Windows 11 のアクセシビリティ関連新機能

Windows アクセシビリティリーダー
ジェフ・ペティ (Jeff Petty)
カロリーナ・ヘルナンデス (Carolina Hernandez)

※こちらは、米国時間 5 月 10 日に公開された “New accessibility features coming to Windows 11 | Windows Experience Blog” の抄訳を基に掲載しています。

昨年、マイクロソフトは、障碍のある世界中の人々の教育と雇用機会の向上を目指した取り組みとして、障碍による格差を解消するための新たなコミットメントを行い、強化しました。そして、このコミットメントが、これまでで最もインクルーシブなデザインの Windows バージョンである Windows 11 の開発における重要な要素となっています。

昨秋の提供開始時点でも、Windows 11 には、障碍のある人々に向けて設計された多様なアクセシビリティ機能が備えられていました。より落ち着きのある魅力的なサウンド、美しいコントラスト テーマとクローズド キャプション (字幕) のカスタマイズ、支援テクノロジにおけるより迅速で柔軟な体験、これらの機能をより見つけやすく、使いやすくするための新しいアクセシビリティ設定ペイン、などです。そして、マイクロソフトはイノベーションを続けています。

最もアクセシブルな Windows のバージョンである Windows 11

本日は、Windows 11 で提供される 4 つの新しいインクルーシブな体験について、より深く掘り下げてご紹介します。より没入感のある Focus 体験、システム全体のライブ キャプション、強化された Voice Access ツール、ナレーターのより自然な音声です。その一部については、先月開催のイベント Windows Powers the Future of Hybrid Work において紹介しています。では早速見ていきましょう。

フォーカスにより誰もが Windows でより生産的に

フォーカスにより誰もが Windows でより生産的に

ここ数年、私たちの仕事の仕方は変わってきています。効率化を実現した一方で、多くの情報が私たちの注意力を削ぐようになりました。新しいハイブリッド ワークスタイル、オンライン ミーティング、リモート コラボレーションが、常時、気を散らすなど、精神的疲労をもたらす可能性があります。これは、特に ADHD の方にとっては困難なことがあります。この新しい働き方を支援し、ADHD のコミュニティ、そして、すべての人々が、より集中し、より多くのことを行えるようにするために、マイクロソフトは ADHD の方々と共にフォーカスにおける新しい体験を構想しました。また、注意力を削ぐ要因となる通知の数を削減する 応答不可モードをオンにすることで、通知をより簡単にコントロールできます。応答不可は重要な通知やアラームを知らせ、アクション センターがすべての通知を追跡するので、重要な情報を見逃す心配はありません。

そして、健康的なデジタル習慣を身につけ、より多くの仕事をこなすための実証済みの手法を用いて、新たに フォーカス セッションを導入しました。フォーカス セッションを開始すると、Windows は応答不可をオンにし、タスクバー バッジをオフにします。フォーカスはクロック アプリと統合されています。集中力を高めるためのタイマーを起動し、生産性を向上する効果が実証されている休憩をリマインドしてくれます。Spotify とも連携しているので、お気に入りのオーディオで環境を最適化することで、フロー状態に入り、維持できるようになります。

ライブ キャプションにより誰もが音声コンテンツを容易に利用可能に

ライブ キャプションにより誰もが音声コンテンツを容易に利用可能に

聴覚障碍のある人々、非母国語の人々、騒がしい部屋や静かな部屋にいる人々など、音声コンテンツに字幕を付けることで、多くの人が恩恵を受けられます。Windows 11 では、デバイス上でシステム全体のライブ キャプションが利用できるようになり、これまで以上に多くの場面で音声のテキスト化が利用できるようになります。マイクロソフトは、聴覚障碍のある人々そして誰もが、Windows で音声コンテンツを利用できるようにするために、聴覚障碍のある人々と共にライブ キャプションを構想しました。Windows 11 のライブ キャプションは、Microsoft Edge などのアプリケーションやマイクからの音声を含む、あらゆる音声の内容を自動的にテキストに書き起こします。すなわち、生の対話にキャプションを付けることができるのです!

現在、ライブ キャプションは、Windows Insiders 向けに利用可能です。ライブ キャプションは、「設定」→「アクセシビリティ」→「字幕」または「クイックアクション」→「アクセシビリティ」から設定できます。画面の下部に表示される一般的なクローズドキャプションとは異なり、Windows 11 のライブキャプションは、画面の上部 (ほとんどのシステムではカメラの真下) に表示できるため、リモート会議に参加しながら容易にキャプションを追うことができます (お好みで画面最下部やフローティングウィンドウに移動することも可能です)。キャプションは、他のウィンドウと連動し、アプリのコンテンツを邪魔しないように設計されています。また、フォントや文字サイズ、色などを変更することで、好みのデザインにすることができます。

