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字幕のテレビを見ている女性の後ろ姿

AI-mimi が提供するインクルーシブなテレビ体験

‐地域の人々を支え、情報のかなめとなる生放送番組字幕を AI で‐

※こちらは、米国時間 7 月 6 日に公開された “AI-Mimi is building inclusive TV experiences for Deaf and Hard of Hearing user in Japan” の抄訳を基に掲載しています。

世界中で字幕機能に対するニーズが高まっています。たとえば、イギリスでは、字幕は主に聴覚に障碍のある人々のためのものである一方で、放送視聴者の約 10% が定期的に字幕を使用しており、一部のオンラインコンテンツではこの割合は 35% に達すると、BBC は報道しています。これらの視聴者の大多数はもともと聴覚に障碍のある人々ではありません。

今、世界各地で、テレビやソーシャルメディアといった映像コンテンツ全般において同様の傾向が見られます。

日本には、現在 36 万人以上聴覚に何らかの障碍がある方がいると言われており、そのうち 7 万人程度が手話を主なコミュニケーション手段として生活しています。その他の多くの人々は、日本語の文字テキストを主なコンテンツへのアクセス手段としているとみられています。また、人口の 30% 近くを 65 歳以上の高齢者が占めており、日本補聴器工業会の推計では、1,420 万人もの人々が日常で聞こえにくさを感じているとされています。

また、日本の主要放送局では番組の大半に字幕を付けていますが、これを実現するためには専任のスタッフや数千万円相当の専用機器が必要と言われています。

「全国に 100 社以上ある地方各局のテレビ局では、高額な機材コストや要員の制限などのために、生放送番組への字幕提供に困難を抱えているのです。」

合同会社シーコミュ (以下シーコミュ) 共同代表の一瀬さんは言います。地域毎のテレビ局は、その地域や住民に関する重要な情報を伝えるニュース番組を提供することから、地域社会にとってきわめて重要な存在です。

このアクセシビリティへのニーズに対応するため、2018 年より、シーコミュと親会社のアイセックジャパンは、テレビ局と共同で、生放送番組に字幕を提供する、革新的でコスト効率に優れたシステムの実証プロジェクトを行っています。同社の生放送用字幕提供技術ソリューション「AI mimi」は、人間による字幕入力と Microsoft Azure Cognitive Service の機能を組み合わせた革新的ソリューションであり、ハイブリッド形式による正確で迅速な字幕提供を実現します。さらに、アイセックの専門人材を活用することでローカル局における字幕入力の要員不足を補うこともできます。この「AI mimi」はこれまで沖縄大学でも採用され、マイクロソフトが提供する Microsoft AI for Accessibility 助成金の対象にもなりました。

「AI mimi」を活用した沖縄大学での字幕配信 学生のタブレットに精度の高い字幕として配信されます
「AI mimi」を活用した沖縄大学での字幕配信 学生のタブレットに精度の高い字幕として配信されます

シーコミュは、より大きなフォントといった、より良い字幕表示のためのニーズを中心とした、様々なテストとユーザからのフィードバックに基づき、従来字幕が表示される画面下部の 2 行での表示ではなく、画面右側に 10 行以上の字幕を表示するモデルを実現しました。2021 年 12 月には、テレビ長崎と提携し、初めてサブチャンネルを活用した聴覚障碍者向けのライブ字幕配信を行いました。

字幕付きの生放送番組において2人の司会者、およびAIと人間の入力を組み合わせて画面右側にリアルタイムで提供される字幕。
「テレビ長崎での実証実験画面」

この試みは、聴覚に障碍がある人々のコミュニティから非常に高い評価を受け、アクセシビリティに対するニーズがまさに満たされていることが改めて確認されました。また、テレビ局からは、アイセックのシステムは専用機器を必要とせず、コストが低く、柔軟性が高いというメリットもあると評価されました。一瀬さんは言います。

「驚くほど多くの方に、この取り組みを高く評価いただきました。今後も生放送における字幕の使用を促進し、コミュニティにとって利用しやすい体験を提供する上で「AI mimi」は重要な役割を果たすイノベーションになっていくと考えています。」

このストーリーを英語で読む場合はこちら

※インクルーシブ: 包括的、包摂的

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