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COVID-19 対策を支える影のエキスパートたち

Aimee Riordan
2020 年 8 月 24 日

※ 本ブログは、米国時間 8 月 24 日に公開された “Quiet collective: The unseen experts behind Microsoft’s coronavirus response” の抄訳です。

1 月のとある土曜日の朝、マイクロソフトの「AI for Good」研究を率いるフアン・ラヴィスタ・フェレス (Juan Lavista-Ferres) は、チームに対して緊急のメールを送りました。その時点では、世界的に見て 2000 件に満たない患者数と、データも不十分だったまだ名もない病であったにもかかわらず、彼は大きな危機が迫っていることを周りに警告しました。

「報告件数の増加が驚愕的な指数曲線を描いていることが分かりました」とフアンはメールに書きました。「こうした形でウイルスが発生する際、同様のとても近似した曲線を描くことがありますが、今回のウイルスの拡散はあまりにも早いと思われます。手元にあるデータが正確で、且つウイルスの発生が早期に抑えられない場合、2 月末には感染者数が 7 万人を超え、それ以降は百万人以上が感染する事態になりかねません。」

この警告メールからひと月が過ぎ、COVID-19 (新型コロナウィルス感染症) と新たに名づけられたウイルスの陽性反応がワシントン州でも多く確認され、シアトル郊外の介護施設 Life Care Center で国内初の死者が確認されました。その頃、マイクロソフトは、どうしても欠かすことのできない 2% を除く全社員に対して、在宅勤務を展開し、各自安全を確保するように指示した最初の企業の一つに名を連ねました。

フアン・ラヴィスタ・フェレス

データサイエンティストであるフアンは、社員をこの危機から守るため、マイクロソフトでも日々努力と準備を重ねてきた医師、疫学者、災害スペシャリストといった経験を持つ他のエキスパート社員たちと共に、全社的に結成された特別チームに参加しました。彼らは連携することで、未曾有の事態の中で社員や社の方向性を決めるマイクロソフトのシニアリーダーシップチームに情報を提供する上で、重要な役割を果たすことになりました。

数万にも及ぶ社員たちがステイホームを実施し在宅勤務に切り替えるなかで、ピュージェット湾付近の大企業や政府の連携が功を奏した結果、ウイルス発生初期におけるシアトルでの COVID-19 の拡散を大きく遅延させることができました。同様に、迅速で懸命な取り組みによって、人々がこれから訪れる大きな危機に対して適切な認識を培う結果にもつながりました。相手は簡単に伝染し、人を死にいたらしめ、発生から半年過ぎた今でも治療薬の確立してない危険なウイルスとして猛威を振るっています。

COVID-19 禍におけるマイクロソフトの取り組みや活動その原点にあるものは、対応について考える様々なエキスパートたちの幅広い専門知識に基づくだけでなく、同様に COVID-19 に対応していた世界中の同僚たちによるグローバルな学びや経験にも大きく影響しています。

1 月中旬頃に、アウトブレイクが発生した際にマイクロソフトの窓口だったコリーン・ダリー (Colleen Daly) は中国、シンガポール、そしてイタリアに住む社員たちの COVID-19 対策に深く関与しはじめていました。グローバル・ウェルネス・ベネフィットマネージャーである彼女は、社員たちの物理的および精神的な健康を守るための社内戦略を実行する立場として長く従事してきました。過去を遡れば、エボラ出血熱、ジカ熱、小規模な麻疹クラスタ、結核、そして百日咳の集団感染が発生した際にも、コリーンはその手腕を振るってきました。

コリーンは公衆衛生学の中でも公共医療研究に加えてヘルスケアシステム、経済、そして活動方針を策定する労働衛生学における博士号を取得しており、さらには保健行動と疫学に特化した公衆衛生学の修士号も取得しています。

コリーン・ダリー

マイクロソフト最高経営責任者のサティア・ナデラと彼の率いるシニアリーダーシップチームのパンデミック対策会議でコリーンの存在はすぐに重要視されるようになり、彼女はそれぞれの会議で全社の判断のために必要となる生の情報をシアトル、キング郡、そしてワシントン州の防疫係官からの情報を交えて共有しました。

