コーポレートコミュニケーション本部
日本では、今、デジタル人材の育成が急務となっています。
国内総生産 (GDP) が世界第 3 位で、経済的に発展しているにも関わらず、デジタル競争力ランキングは、他のアジア勢より低い 29 位にとどまっています。政府も、「2030 年には日本で最大 79 万人のデジタル人材が不足する」との試算を出しています。一方で、サイバー攻撃の規模や影響が拡大し、被害にあう企業、組織が年々増える中、対応できるサイバーセキュリティー人材も不足しているなど、日本がデジタルトランスフォーメーション (DX) を推進するにあたり、取り組むべきことはたくさんあります。
世界デジタル競争力ランキング (2022 年)
2022 | Country | 2021 | Ranking Change | |
1 | デンマーク | 4 | – | – |
2 | アメリカ | 1 | -1 | ↓ |
3 | スウェーデン | 3 | 0 | – |
4 | シンガポール | 5 | +1 | ↑ |
5 | スイス | 6 | +1 | ↑ |
6 | オランダ | 7 | +1 | ↑ |
7 | フィンランド | 11 | +4 | ↑ |
8 | 韓国 | 12 | +4 | ↓ |
9 | 香港 | 2 | -7 | – |
10 | カナダ | 13 | +3 | ↑ |
29 | 日本 | 28 | -1 | ↓ |
出所: スイスの国際経営開発研究所 (IMD)
こうした状況を踏まえ、岸田内閣は、2022 年 10 月、個人のリスキリング (学び直し) の支援に 5 年で 1 兆円を投じると表明しました。成長分野への労働移動を促し、賃金を引き上げるため、個人のリスキリングから転職までのキャリア開発を一貫して支援する仕組みを整備します。日本マイクロソフトも、政府の方針に沿って、リスキリング支援を精力的に進めています。
1986 年に日本に拠点を置いてから 36 年間、マイクロソフトは日本市場の発展にコミットしてきました。重要課題の解決を迫られる今こそ、単独行動では実現できないスピードと規模の進化を促すため、官民一体の取り組みが重要だと考えています。「日本の社会を変えていきたい」この願いを実現すべく、政府、自治体、企業、教育機関、NPO と連携し、力を合わせて DX 推進に取り組んでいます。
自治体と連携し DX 推進を支援
デジタル人材の育成には、自治体のデジタル変革が不可欠です。
そこで、日本マイクロソフトは、過去 3 年に渡って 11 の自治体と連携協定を結び、DX 推進を支援しています。
2023 年
- 札幌市 行政サービスの効率化・高度化、スマートシティの取り組みや地域産業のデジタル化を進めるにあたり、「Microsoft 365」を活用。ローコード開発による身近な業務の DX などで市民目線に立った行政サービスを創出・提供。
- 東京都 デジタルツールを用いた業務効率化のため、都庁全職員向けに「Microsoft Teams」の操作研修と「Microsoft 365」の活用研修、区市町村職員向けに業務効率化オンラインプログラムを実施。都民の「生活の質」を高めるためのサービス創出なども支援。
2022 年
- 大阪市 クラウド技術等を活用、応用する高度な IT 人材の育成における知見を活かし、DX を推進していく職員の育成に寄与。
- さいたま市 教育委員会と連携。日本マイクロソフトのクラウドサービスや学校向け教育ソリューションを活用し「ICT を活かした学びの改革」に取り組む。「Microsoft Azure」を利用したデータ活用基盤「スクールダッシュボード」の整備。デジタル活用による業務の整理、標準化、電子化の推進など。
- 千葉県 デジタル人材育成の一環として、全職員向けに DX 推進に関する基礎知識の研修、課題解決型のワークショップを実施。行政のデジタル化、産業やスタートアップ、NPO など地域の DX 推進も支援。
- 堺市 DX 推進の組織風土へと変革させるため、管理職のマネジメントスキルの向上に取り組む。課長補佐級等を対象とした研修の実施。「Microsoft Office 365」を活用した業務の効率化を支援。ICT を活用した教育・働き方改革の推進などにも協力。
- 中野区 デジタルスキルの高い人材育成や行政事務の効率化、および区民サービスの向上を支援。
2021 年
- 福井県 執務環境の改革やテレワークで、働き方改革を柱とした行政の DX を推進。全職員の研修を実施し、DX リーダー育成を支援。クラウドベースの業務システム共同化に向けた研究と実践をするなど、県内 17 市町と連携した県民向け行政サービスの向上も支援。
2020 年
- 愛知県 日本マイクロソフトのクラウドや AI 技術を活用しながら、コロナ禍をきっかけとしたオンライン学習や行政のデジタル変革、それを支えるデジタル人材の育成に取り組む。教職員のデジタル対応力の向上、行政手続きのオンライン化やテレワーク環境の整備、オープンデータの活用などを支援。
- 金沢市 クラウド技術等の IT サービスを活用した新たなビジネスやサービスの創出、行政のデジタル変革、IT 都市化に取り組む。地域の事業者などがクラウドサービスを利用したイノベーションを創出できるよう「Azure」を中心とした技術の導入を支援。IT 人材向けセミナーやワークショップを実施。
