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「そんなに自分を過小評価しないでほしい、できるはずなのだから」

障碍のある方々が市場価値のある仕事のスキルを身につけ、デジタル経済下で成功をつかむ

※本投稿は、米国時間 4 月 1 日に公開された “Don’t underestimate yourself sometimes. You can do it.” の抄訳を基に掲載しています。

マーフィー・ウン (Murphy Ng) さんにとって、2014 年は厳しい年でした。その年、ウンさんはニュージーランドの大学を中退し、将来への不安を抱えたまま香港に戻ったのです。

ウンさんの両親は定年を間近に控えていたため、ウンさんは自分で稼いで自立しなくてはなりませんでした。再出発して仕事を見つけたいと思いましたが、市場価値のあるスキルもなければキャリア戦略もなく、学位もありません。

しばらくの間、ウンさんは苦難な時期を過ごしました。運が向いてきたのは、マイクロソフトがサポートするトレーニングイニシアチブの下で新たなデジタルスキルを学び始めたときです。このトレーニングイニシアチブにより、香港で何百人もの人、そして世界中で何千人もの人の人生が変わりました。

ウンさんの話は、よくある青春時代の物語のように聞こえるかもしれません。10 代や 20 代前半には、誰もが不安を抱え、落ち着かない状態を経験するからです。

しかし、ウンさんの事態はそれより少し複雑でした。ウンさんは、自閉スペクトラム症 (ASD) のひとつであるアスペルガー症候群を抱えているためです。ASD の人は、社会的交流や非言語コミュニケーションが困難なことがあるのです。

ウンさんは、仕事を見つける段階では成功を収めましたが、その仕事は挫折に終わりました。「人や社会とのコミュニケーションに問題があり、感情も非常に不安定なのです」と、ウンさんは説明します。以前の職場では、「『君はここに向いていない』と言われ、大きく落ち込みました。『ああ、何がだめだったんだろう? なぜ? どうして僕が?』と思いました」

このように挫折はしましたが、ウンさんは自分にはさまざまな可能性があると思っていました。何か新しいことにチャレンジし、職が得られるようなスキルを身に着け、自信をつけたいと考えたのです。

ウンさんにチャンスが巡ってきたのは、SAHK の自閉症サポートセンターが運営するスキルプログラムに申し込んだ時です。SAHK は、年齢や能力に関わらず、あらゆる人にさまざまなサービスやコースを提供する非営利団体です。

同センターはマイクロソフトの #UpskillHK | GIVE イニシアチブと連携し、雇用主となる企業が求めるようなデジタルスキルのコースを提供しています。

ウンさんは、Excel や PowerPoint、Word のほか、Microsoft 365 など生産性向上に繋がるスキルを職場で活用する方法を学びました。また、高機能 ASD を持つ成人を対象とした #UpskillHK | GIVE プログラムにも入会し、そこで学生コミュニティの一員として受け入れられているとすぐに感じることができました。

ウンさんは、オンライン学習で急速な進歩を遂げました。その後、あっという間にクラスの学習で他の生徒を支援できるようにもなりました。

「他の生徒が何を必要としているのか、そして先生が何を必要としているのか、わかっていましたから」とウンさんは話します。「(先生は) 10 人の生徒を受け持っていて、すべてに対応できなかったんです。生徒の中には、ちゃんと理解できないと感情的になったり緊張したりする人もいます。僕はそういった生徒の緊張をほぐさなくてはならなかったので、『落ち着いて、ちょっとした問題に過ぎないから』と言っていました」

この経験は、高校時代にコンピュータサイエンスが苦手だった記憶のあるウンさんにとって大きな転機となりました。

「父は、僕にマイクロソフトのソフトウェアの使い方を教える時、いつも強い怒りを感じていたようです」と、ウンさんは当時を振り返ります。「でも (SAHKで) 授業を受けてからは、Microsoft 365 の使い方に新たに興味を持ち、自分の学習理解度がとても高いことに気づきました」