重要な点として、Windows 11 のライブ キャプションは、デバイス内で完結する処理で最先端の音声認識機能を活用しています。つまり、一度セットアップすれば、インターネットに接続しなくても常に利用でき、瞬時に反応し、キャプションはデバイス上で生成され、クラウドにコンテンツが送信されないため、ユーザーのプライバシーが尊重されます。ライブ キャプションは、アメリカ英語に対応しています。

音声アクセスにより、誰でも音声で PC を操作可能に

音声アクセスにより、誰でも音声で PC を操作可能に

様々な障碍、そして、様々な状況により、キーボードやマウスを使うのが困難な場合があります。マイクロソフトは、関節炎や脳性まひなど、キーボードやマウスの使用が困難な人々と共に、新しい音声アクセス体験を構想し、誰もが、音声を使って PC のコマンドやコントロール、そして、あらゆるアプリケーションでのコンテンツのオーサリングをできるようになることを目指しています。たとえば、音声アクセスは、アプリを開いたり切り替えたり、ウェブを閲覧したり、メールを読んだり、オーサリングしたり、といったシナリオをサポートします。

現在、音声アクセスは、Windows Insiders 向けに提供されています。音声アクセスは、「設定」→「アクセシビリティ」→「音声認識」で設定できます。初めて音声アクセスをオンにすると、デバイス上で実行される音声認識処理用の音声モデルをダウンロードするよう促されます。ダウンロードが完了すると、音声アクセスで使用するマイクを選択し、音声で PC を操作できるようになります。

容易に利用できるよう、音声アクセスには、よく使用される処理の音声を使った操作方法を説明する対話型ガイドが用意されています。また、音声アクセスが聞いている時に “what can I say?” と尋ねることで、全コマンドのリストにアクセスできます。さらに、音声アクセスは、聞き取った内容をリアルタイムでフィードバックするので、間違えた時にもどの単語が正しく認識されていないかが分かります。

Windows のナビゲーションやインタラクションに加え、グリッドや番号のオーバーレイ表示を使ってキーボードやマウスなどの標準入力を音声でエミュレートできるので、あらゆるアプリやウェブページのコンテンツにアクセスできます。音声アクセスでテキストの書き取りや編集を行うこともできます。

ライブ キャプションと同様に、音声アクセスもデバイス上で稼働する最先端の音声認識機能を直接利用しています。つまり、オフラインでも利用でき、応答性が高く、データを自分のデバイス内に留めておくことができます。音声アクセスは、アメリカ英語に対応しています。

よく使用される音声コマンドの紹介や対応コマンドの一覧などの追加情報は、こちらの音声アクセス コマンドリストをご覧ください。

視覚障碍のある人々にもコンテンツを楽しんでいただけるナレーターのナチュラルボイス

視覚障碍のある人々にもコンテンツを楽しんでいただけるナレーターのナチュラルボイス

最後に、ナレーターのナチュラル ボイスの提供開始をお知らせします。ナレーターの体験に関するお客様からのご意見でよく聞かれるものに「現在の音声は聴き心地が悪い」というものがあります。これは、特に、記事や長い文章を読むようなケースに当てはまります。このような声に応え、視覚障碍のある方にもウェブ閲覧、読書、メール作成などのシナリオを楽しんでいただけるよう、ナレーターに自然な音声を搭載します。

自然なナレーターの音声は、Windows デバイス上で稼働する最先端の音声合成技術を活用しています。一度セットアップすれば、新しい音声はいつでも (インターネット接続がなくても) 利用でき、即座に反応します。また、クラウドに情報を送ることなくデバイス上で音声合成を行うため、ユーザーのプライバシーを尊重した信頼性の高い音声合成を行うことができます。ナレーターのナチュラルボイスは、アメリカ英語に対応しています。

Windows 11 を試してご意見をお寄せください

Windows 11 は、地球上のすべての人がより多くのことを達成できるよう、さらには、障碍のある人々が学校や職場におけるデジタル デバイドを乗り越えられるよう支援するための旅路を続けています。重要な点は、マイクロソフトが、障碍のある人々と共に、そして、障碍のある人々のために、インクルーシブな Windows 体験を設計していることです。そして、私たち全員がその恩恵を受けることができるのです。マイクロソフトは、最先端のテクノロジを活用し、正確で、自然で、楽しい体験を提供していきますが、まだまだやるべきことがあると認識しています。

これらの体験をすべて盛り込んだ Windows 11 のプレビュー ビルドは、現在、Windows Insiders に向けて提供されています。これらの機能をお試しいただき、是非ご意見をお聞かせください。Windows の Insider ビルド、または、一般利用可能なバージョンのいずれを使用している場合でも、簡単に感想や提案を共有できます。Windows キーと F キーを押すだけで、フィードバック Hub を起動し、情報を共有できます。皆様からのご意見をお待ちしています。

最後になりますが、障碍のあるお客様で技術的サポートが必要な方には、Disability Answer Desk が電話 (800-936-5900) またはチャットで対応いたします。また、聴覚障碍のある米国内のお客様には、ASL オプションも用意しています (+1 503-427-1234)。ご遠慮なくお問い合わせください。

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