「あの時構築されたつながりは、重要な役割を果たすために絶対的に必要なものでした」とコリーンは官民一体の連携を高く評価しています。彼女は同時に、マイクロソフトのシニアリーダーシップチームの思慮深さや心遣い、そして科学的な見地を重視した意思決定に深く感銘を受けました。

「彼らは意見を求めた専門家たちの言葉に全力で耳を傾けてくれています。それがどれだけ価値のある行いかは、誰もが知っていることだと思います」と彼女は言います。「サティア・ナデラの考えや、これまで推進してきた成長に根差したマインドセットや姿勢が今回の対策への取り組みの重大な足掛かりとなりました。情報を他者に伝える際の恐怖を取り払い、物事をより深く理解し学ぶための支援を惜しみなく行うことで培ってきた強固な土台があったからこそ、私たちは現在の対策を取れているのです。」

これまでも、コリーンはアウトブレイクに対する全社的な取り組みに力を注いできましたが、今回の危機に際してマイクロソフトが持つ内部ノウハウの充実ぶりには驚かされたと言います。「私たちがどれだけ専門的な公衆衛生に関する知識を持っていたのか、実際にこうして危機が訪れたことで初めて気づく形になりました。」

COVID-19 が発生した時点で、既に地元、郡、そして州政府の同業たちと関係を構築していたコリーンは、事態の深刻化が進むワシントン州の中でもリーダーシップを発揮する立ち位置にいたのです。

2 歳の子供を持つ母としての責任は決して軽くありませんでした。それでも、家族を守りつつ、可能な限り手助けを行う方法を私は模索し続けたのです。

対策チームに所属しているグレース・ウィン (Grace Huynh) は疫学の博士号を持つ医師であり、マイクロソフトに努める前には Bill & Melinda Gates Foundation で結核のモデリングに携わっていたこともあります。グレースは対策チームの一員として、そしてマイクロソフトの Health Futures グループのシニア研究員として、新型ウイルスのモデル比較、試験、そして感染性の分析に力を注いでおり、今年の秋に直撃すると予想されている世界的な第二波にも研究の焦点を当てています。彼女は、マイクロソフトが企業として内包する知識や専門性を活用することで、COVID-19 禍で特別な役割を担えると考えています。

グレース・ウィン

彼女にとって、この取り組みは個人的なものでもあります。

「これまで医師や感染症の専門家として働いてきた私にとって、この危機は胸にこたえるものがありました。死と直面しても、決死の覚悟で治療に挑む過去の同僚たちの英雄譚を医療コミュニティで耳にするたびに、心が湧き立つのと同時に苦悩している自分がいます」とグレースは明かします。「2 歳の子供を守る母としての責任は決して軽くありません。それでも、家族を守りつつ、可能な限り手助けを行う方法を私は模索し続けました。この想いにマイクロソフトが応えてくれて、私の持つ技術で貢献できる場所を用意してくれたことに深く感謝しています。」

こうした経験を通して、グレースは世界が思っていたよりずいぶんと小さいことに気づきました。「私たちがどれほどお互いとつながりあっているか、考え続けることが重要なのです。」

点と点をつなげながら、ビル・ウィークス (Bill Weeks) は一年ほど前にマイクロソフトにやってきました。委員会認定の精神科医で MBA を取得しており、経済学の博士号を持つビルは、これまでのキャリアで医療のサービス、利用、そして提供に関する経済的およびビジネス的な様相を調査してきました。

ビル・ウィークス

現在、マイクロソフトの Healthcare NExT チームの研究代表者となったビルは、この事態に対して他にはない視点を持っています。「精神科医としての私は、現在の人々の健康がとても気がかりです。同時に、経済学者としての私は、経済的な沈滞が長期的なマイナス要素として人々、特にこれからの若い世代に対して重くのしかかり、持続的に健康に悪影響をもたらす可能性も心配しています。」

ビルによると、COVID-19 によるパンデミックは米国内の医療の提供方法を強制的に変革していると同時に、重要な官民一体のパートナーシップ形成の引き金にもなっているとのことです。

「医療の観点から見ると、これまでの変化はとても大きな価値を持っています。この危機を通じて、人々は共に学んでいるのです」とビルは説明します。マイクロソフトが「政府の状況理解に一役買っていること、そしてコミュニティの回復に手を差し伸べていることにはとても良い意味があります。」