「だから、そんなに自分を過小評価しないでほしいのです。できるはずなのですから」

新たなデジタルスキルを身につけ、社会的にも自信がついたウンさんは、より満足のできる仕事をすぐに見つけることができました。現在ウンさんは、貿易会社でデータ検索とデータ入力の仕事に就いており、社内でサポートを得るとともに励ましをもらっているといいます。

「アスペルガー症候群の人は、仕事の処理方法しかわからないことがあります。ルールがわからず、マネージャーが期待するような結果や頼んだ通りの結果にはならないこともあるのです」

「職場は非常に複雑です。これは非常に大きな挑戦で、落ち着かないこともあります」とウンさんは語ります。

「でもいつも自分に言い聞かせています。方法がわからなければ、実際に助けを求め、対処しなくてはならないと。助けを求めることが自分の責任だと思っています。そうしないと、職場で誤解が生じるためです。あまり寛大ではない人もいますが、この会社ではみんなとても親切にしてくれます」

#UPskillHK | GIVE は、グローバルなトレーニングプログラムである Skills for Employability (雇用可能性を高めるスキル) の一貫です。マイクロソフトは同プログラムにおいて、SAHK をはじめとする非営利団体と協力し、あらゆる人がデジタル経済で成功するにあたって必要となるスキルや知識、機会が得られるよう取り組んでいます。

これまでに 42 ヶ国で 100 以上の非営利団体とパートナーシップを組み、数百万人の人にデジタルスキルを提供してきました。参加者の 50% 以上は女性で、80% 以上は恵まれない地域の人たちです。この取り組みでは、数千人の教育者やトレーナーもコンピュータサイエンスやその他デジタルスキルの教え方を学んでいます。

#UpskillHK | GIVE のパートナーシップでは、トレーナーが最新の技術スキルを入手できることから、コース参加者が学習し発展するにあたってモチベーションを高め、刺激を受けることができます。

香港では、10 の非営利団体が 2013 年より #UpskillHK | GIVE コースを恵まれない地域で提供しています。これまでに約 2700 人の参加者がデジタルスキルのトレーニングを受け、キャリアプランニングを行っています。

また、マイクロソフトはデータ分析や高度な Excel のスキル、Power BI といったコースのスポンサーとなり、ASD を持つ人がデータ分析の分野で職に就けることを目指しています。

マイクロソフト香港で企業活動&慈善事業担当ディレクターを務めるアダ・ウン (Ada Ng) は (マーフィー ウンさんとの血縁関係はありません)、今年はこのプログラムがより幅広い地域で展開されるようになると述べています。

「パンデミックによって雇用状況が悪化しています。そのため、恵まれない人たちだけでなく、香港の失業者 25 万人も支援し、新たなスキルを身につけてもらいたいと思います」

SAHK の自閉症サポートセンターで代表を務めるティム ウォン (Tim Wong) 氏は、生徒がアダ ウンをはじめとするマイクロソフト担当者と交流することにより、ABC すなわち AI (A) やビッグデータ (B)、クラウドコンピューティング (C) といった最新の職場環境の発展について学ぶことができていると言います。

これにより、「生徒は仕事の世界がこうした技術によって変化している様子に刺激を受け、なぜこのような技術を学ぶべきなのかがわかるのです」とウォン氏は語ります。

今後 SAHK では、#UpskillHK | GIVE プログラムの障碍の範囲を拡大し、注意欠陥多動性障碍 (ADHD) やディスレクシア (読字障碍) といった症状を持つ人もサポートする予定です。「これで、このサービスはより多くの人をプログラムの対象とするための大きな一歩を踏み出すことになります」とウォン氏は述べています。

一方で、ウンさんも大きな計画を立てています。両親と共に香港を離れ、イギリスに移住する予定だといいます。

ウンさんは将来について楽観視しており、先のことが明確に見えています。デジタルスキルを使って就職活動し、新しい土地で友達を見つけたいと考えているのです。

「長い道のりでしたが、イギリスは僕にとって新たなチャンスです。これは心の中にある素直な気持ちなのですが、香港を去ることに寂しさは感じていません。幸せだと感じます」

国連が定めた世界自閉症啓発デーは毎年 4 2 です。

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