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Accessible cockpit for Flight Simulator takes wing

Wheels Up 翼を広げて: フライト シミュレーター用のアクセシブルなコックピット

スザンヌ チョーニー (Suzanne Choney)

※ 本ブログは、米国時間 7 月 26 日に公開された“Wheels up: Accessible cockpit for Flight Simulator takes wing”の抄訳を基に掲載しています。

法律を学んでいるヤニブ ワンダ (Yaniv Wanda) さんは、イスラエルのヘルズリヤのライフスキルセンター House of Wheels でガイド付き瞑想を教えています。彼は、House of Wheels を「第二の家」と呼び、ほぼ毎日通っている常連です。

House of Wheels は、脳性麻痺や筋ジストロフィー、その他の身体的な障碍のために、車椅子を利用している人々を歓迎している場所です。参加者はここでさまざまなスキルを習得しますが、最も重要なのは、「自分の人生を生きるために必要な、最大限の自信と社会的交流の手段」を学ぶことです、と House of Wheels の CEO ヨナタン カーニ (Yonatan Karni) 氏は言います。

(写真左より)House of Wheels ‘Wheels and Wings’ デイセンター マネージャー ヒラ ヤナイ (Hila Yanay)、ヤニブ ワンダ、ネタネル ギブリ (Netanel Gvili)、House of Wheels CEO ヨナタン カーニ(Yonatan Karni)、 写真提供: メナシュ コーエン (Menash Cohen)
(写真左より) House of Wheels ‘Wheels and Wings’ デイセンター マネージャー ヒラ ヤナイ (Hila Yanay)、ヤニブ ワンダ、ネタネル ギブリ (Netanel Gvili)、House of Wheels CEO ヨナタン カーニ (Yonatan Karni)、写真提供: メナシュ コーエン (Menash Cohen)

最近、ワンダさんのような House of Wheels の参加者が、本物のパイロットや飛行愛好家、バーチャル旅行者が世界中で楽しんでいる Microsoft Flight Simulator をプレイできるよう、身体の状態にあわせて調整が可能な「アダプティブ コックピット」が提供されました。

イスラエルの Microsoft Garage の 3 人のチーム メンバーと Microsoft Israel R&D Center の 5 人のエンジニアがこのコックピットを開発しました。各クリエイターの目標は、リアルタイムの気象条件のもと、世界のあらゆる場所で飛行機の操縦を疑似体験できる Microsoft Flight Simulator を、より多くの人に楽しんでもらうことでした。

イスラエルの Microsoft Garage のオフィスに置かれたアダプティブ コックピットの試作品。
イスラエルの Microsoft Garage のオフィスに置かれたアダプティブ コックピットの試作品。

「コックピットを提供してもらうという話を聞いた瞬間、感激しました。しかし、同時に、参加者が楽しめないのではないか、最悪の場合、飛行に失敗する経験をしてしまうのではないかという不安もありました」とカーニ氏は述べています。

Israel Garage のスタッフは、そのようなことが起きないよう、House of Wheels の作業療法士や理学療法士にコックピットのデモンストレーションを行い、その仕組みを教えました。(コックピットの開発に携わった Microsoft Israel R&D Center のエンジニア 5 人のうち 2 人は商用パイロットの免許を持っています。) また、Microsoft Garage では、商用パイロットのボランティアを募り、参加者の飛行中の支援をしてもらっています。

「Microsoft Garage のチームも、参加者の初飛行に根気よく付き合ってくれました。ヤニブさんはそれを使って、新しいことを学び、成功を収めるという素晴らしい経験をしました」とカーニ氏は述べています。

コックピットは、Israel Garage で開催された Microsoft Global Hackathon で制作されたものです。Israel Garage は、世界に 12 カ所ある Microsoft Garage の 1 つであり、人々の生活に変化をもたらすための実験的プロジェクトを生み出しています。実用化されたハックには、Xbox Adaptive ControllerWindows 10 の視線制御機能Seeing AI などがあります。

アダプティブ コックピットには、ポータブルなアルミニウム製の構造体、そして、パイロットに 180 度のパノラマ視野を提供する 3 つのモニターが含まれています。コックピットに座ったまま、海や都市、樹木の絨毯が敷き詰められた森、黄金色の砂漠などを鳥たちと一緒に飛んで行くことができます。

電動車椅子や手動の車椅子を使用している人が楽に操作できるスペースがあり、副操縦士が座れるスペースも確保されています。ケーブルは邪魔にならないように隠してあります。コックピットでは、スタッフが行うサインイン操作を除いて、キーボードを使う必要はありません。プレイヤーは、手で操作するスロットルと操縦桿を使って飛行機を操縦します。手の動きが遅い人には操縦が難しいこともありますが、操縦桿の感度を変更して、より簡単にコントロールできるようにしました。次のステップは、操縦桿の代替品の開発です。

「好きなところに飛んで行けるというのは、一生に一度の経験でした。」

チームは、3 か月ごとにコックピットを新しい病院やリハビリ施設に移動させ、使用者のために役立てると共に、改善のためのフィードバックも得たいと考えています。

House of Wheels の前にコックピットの最初の家となったのは、エルサレムの ALYN Hospital でした。同病院は、脳性麻痺、神経筋疾患、脊髄損傷、脳損傷、火傷など、先天性および後天性の身体障碍のある乳幼児、児童、青年のリハビリを専門とする病院であり、この種の施設としては、イスラエルで唯一の施設です。

