちらをご参照ください。
また、業務の流れの中でアクセシビリティへの意識をさらに高めるため、先日、Word、Excel、PowerPoint 用の Accessibility Reminder アドイン (英語版) を Windows、Mac、Web 向けにリリースしました。Accessibility Reminder により、障碍のある方やその協力者が文書の作成者や寄稿者にアクセシビリティの問題を通知し、ヒントやヘルプ記事へのリンクを提供するために使用できる既製の「ナッジ」群を含むタブが、画面上部のリボンに追加されます。Accessibility Reminder はこちらからダウンロードできます。
すべてのアクセシビリティツールを集約
また、マイクロソフトは、アクセシビリティの問題を発見してから修正するまでのプロセスの簡略化にも取り組んでいます。PowerPoint Accessibility リボンと Excel Accessibility リボンは、十分な色のコントラスト、画像への alt 属性テキストの追加、スクリーンリーダーユーザーが理解しやすいコンテンツの構成など、プレゼンテーションやスプレッドシートをアクセシブルにするために必要なすべてのツールをまとめています。Accessibility リボンは、(レビューリボンから、または、ステータスバーのアクセシビリティインジケーターをクリックすることで) アクセシビリティチェッカーを開くと自動的に表示されます。以下のビデオで PowerPoint Accessibility リボンの使用シナリオをご覧ください。
画像をアクセシブルにするための alt テキスト
代替テキスト (alt 属性テキスト) とは、アプリやウェブなどのデジタル環境におけるビジュアルアイテムの意味と文脈を伝える説明用の文字情報です。この情報により、スクリーンリーダーのユーザーは視覚に頼らず、それらが何であるかを理解できます。画像の多いデジタル文書やスペースをアクセシブルにするためには、alt テキストを含めることが重要ですが、この点は見落とされがちです。クリエイターに alt テキストを含めることを奨励するため、マイクロソフトは、Microsoft 365 全体のより多くの文脈で、alt テキストを提供しやすくする方法を検討してきました。先月には、Microsoft Teams チャット で共有する画像に alt テキストを提供する機能を Windows 向けに展開し、Mac にも近日中に展開する予定です。
また、Excel では、スクリーンリーダーの利用者に向け、グラフや PivotChart に自動的に alt テキストが追加されるようになりました。この alt テキストは、スクリーンリーダーがオブジェクトに到達した時にオンデマンドで生成されるため、確実に最新のデータに基づいたものになります。しかし、グラフの作成者は正確性を最大化するために独自の alt テキストを作成することが推奨されます。どう作成すべきかよく分からないという場合は、効果的な alt テキストの作成方法についてこちらをご参照ください。
アクセシブルなコンテンツ作成のための追加情報
これまでの内容を読んで、コンテンツをアクセシブルにする方法について、さらに情報を得たいと思われた方に向けて多くのリソースが用意されています。ここでは、最初にチェックすべきものをご紹介します。
- Microsoft Learn の Microsoft 365 を使用したアクセシビリティ対応コンテンツの作成 (アクセシビリティの基礎コースの一部) をチェックしてください。アクセシブルなオーサリングツールと手法に関する 51 分の入門コースです。
- Microsoft 365 Tech Community ブログで、PowerPoint Accessibility の責任者ピーター ウー (Peter Wu) による PowerPoint および Microsoft 365 におけるアクセシブルなコンテンツの作成方法、および、最近の CreativePro Design + Accessibility Summit におけるセッションをご参照ください。
- アクセシブルなドキュメントの作成に関するサポートコンテンツでは、Microsoft 365 Apps 全体でアクセシブルなオーサリングを行うための詳しい手順とベストプラクティスをご紹介しています。
Microsoft Teams のコラボレーションをよりインクルーシブに
もちろん、重要なのはコンテンツ自体だけではありません。コンテンツ作成にはしばしば高度なコラボレーションが必要になり、ハイブリッドな世界では、それは、Microsoft Teams のようなプラットフォームを通じて互いにつながることを意味します。ライブ キャプションと トランスクリプションの改善、CART キャプションの統合、複数のユーザーをピン留めまたはスポットライトする機能など、Teams 会議をよりアクセシブルにするためのいくつかの新機能を前四半期に発表しました。それ以来、マイクロソフトは、この作業を継続し、Teams でのコラボレーションが誰にとってもよりインクルーシブで柔軟なものになるよう取り組んでいます。
会議自体にも、キー操作によるミュート解除機能 (現在パブリック プレビュー中) を導入しました。これにより、キーボードショートカット (Windows では Ctrl とスペース、macOS では Option とスペース) により迅速にミュート解除をできるようになりました。誰にとってもシンプルですが、マウスやカーソルを使うのが苦手な参加者には、特に便利です。
Microsoft Teams Rooms での会議では、複数スクリーンに映像を分割してレイアウトする機能により、お互いの顔がよく見えるようになりました。これにより、リモートの参加者の臨場感を高めるとともに、会場にいる参加者が、表情、手話、唇の動きなどを把握しやすくなりました。
過去の会議内容を確認してキャッチアップや振り返りをしたいときはありませんか? ライブ トランスクリプトが Teams の不定期会議とチャンネル会議でも利用できるようになったため、より多くの文脈で発言のフォローや再確認が容易にできるようになりました。また、録音全体を参照したい場合は、Stream 内の Teams 会議録音の可変再生速度 (0.5~2 倍速) とスライドの遷移に基づくインデックス付き録音により、自分のペースで録音を聞き、関連するコンテンツに素早く移動することが容易になります。
政府機関のお客様へ
また、以下のアクセシビリティ機能は、現在マイクロソフトの法人のお客様がマルチテナントクラウド環境で利用できるものですが、以下に示すように Microsoft 365 GCC、GCC-High、および国防省 (DoD) のお客様向けにも展開されています。
- Word for the Web のディクテーション (GCC/GCC-H)
- Outlook for iOS のエディター (GCC/GCC-H/DoD)
- Teams デスクトップクライアント (GCC-H) および Teams モバイルクライアント (GCC-H/DoD) のゲストアクセス
- Teams の Together モード (DoD)
- Teams における MacOS ネイティブ通知 (DoD)
Microsoft 365 アクセシビリティの機能強化をご支援ください
マイクロソフトのミッションの中核にあるのは、私たちの製品により、すべての人がつながり、コミュニケーションし、貢献できるようにすることであり、私たちはこの分野での継続的改善にコミットしています。そして、この取り組みで最も重要な指針となるのはお客様からのフィードバックです。ご意見をいただく最良の方法は使用中の Microsoft 365 アプリ内から直接送ることです。ファイルメニューから「フィードバック」、「提案がある」を選択し、#accessibility のタグを付けて送信してください。
障碍のある方で、マイクロソフト製品の技術的サポートが必要な場合は、Disability Answer Desk (DAD) が、電話 (800-936-5900) またはチャットでサポートします。また、聴覚に障碍がある米国内のお客様には ASL オプション (+1 503-427-1234) を用意しているほか、Be My Eyes アプリによるビデオサポートも行っています。また、エンタープライズのお客様は、アクセシビリティ機能、製品コンプライアンス、支援技術に関するご質問を Enterprise Disability Answer Desk (eDAD) でお受けしています。
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