様々な要素が不透明な状況ですが、直面せざるをえない機会を上手く活用することで、より明るい未来へと橋が架かるとビルは信じています。まだマイクロソフトに来て間もない彼は、この危機に対応している人たちの優れた才能に驚きを隠せません。「優秀な人たち、それも賢く謙虚な人たちがここには大勢居ます。そんな人々が公益のために、日々奔走しています。この環境は素晴らしいです。全員が一丸となっているのです。」

対策チームのリーダーの 1 人であるリサ・レショール (Lisa Reshaur) は、ビルの考えに賛同します。「様々な分野の専門知識とスキルを持った大勢の社員たちが、普段の仕事を止め、もしくは上乗せしてできることは無いかと考えて動いています。」

災害科学の博士号を持つリサは、人々が難しい状況に立たされた時や危機に直面した時に、どのように判断を行っているかについて考えるキャリアを歩んできました。組織内のガバナンス、リスク、持続性、そしてコンプライアンスチームのゼネラルマネージャーを任されている彼女は、マイクロソフトの全社的な危機管理プログラムと密接に関わるシニアリーダーシップチーム、16 のエリアチーム、そして 44 のより限定的な地域のチームといった世界中に散らばる人たちの意見を束ねています。

簡単に言えば、彼女はこれまでになく多忙な日々を送っています。

リサ・レショール

「就職した直後のマイクロソフトで初めて参加した会議はインシデント管理についてで、多岐に渡るプログラムの一つ一つを纏め上げ、一本化することで地域ごとに存在しているプログラムのズレを解消し、世界的にも共通のアプローチを取れるようにするためのものでした」とリサは振り返ります。「サティアのリーダーシップのもと、私たちはそのビジョンに向けて着実に前に進む事ができました。昨年の夏には、特に重要だと考えていた管理プログラムの 2 つの部分をまとめることができました。」

「一本化させるために必要な変革に 6ヶ 月ほどの猶予があったことは、今考えればとても幸運なことでした。」

リスクと危機管理の知識を一通り備えているリサですが、初期の会議でマイクロソフトには疫学、公衆衛生学、そしてデータサイエンスのエキスパートが存在していて、彼らがアメリカ疾病予防管理センター (CDC) や世界保健機関 (WHO) の発表する資料を参考に適切な忠告を行えるという状況には、その他の人たちと同様に驚きました。

「シニアリーダーとも呼べる人たちが、普段の仕事をこなしつつも、自らも全力で危機に立ち向かっているのです」と彼女は言います。「彼らの時間と指導は代え難いものです。その姿を見てきた私は、マイクロソフトで働くことに強い誇りを感じているのです。」

各国の状況から、私たちは学び続けています。そして、様々な情報を集め、統合し、より良いプログラムの礎となるよう、改善し続けています。

リサはグローバルな姿勢を以って事態に挑んでいる人々の姿にも鼓舞されています。「各国の状況から、私たちは学び続けています。そして、様々な情報を集め、統合し、より良いプログラムの礎となるよう、改善し続けています。これは、素晴らしい経験だと私は考えています」と彼女は述べています。

2020 年冒頭の COVID-19 感染初期は、もう遠い昔のように感じられるようになりました。対策チームが組織のリーダーたちや、不確かな日々を過ごす社員の標となる公共パートナーたちと日常的に会話を交わすたびに、この取り組みは短距離走ではなく、マラソンのような持久走のようなものであることを再確認し続けています。

「正直、この生活はとても疲れます」とリサ。「対策チームは普段よりも長い時間働き続けています。ですが、皆一様にこれまでに感じたことのない想いで取り組んでいます。危機管理者としては、今こそがまるでスーパーボウルの舞台のような場なのです。そして、こうした危機が二度と訪れないよう願いを込めて、最良の選択を分かりやすく明確に伝え、可能な限り人々を助け寄り添い続けたいのです。」

トップ画像: 普段は満車が当たり前のワシントン州レドモンドのマイクロソフトキャンパスの駐車場は COVID-19 を受けたステイホームが採択された結果、今も空車のままです。

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