今年の初め、ALYN の患者である 13 歳のエタイ リメル (Etai Rimel) さんがコックピットを初体験しました。彼は、幼少期はビデオ ゲームやスポーツを楽しみ、テレビでバスケットボールや野球、サッカーを観戦していました。

12 歳の誕生日の時の交通事故により、母親と妹が亡くなりましたが、彼は父親と共に助かりました。頭部を負傷し、左足を切断しなければなりませんでした。その後、ALYN で治療を続けています。

彼は家を恋しく思っていますが、いつ戻れるか、また、戻れるかどうかすらも分かりません。しかし、プロのパイロットの助けを借りて、自分の家の上空を飛行できました。エタイさんは大喜びしました。

「好きなところに飛んで行けるというのは、一生に一度の経験でした」と彼は述べています。

作業療法士であり、障碍児のための革新的な技術ソリューションを提供する病院 PELE センターのディレクターでもあるヒラ ボラル (Hilla Boral) 氏は次のように述べています。「鳥の目線で世界を見ることをエタイさんは楽しみました。彼は、長い間、車椅子から世界を見てきましたが、すべてが“低く”なったのです。アダプティブ コックピットにより、突然、高さや浮遊感を感じることができるようになったのです。」

「マシンをコントロールするのは本当に楽しかったです。丸一時間、僕は、まるで自由な鳥のように、日常生活とは全く異なる世界にいることができました」とエタイさんは述べています。

エタイさんのリハビリは長期間を要し、新しいことを学ぶためには多くの練習が必要です。

「私たちは、すべての子どもたちが、自身の状況にかかわらず、自立することを学び、仲間たちと普通に生活できるようなることを望んでいます。彼らには未来があります。たとえば、車椅子に乗っていても 3 歳の時に自分で食事をしたり、自分で服を着たりすることを学べば、大人になってもそれができるでしょう。もし、誰かに依存して生きていくと、一生そうなってしまいます」とボラル氏は述べています。

アダプティブ コックピットでフライト コントローラーを操作するネタネル ギブリさんの様子を楽しむ House of Wheels の参加者たち 写真提供: メナシュ コーエン
アダプティブ コックピットでフライト コントローラーを操作するネタネル ギブリさんの様子を楽しむ House of Wheels の参加者たち 写真提供: メナシュ コーエン

ALYN のイノベーション センターでは、テクノロジーに精通したボランティアが、子どもたちがやりたいことを実現するための「テーラーメイド ソリューション」を子どもたちと一緒に開発しています。そのため、アダプティブ コックピットは非常に魅力的な追加ソリューションとなりましたとボラル氏は述べます。

ALYN の本部長モーリ ビーライ (Maurit Beeri) 博士は「マイクロソフトのコックピットは、手と目の調整作業が必要なので、作業療法、言語療法、集中力や認知力の向上などの点で特に有効です。しかし、何よりも楽しいのです」と述べています。

ALYN と Israel Garage は、電動車椅子に乗った子どもたちにゲーム感覚で操作方法を教えるなど、他のアクセシブルな技術プロジェクトでも協力しています。

エルサレムにある ALYN Hospital でアダプティブ コックピットの使用方法を学ぶ患者を指導している作業療法士ヒラ ボラル氏(写真左) 写真提供: Filma Production
エルサレムにある ALYN Hospital でアダプティブ コックピットの使用方法を学ぶ患者を指導している作業療法士ヒラ ボラル氏 (写真左) 写真提供: Filma Production

House of Wheels では、ヤニブ ワンダさん (28 歳) とネタネル ギブリさん (26 歳) らが、アダプティブ コックピットを最初に試しました。先天性の脳性麻痺がある 2 人は友人であり、何年も前から House of Wheels に通っています。

「家で家族と一緒にいない時は、ここにいる方がいいですね、ここには第二の家族がいますから」とワンダさんは言います。彼は、House of Wheels Day Center が支援するプログラムの一環として、Bar Ilan 大学の授業にも参加しています。「私には誰にも奪われない自分の居場所があります。ここはとても快適です。」

「私は、ヤニブさんがアダプティブ コックピットのある部屋に入って行き、出て来る様子を見ました。彼はまるで剣闘士のようでした。彼は自分のスキルを刺激するために来たのですが、とても自分に自信を持っています」とカーニ氏は言います。

ギブリさんは、あたかも自分が飛行機を操縦しているように感じさせてくれるテクノロジーに興奮していました。彼は、昔からゲーム、特に、カー レース ゲームが大好きです。また、音楽の録音、アレンジ、編集を行うデジタルオーディオワークステーション Cubase で友人の音楽を制作するなど、音楽好きでもあります。

Microsoft Flight Simulator とアダプティブ コックピットの体験から得た感情をギブリさんは「自立心」と表現しています。「どこを飛ぶか、どうやって飛ぶかは自分で決められます。飛行機の操縦をリアルにシミュレートしてくれます。コンピューター ゲームは私にとって目新しいものではありませんが、アダプティブ コックピットは本当に素晴らしいです。」

関連情報

‐ Why I Fly – Microsoft Flight Simulator – 前田伸二:空を飛びたいという夢は誰にも止められない。交通事故で右目の視力を失いながらも、事業用操縦士になる夢をアメリカで実現した前田伸二さんのストーリー

https://www.youtube.com/watch?v=QRbvIIRN56M

‐ Microsoft Flight Simulator

https://www.xbox.com/ja-JP/games/microsoft-flight-simulator

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