この警告メールからひと月が過ぎ、COVID-19 (新型コロナウィルス感染症) と新たに名づけられたウイルスの陽性反応がワシントン州でも多く確認され、シアトル郊外の介護施設 Life Care Center で国内初の死者が確認されました。その頃、マイクロソフトは、どうしても欠かすことのできない 2% を除く全社員に対して、在宅勤務を展開し、各自安全を確保するように指示した最初の企業の一つに名を連ねました。
対策チームに所属しているグレース・ウィン (Grace Huynh) は疫学の博士号を持つ医師であり、マイクロソフトに努める前には Bill & Melinda Gates Foundation で結核のモデリングに携わっていたこともあります。グレースは対策チームの一員として、そしてマイクロソフトの Health Futures グループのシニア研究員として、新型ウイルスのモデル比較、試験、そして感染性の分析に力を注いでおり、今年の秋に直撃すると予想されている世界的な第二波にも研究の焦点を当てています。彼女は、マイクロソフトが企業として内包する知識や専門性を活用することで、COVID-19 禍で特別な役割を担えると考えています。
点と点をつなげながら、ビル・ウィークス (Bill Weeks) は一年ほど前にマイクロソフトにやってきました。委員会認定の精神科医で MBA を取得しており、経済学の博士号を持つビルは、これまでのキャリアで医療のサービス、利用、そして提供に関する経済的およびビジネス的な様相を調査してきました。
現在、マイクロソフトの Healthcare NExT チームの研究代表者となったビルは、この事態に対して他にはない視点を持っています。「精神科医としての私は、現在の人々の健康がとても気がかりです。同時に、経済学者としての私は、経済的な沈滞が長期的なマイナス要素として人々、特にこれからの若い世代に対して重くのしかかり、持続的に健康に悪影響をもたらす可能性も心配しています。」