コンテンツへ移動
スキップしてメイン コンテンツへ
News Center

「海を耕せ」:世界の養殖業をリードする近畿大学が次にチャレンジするのは、AI と IoT が支える第一次産業の働き方改革

先進的な取り組みで知られる近畿大学水産研究所が今取り組んでいるのは、マイクロソフトの画像解析を用いた「自動選別システム」の開発。Microsoft Azure Machine Learning Studio による画像解析と機械学習、さらに IoT Hub を組み合わせて、第一次産業の働き方改革にチャレンジしています。

絶滅の危機に瀕しているクロマグロの世界初完全養殖に成功するなど、養殖業の技術革新を常にリードしてきた近畿大学水産研究所。中でも和歌山県の白浜事業場(日本)では全国の養殖業者が各地で養殖が行えるよう、稚魚の養殖事業を行っています。全体の7割を占めるマダイにおいては日本の年間生産量の 24% にのぼる約 1,200 万尾の稚魚を供給、これらの魚の生産技術が他の品種の完全養殖の実現に今日活かされています。

「スタッフは長い人では、30 年の経験を持つベテランもいます。また選別作業は長い時間にわたり、出荷最盛期には 1 日 8 時間にも及びます。これを何とか機械化できないかというのが長年の課題でした」
と学校法人 近畿大学 水産養殖種苗センター 種苗事業部長 白浜事業場長補佐の谷口 直樹 氏は言います。

養殖マダイの稚魚の生産では、年明けと秋の年 2 回、稚魚が約 8 ~ 10cm 程度に成長した時点で全国の養殖事業者に出荷します。出荷前の選別作業では、生育不良などの個体を取り除き、十分に出荷基準を満たす魚だけを選り分けますが、まさにこれが魚の品質の要となります。

この選別作業で更に重要な役目を担うのが、稚魚を吸い上げるポンプの流量調節を行う担当者です。

選別を行うベルトコンベアの上を流れる稚魚の数が多すぎると選別が追いつかなくなり、少なすぎると今度は作業の生産性が下がります。常に「ちょうどいい稚魚の数=最適値」を保つために、担当者は選別ライン全体の動きや各人の能力と照らし合わせながら、手作業でポンプの流量を調節しなくてはなりません。研究所にとって、スキルの高いスタッフを長時間の単純作業から解放し、より本質的で高度な作業に振り向けたいというのが長年の課題でした。

そこで、マグロ養殖事業でエンドツーエンドのパートナーシップを結んでいた豊田通商と、日本マイクロソフトは画像解析を用いた「自動選別システム」の開発に着手。 AI による機械学習のプラットフォーム「Microsoft Azure Machine Learning Studio」による画像解析と機械学習、さらに IoT Hub を組み合わせ、ベルト コンベア上にある魚影の面積と、コンベア上の空いているすきまの面積を画像解析、更にそれぞれの稚魚数の際に選別者がどのように作業しているのかを機械学習させることで、作業のための最適値を割り出し、ポンプの流量調節作業を自動化するソフトウエアを開発しました。

「簡単な判別作業を AI で自動化し機械化することができれば、現在常駐で 3 人いる作業員を 2 人にして、1 人は他の仕事をやってもらうとか、休みを取りやすくするなど、業務効率を上げることができるようになります」と谷口氏は言います。

最終的に、近畿大学水産研究所はこれら一連の簡単な選別作業を IT で自動化・機械化することで、作業員の業務の負担軽減や業務改善につなげるだけでなく、経験を持つ優秀な人材を新たな分野で有効活用するなど、若手の人材確保に悩む漁業という第1次産業での “働き方改革” に貢献することを目指しているのです。