
ダイバーシティ&インクルージョンを意識した企業カルチャーづくりは ビジネスインパクトへの最短ルート
Microsoft Japan Diversity & Inclusion Special Interview #1
ダイバーシティ&インクルージョンは、現代のボーダレスな世界を生きていくうえで必要不可欠なものでありコーナーストーン (礎) 近い存在と語る、執行役員 人事本部長の杉田勝好に話を聞きました。
![]() |
– 日本マイクロソフトの人事としてダイバーシティ&インクルージョンという文化の醸成と浸透をどのように取り組んでいますか? |
![]() |
このテーマにおいてはやはり企業リーダーとマネージャーが鍵だと考えています。彼ら自身が他者との違いを受け入れ、様々な意見に耳を傾ける人材としてチームを引っ張っていくことで組織全体にそういった考え方が当たり前なのだという「企業文化」が育っていきます。ですから、現在すべてのピープルマネージャー向けトレーニングのコンテンツの中に、インクルーシブリーダーシップを意識して必ずダイバーシティ&インクルージョンの考え方や、実践するための方法など盛り込むようにしています。
また、もちろん新規採用の際には、特にシニアリーダー、マネージャーの採用においては、その人がどれくらいダイバーシティ&インクルージョンの考え方を理解しているか、実際のマネジメントで意識されているかを見るようにしています。
![]() |
– 杉田さん自身が、マイクロソフトに入社前と入社後でダイバーシティ&インクルージョンの考え方に何か変化はありましたか? |
![]() |
マイクロソフトに入社前は、私がマイクロソフトでダイバーシティ&インクルージョンで何か貢献できることは正直何もないと感じていたんです。外の立場からマイクロソフトを見ると、この分野においてはとても完成してしまっているように見えていた。だからこそ私がそれ以上にこの分野で貢献できることはもうないのではないかと考えていたんですね。
![]() |
– 実際は違ったと…? |
![]() |
…(苦笑)
違いましたね。入社してすぐにいやいや、意外とまだまだ足りていないぞと強く感じました。
社内における女性比率も世界各国のマイクロソフトと比較すると圧倒的に低いんです。他国はかなり以前から取り組んでいたこともありすでに土壌もできていますし、日々たくさんのダイバーシティ&インクルージョンのカルチャーに基づいたイベントが開催されている。日本では女性社員の積極採用を掲げると、いまだに女性優遇ではないかという声も聞こえてきたりもするのですが、その議論はある一定比率でダイバースな環境が出来上がってから始めて議論する問題だと思っています。そもそも男女の人数比の差が大きい状態ではどんなにダイバーシティの話の場を設けても、お互いが理解し合えることは難しい。人事としては、まずはフェアに話し合えるそういった土俵を創るところがとても重要であると考えているので、当面女性社員の積極採用を止めるつもりはありません。
![]() |
– 日本マイクロソフトへ応募する女性の割合というのは増えているのでしょうか? |
![]() |
はい、明確増えていますね。
昨今の働き方改革の活動などもあり、日本マイクロソフトが働きやすい環境であるという認知はとても高いようで、応募はここ数年ずっと増加傾向です。ただ男性と比較すると、働く時間に制約があるとか、妊娠出産といったライフイベントも存在するので現在は通常の新卒・中途採用に加え、一度キャリアを中断・離職している方々のキャリア再開・職場復帰をサポートするリターンシッププログラムなども展開し人材の新たな給源として展開しています。
あと、ダイバーシティ&インクルージョンの話になるとどうしても男女の話をしてしまいがちですが、日本においてはクロスカルチャーの意識もとても弱いと感じています。
![]() |
– クロスカルチャーとは? |
![]() |
私たちは日本人なので日本人そのものや、日本文化については一定の理解や認識を皆さん持っていますよね。それと同じように他の国の文化においても同様に理解し、受け入れ、そして自分たちの文化との調和するスキルのことを指しています。
![]() |
– マイクロソフト自体がグローバルカンパニーであるのに意外なコメントと感じますが、日々のビジネスを見ていると確かにそうかもと感じられることもありますね。 |
![]() |
そうなんですよね。昨今のニュースでも賑わせているものの多くにも当てはまりますが、日本人の文化的傾向として、「敢えて伝えない」であったり、「忖度」していたり、「言わなくてもわかってもらえる」と感じている傾向が少なからずあります。これは、諸外国の文化とは全く異なっているものも多く、海外の社員が戸惑う要因の一つです。先般日本で勤務する外国籍のマネージャーと HR のメンバーとでランチセッションを行い、このマネージャーが感じている日本人社員や、日本の文化についての正直な意見を聞くことができたんですが、これは本当に驚きでした。握手の仕方やアイコンタクトなど、私たちの多くが普段意識していない部分でもすでに諸外国の作法とは異なっています。そのギャップを埋めるという意味でもクロスカルチャーのセッションを社内でも積極的に取り入れなければと考えているところです。
![]() |
– 杉田さんにとっての真のダイバーシティ&インクルージョンとは? |
![]() |
今後、日本においても、ビジネスの世界での人材を考えるうえで、ダイバーシティ&インクルージョンのマインドを持たない人やそこへの理解が弱い人は、キャリアを積んでいくうえで最大のリスクになると考えています。 どんなにパフォーマンスをあげることが出来て優秀な人材であっても、企業や組織の中で、現在は様々な人が織りなすチームとして仕事をしていくことが求められています。日々のコミュニケーションや業務の中でこのダイバーシティ&インクルージョンの考え方は既に切っても切れないものであり、人種、性別、文化、考え方、それぞれに違いがあることを理解し、異なる意見に耳を傾けながら最善を尽くしていくことがビジネスインパクトへの近道だと考えています。ですから、パフォーマンスカルチャーを徹底しようとしていくと、究極的にはダイバーシティ&インクルージョンな文化におのずとなっていくはずだと、私は考えています。
—
本ページのすべての内容は、作成日時点でのものであり、予告なく変更される場合があります。正式な社内承認や各社との契約締結が必要な場合は、それまでは確定されるものではありません。また、様々な事由・背景により、一部または全部が変更、キャンセル、実現困難となる場合があります。予めご了承下さい。