- 神戸市 日本マイクロソフトが、働き方改革の知見を市職員に紹介するオンライン研修等を実施。スマートシティ実現に向け、データ連携基盤の検討に参画し、アドバイザリーを提供。政策形成や社会課題解決の新しいソリューション創出に AI を活用するため、市職員や大学生向けに AI スクールを実施。
企業や教育機関とも連携 花王は市民開発の取り組みで業務効率化
自治体だけでなく、様々な業種の企業や教育機関とも連携し、業務の効率化や革新的な製品開発をサポートしています。
例えば、花王は、マイクロソフトのローコード開発ツール「Power Platform」(主に Power Apps) でアプリケーションを開発し、製造現場での効率化を実現しました。花王の生産工場では、長い間、製造記録表や原材料の在庫管理カードなど、あらゆるものに紙ベースの書類が使われていて、必要な書類を探すのは、時間を要する作業でした。こうした状況を改善するため、花王の SCM 部門は 2021 年ごろから「Power Platform」を推進、現場の担当者やエンジニア、いわゆる「市民開発者」が自らアプリを開発し、現場で活用するようになりました。和歌山工場では、59 のアプリを開発し、原材料の在庫管理の業務を完全にデジタル化した結果、年間の作業時間を約 480 時間短縮することに成功しました。

この他にも、トヨタ自動車、川崎重工業、三井住友フィナンシャルグループなどがマイクロソフトのクラウドサービスを活用し、DX を推進しています。
一方、教育機関では、滋慶学園グループが、新型コロナウイルスの影響で臨時休校を余儀なくされた時、学生たちの学びを止めないため、「Office 365」を活用したオンライン授業を導入しました。導入整備開始からわずか 2 週間で「Office 365」の実運用をスタートさせ、その効果はグループ内で高く評価されています。
女性など就労が困難な人達への支援
日本は、DX だけでなく、男女平等においても後れを取っています。
2022 年のジェンダーギャップ指数は、世界 116 位と主要 7 カ国で最低。雇用においても、パート・アルバイト就業者のうち、コロナ禍の影響で勤務シフトが 5 割以上減り、休業手当を受けていない「実質的失業者」が、女性は 103 万人と、男性の 43 万人を大きく上回っています。また、日本のひとり親世帯の貧困率は、OECD 加盟国の中でワースト 1 位、非正規雇用のシングルマザーの貧困はより深刻となっています。
こうした課題を克服するため、マイクロソフトは、Global Skills Initiative (GSI) を展開しています。GSI は、日本マイクロソフトが様々な分野の NPO 等と連携して展開する就労支援プロジェクトです。新型コロナウイルスの影響で就労や雇用に不安を抱える人達のスキルアップと就労を支援しています。

GSI の一環である eラーニング、「ひとり親 TECH エンパワメントプログラム」に参加したのは、娘さんと二人暮らしの山崎晃子さん。パートナーと別居してから、フルタイムで懸命に働いてきましたが、2 年半たった頃、無理がたたり無呼吸で倒れ病院に搬送されました。2 ヵ月の休職を経て退職。無職になり、「どうやって生きていこう」と悩んでいたとき、このプログラムに参加しました。IT スキルやシーダーシップのトレーニングを受け、これからのキャリアに真剣に向き合う中、ライフカラースタイリスト資格を取得。好きだったインテリアの仕事に活かすことを決意し、ひとり親になる前に取り組んでいたカーテンの仕事に 2 年半ぶりに復職することができました。
デジタル人材を育成する支援プログラム
さらに、デジタル人材育成を支援する様々なプログラムも展開しています。
中でも、全国展開を進めているのが、「Microsoft Base」。「Microsoft Azure」やその他のマイクロソフト製品を活用し、DX のソリューションを顧客に提案する体験型の施設です。DX に関する情報やヒントを発信し、セミナーなども開催。代官山をフラッグシップとする物理拠点を全国に展開し、オンラインでも様々な情報を提供しています。
この他、ビジネスアイデアを形にして事業化まで支援していく「IDEACTIVE JAPAN PROJECT」や、Microsoft Cloud を話題に相互に交流する事を目的として設立されたエンタープライズコミュニティ「MICUG (マイカグ)」を複数の企業、団体とともに実施しています。また、LinkedIn と協力して、システム管理者、データアナリスト、ソフトウェア開発者といった、ニーズの高い技術職を見つけるのに役立つコースも無償で提供しています。
日本マイクロソフトは、DX を推進するデジタル人材の育成に取り組み、日本のナショナル・トランスフォーメーションの実現に向けて、全ての人や組織を支援していきます。
弊社が展開する様々な DX 支援の詳細につきましては、以下の PDF ファイルをご覧下さい。
https://aka.ms/ntp-skilling-jp
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