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As AI breakthroughs

AI のブレークスルーによるビジネスへの貢献が拡大

ジェニファー ラングストン (Jennifer Langston)

Arccos Golf が最初に提供したゴルファー向けスコア管理システムでは、センサーからの距離情報とスマートフォンのアプリを活用して、プレイヤーにショットごとの詳細なフィードバックを提供していました。

さまざまな状況でどの程度遠くに、どの程度正確にボールを飛ばせるか情報が可視化できることで、プレイヤーは自分の弱点を把握し、上達することができます。さらに多くのことも可能になります。

Arccos Golf のプロダクト&ソフトウェア担当シニアバイスプレジデントのジャック ブラウン (Jack Brown) 氏は次のように述べています。「あらゆるプレイヤーにバーチャルキャディを提供するというアイデアが生まれました。AI を活用することで、人間のキャディのように、バーチャルキャディはプレイヤー、コース、天気のことを知っており、最適なクラブを勧めることができます。」

Arccos は、プレイヤーのショットの履歴、他ユーザーの経験と行動パターン、風力や風向などの天気の状況、コースの起伏やホールのレイアウトなど、ゲームを有利にするための膨大な情報にアクセスできます。

この時点で、創業 2 年目のスタートアップ企業である同社は 2 つの疑問に直面しました。すなわち、AI をどこから適用していくのか、そして、ビジネス上の優位性を最大化するためにはどのように AI を活用すべきかという疑問です。これらの疑問に直面する企業の数は増しています。

業界アナリストは、今後数年間に AI の実験、採用、活用が爆発的に増加すると予測しています。Gartner は、2020 年までに CIO の 85 パーセントが、購買、構築、アウトソースの組み合わせにより AI プログラムの試行を行い1 、AI がもたらすビジネス価値が 2018 年の 1.2 兆ドルから 2022 年の 3.9 兆ドルまで、3 倍以上に拡大すると予測しています2

しかし、多くの企業は依然として AI の採用に対する社内の抵抗に直面しています。Gartner による直近の CIO への調査データによれば、CIO の 4 パーセントが既に AI を展開しており、21 パーセントが試行中または短期的に予定しています1。この調査では、企業の 70 パーセントが AI テクノロジ、戦略、市場の理解に求められるスキルを欠いていることも明らかになっています3

Ovum のビッグデータリサーチ担当主任アナリストのトニー ベアー (Tony Baer) 氏は次のように述べています。「多くの企業がどこから始めるべきか、どのようなユースケースを選択すべきかを把握できていません。これは、あたかも新しいおもちゃで一杯の店に迷い込んだかのようです。どれを選んでよいかわからず、扱うのに難しそうな物もあります。これは困惑する体験です。」

マイクロソフトにはこの問題を解決できる製品があります。カスタムソリューションを構築可能な Azure Machine Learning、数行のコードだけで AI 機能を提供できる Azure Cognitive Services など、さまざまな AI 製品とサービスが、あらゆる規模の企業が容易に AI ソリューションを開発できるよう支援します。

また、マイクロソフトには、企業の優位性に結び付く AI ソリューション構築上の課題解決を支援できる専門知識もあります。

マイクロソフトのエンタープライズCTO ノーム ジュダ (Norm Judah) は「マイクロソフトは、お客様の『AI 成熟度』、すなわち、組織の AI の採用・実装・活用の準備状況の明確な評価から始めます」と述べています。そして、顧客の準備状況に基づき、その成熟度に基づき、適切に構築し、運用できるソリューションを提供します。

Norm Judah
Norm Judah, chief technical officer for Enterprise at Microsoft. Photography by Scott Eklund/Red Box Pictures.

評価における 4 つの要素のうちの 1 つだけが技術的要素、すなわち、雇用しているデータサイエンティストの数というものです。数 10 年間にわたり、企業の新規テクノロジ採用を支援してきたマイクロソフトは他のビジネス的要素、すなわち、戦略、組織的文化、意思決定方法も同様に重要であることを理解しています。

「投げかけるべき質問として『自社の意思決定は直感に基づいているか、データに基づいているか』というものがあります。より多くのデータを提供しても、顧客とのやり取りの向上のために活用されず無視されるだけであれば、意味はありません」とジュダは述べています。

「企業の AI 成熟度を理解することで、目標が高すぎて失敗するケースを避け、真のビジネス価値を提供できる最適なスタート地点を発見し、そこから拡張していくことができます。」

Arccos は、初期からこの結論に至っていました。ゴルフ業界のスタートアップ企業である同社には AI を採用する上での優位性がありました。すなわち、大量のデータを使用しており、情報は既にクラウド上に存在しており、経営陣は強力なビジネスケースを構想していました。

「しかし、重要な点として、経営陣と技術チームが、すべての質問に答え、あらゆるデータを活用するという衝動に抵抗してきたということがあります」とブラウン氏は述べています。

Arccos Caddie の最初のバージョンでは、プレイヤーのショットの履歴とコースのレイアウトを使用し、ホールをどのようにプレイすべきかを推奨してくれました。バージョン2 では高度や風速などのリアルタイムの環境情報を取り込みました。今年にリリースされた バージョン 3では、ショットごとの再調整が可能です。プレイヤーがミスし、ラフに打ち込んでしまった場合には、AI キャディが新たな状況に基づいた推奨を行います。

「おそらく最大の障壁は、当社が大量のデータを所有し、いつでも利用できるためがゆえに、システムをシンプルに留めることでした。最初は『前の日にどれくらい雨が降ったかにより、ボールがグリーン上でどれくらい転がるかを知りたい』などと思うかもしれませんが、すべてを一度にやらないことが重要です。まずはうまく機能して真の価値を提供するところから始め、その後に機能を追加していくべきです」とブラウン氏は述べています。

AI プラットフォームを構築するためのテクノロジ選択において、Arccos は最も重要な基準を定義していました。それはスピードです。同社は、代替案と比較して最も高速に推奨を行うことができた Azure Machine LearningAzure Kubernetes ServiceAzure Cosmos DB を採用しました。

「ユーザーがコース上で AI を使用している時にはこれはきわめて重要です。グループの他のプレイヤーや後続プレイヤーが待っている時にバーチャルキャディが応答するのを待ち続けるのは好ましくありません」とブラウン氏は述べています。

David Carmona
David Carmona, general manager for AI marketing for Microsoft. Photography by Scott Eklund/Red Box Pictures.

「データのあるところに AI を」

同じ業界内、さらには、1 つの企業内であっても、今日の AI の活用は一貫していません。たとえば、多くの銀行が不正検知や口座の保護のために機械学習ツールを採用していますが、顧客とのやり取りの分析や改善に活用し、体験を向上して、ブランドロイヤルティに結び付けている銀行の数は遙かに少ない、とジュダは述べています。

最も頻繁に挙げられることが多い障壁のひとつは、企業内のデータが適切に管理されておらず縦割り状態になっていることです。多くの人が日々の作業から時間や労力を奪われることを好みません。「誰もが AI ツールが信頼できるという保証を求めています」とマイクロソフトの AI マーケティング担当ゼネラルマネージャーのデビッド カルモナ (David Carmona) は述べています。

「データが縦割り状態になっており、構造化できていない状況による困難を抱える企業の声を頻繁に聞きます。それらのデータを AI で活用するためには、まず整理しなければなりません。また、AI はデータのある場所に行くべきであり、その逆ではないと考えています。」

この問題を解決するために、マイクロソフトは、初めて Cognitive Services をコンテナ上で稼働可能にしました。これは、クラウドにデータを送ることなく AI ツールを活用できることを意味します。構築済の AI サービスを、データが存在する場所、たとえば、インテリジェントエッジ、リモート環境、企業内のネットワークなどにおいて分析に活用できます。

たとえば、同じ病状の患者に対してさまざまな処方がどのような効果を奏したかを把握したい、または、患者の予測される入院期間によって要員数を調整したいという病院の例を考えてみましょう。

これらの洞察を得るために必要な情報は、電子カルテ、診断動画、処方箋、家族歴、電子メール、看護士との対話記録など、デジタルとアナログの両方で数 10 もの形式で保管されています。

Microsoft Azure Cognitive Services は、イメージ内の単語を認識し、重要なフレーズを抽出し、内容が肯定的な否定的かであるかを判断するためなどに、AI を活用し、非構造化データから有用な情報を発見します。データサイエンスの専門家ではない開発者も数行のコードだけで、機械学習を活用し、AI が得意とする共通の問題を解決できます。

しかし、今までは、病院はこれらのツールの活用のためにすべての書類をクラウドにアップロードしなければなりませんでした。これは、インターネットの帯域幅が限られていたり、ほぼリアルタイムの応答を要していたり、データをオンサイトに留めておきたいユーザーにとっては不都合でした。

マイクロソフトのコンテナ化されたCognitive Servicesは、イメージ内から単語を検出し、重要なフレーズを抜き出し、文章の結論を分析し、イメージ内の顔を検出するための API を提供します。これらの最初にコンテナ化されたサービスはプレビュー版が利用可能であり、今後さらに多くの機能が追加されます。

マイクロソフトの応用 AI プログラムマネジメント担当ディレクターのランス オルソン (Lance Olson) は「荷物をコンテナに格納することで船、列車、トラックによって世界中に共通基盤で配送できるのと同じことを、ソフトウェアのコンテナは提供します。柔軟性が大幅に向上します。」

また、マイクロソフトは、企業のデータの理解を支援する製品も提供しています。Microsoft Dynamics 365 AI の新ツールにより、企業はセールス、マーケティング、顧客サービスを向上するためのソリューションを直ちに得られます。これらのツールは数日または数週間で稼働可能であり、最も有望な見込み客や提案すべき商品を発見してくれます。

「企業が AI をあらゆるビジネスプロセス、そして、企業内のあらゆる人に適用できればきわめて強力な結果が得られます」とカルモナは述べています。

Andrew Green
Andrew Green, global director of innovation at Anheuser-Busch InBev, demonstrates SmartBarley at a Conversations in AI event in San Francisco—a program that uses data, technology and insights derived through the use of Microsoft AI to help 8,000 farmers around the world improve their yields. Photo by John Brecher for Microsoft.

適切な AI 活用機会の識別

企業の AI 戦略立案におけるCEO の最も重要な責任の 1 つに、その開発と管理の規範を遵守することがあると、ジュダは述べます。責任ある AI の活用により従業員を先導し、顧客の信頼を得るためには、企業は信頼、公平性、透明性、プライバシー、安全性、多様性などの課題に対する組織としての立場を明確化しなければなりません。

「マイクロソフトが他社に提供する助言はまさにマイクロソフト自身が経験してきたものです。すなわち、あらゆる企業が自社独自の AI と倫理に関する宣言を作成すべきというものです」とジュダは述べています。

AI の適切な活用機会とテストすべきシナリオの計画立案に、企業内のテクノロジ側とビジネス側の両方が参画するようにすることも経営陣の重要課題です。テストすべきシナリオとしては、対話エージェントによる顧客サービスの強化、効率性の改善、製造欠陥の削減、または、その他の企業独自の応用が考えられます。

「今日、多くの実験が行われていますが、実際に本番稼働するものは多くありません。まだ、ビジネス側が求める高度な機能が実現されておらず、ビジネス側の理解も不足しているからです」とジュダは述べています。

ここでも、データから始めることが重要です。たとえば、グローバルなビール企業である Anheuser-Busch InBev (ABI) は、自社の縦割り化したデータ基盤を改修し、Azure クラウド上でグローバルなアナリティクスプラットフォームを構築するために、大規模なデジタルトランスフォーメーションの取り組みに着手しました。これにより、AI の活用も促進され、同社は、セールス、環境持続可能性、人事、サプライチェーン管理など多様な領域で成長とイノベーションを推進しています。

たとえば、ABI は、データと AI を活用して収穫、天候、市場のデータを分析評価する Smart Barley プログラムにより、世界中の大麦農家が生産性と環境パフォーマンスを向上できるよう支援しています。また、成功した販売プロモーションを発見し、他の店舗が利用できる洞察を生成しています。

ABI のイノベーション担当グローバルバイスプレジデントのパトリシオ プリニ (Patricio Prini) 氏は、「AI は問題を解決するための支援ツールであり、以前は不可能であったギャップを解消してくれるものであることを認識すべきです。『AI があるから何か解決すべき課題を見つけよう』ではいけません。その逆でなければならないのです」と述べています。

初期の単純な AI の展開は、機械学習を使って倉庫や配送路の物流最適化を行うなど、社内利用にフォーカスしたものだったとプリニ氏は述べます。現在では、ABI は、AI ツールを、対話エージェントを使用して顧客のニーズに対応し、収穫から出荷までの業務全域における成長を推進したりなど、より高度で社外向けの用途にも採用しています。

プリニ氏は、「実のところ、AI は私たちにとって最初の財務的効果をもたらしたテクノロジでした。最初は効率改善の余地発見に貢献してくれましたが、今では収益源となっています。私たちは常にビジネスケースから始めるようにしています。こうすることで、AI は多大な変革に貢献するでしょう」と述べています。

ジェニファー ラングストンはマイクロソフトのリサーチとイノベーションについて執筆しています。是非 Twitter でフォローしてください。

1 Gartner リサーチ「Predicts 2018: Artificial Intelligence」(2017年11月13日付)
2 Gartner プレスリリース「Gartner Says Global Artificial Intelligence Business Value to Reach $1.2 Trillion in 2018」(2018 年 4 月 25 日付) 表1 https://www.gartner.com/newsroom/id/3872933
3 Gartner イベントにおけるプレゼンテーション「Key Trends in AI Applications」(Bern Elliot) Symposium/ITXpo (2018年10月14-18日)フロリダ州オーランド

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