生稲 晃子氏と「働き方改革」対談 <前編>
「同一労働同一賃金」や「長時間労働の是正」、「テレワーク、副業・兼業といった柔軟な働き方」そして「病気の治療、子育て・介護と仕事の両立」など、9 つのアジェンダを掲げ、議論が交わされている「働き方改革実現会議」。 安倍首相自らが議長を務める同会議に、民間議員として参加し、提言されている生稲 晃子さんと、当社 代表取締役 社長の平野の対談を、前後編の2回に分けてご紹介します。
「働き方改革」に取り組む意義
平野 拓也 (以下、平野) 「本日は、貴重なお時間をいただきありがとうございます。お会いできて、非常に光栄です。 生稲さんは、おニャン子クラブとしてデビューされて、現在も女優としてご活躍されています。そして今、安倍首相が議長を務める『働き方改革実現会議』にご参加されているということで、今日はいろいろなお話を伺えるのを楽しみにしていました。 」 生稲 晃子 氏 (以下、生稲 氏) 「いえいえ、こちらこそ楽しみにしていました。貴重な機会をいただきましてありがとうございます。」
「働き方改革」に取り組む意義
「治療しながら働く」仕事環境
平野 「早速ですが、『働き方改革実現会議』に参加された経緯からお伺いしてもよろしいでしょうか。」 生稲 氏 「はい。私は 2011 年に乳がんが発覚しまして、現在までに 2 度再発して、5 回の手術を経験しています。当時は健康番組にレギュラー出演していたこともあり、5年間、乳がんの事実を公表しなかったのです。私の場合は、幸いにして外見は元気に見えていましたので、仕事を続けたいと思っていたのです。やはり、乳がんを公表することで、仕事を失ってしまうのが、怖かったのです。 そして、2015 年 11 月にレギュラー番組が終了したことで、闘病 5 年目にして初めて病気の事実を公表しました。 そして 2016 年 9 月に、『治療しながら働く労働者の一人として、何か話をしてもらえたら』ということで、働き方改革実現会議に呼んでいただいたというのが、経緯になります。」 平野 「ありがとうございます。ご自身の経験に基づいて、「病気の治療、そして子育てと仕事の両立」といったアジェンダに沿った提言されているのですね。」 生稲 氏 「そうですね。私が会議で最初に発言させていただいたのは、『心のケア』の問題でした。 やはり、病気になってしまうと、周囲と同じ悩みを共有できないために、疎外感を覚えてしまいます。そこで、会社の中に産業医を置き、主治医としっかり連携していただくと共に、心理カウンセラーまで用意していただいて、心のケアを手厚くしていただきたいという想いを伝えさせていただきました。」 平野 「心理カウンセラーの必要性を、強く感じておられたのですね。」 生稲 氏 「ほかの方から伺った話でも、やはり『仕事を失ってしまうのが怖い』ために、会社にがんの事実を伝えられず、会社に内緒で治療を行っていたのですが、それが働く意欲の低下を招いてしまって、結局は退職されてしまったという例がありました。本当はまだ働けるのに…働き続けたいのに、闘病しているというだけで退職に至ってしまうのは、とても残念ですね。」
「いつでもどこでも活躍できる」仕事環境
生稲 氏 「御社では、もう何年も前から働き方改革に実行されていると伺って、非常にびっくりしました。」
平野 「最初からできたわけではなく、試行錯誤で実践しています。 テレワークを核とした働き方改革を進めてきたのですが、二つの視点を持っています。 一つは、日本においてテレワークの活用シナリオとしてよく使われている「産前産後」、「育児」、「介護」「病中、もしくはその復帰後」などの事情の中で、社員の皆さんがどのように活躍していただけるかという視点です。 もう一つの視点は、普通に会社に来て仕事をしている人たちが、一人一人が持っているパフォーマンスを最大限発揮できるという視点です。 産前、産後、育児、介護、病中、病後、それぞれの状況で、一番働き甲斐がある、そして受け入れられるという環境が必要ですし、すべての社員がパフォーマンスを最大限発揮できる環境も必要です。 大切なことは、特定の人たちを対象として働き方を変えるのではなく、すべての社員の働き方を変えることです。普段からすべての社員が、いつでもどこでも活躍できるテレワークを標準の働き方として活用することで、育児や介護、病気など何かの事情ができた場合も、テレワークを活用することで継続して業務を行うことができます。 『いつでもどこでも活躍できる』仕事環境を実現するには、働きやすい上司、企業文化、制度などいくつもの要素が必要です。そしてその仕事環境を実現するために、ITが持つ可能性をより多くの方にお伝えするということは非常に大切なことだと感じています。 『働き方改革』は我々の会社にとって、今一番関心を持って取り組み、そして発信しているテーマの一つです。」
日本マイクロソフト 品川本社オフィスを視察
品川本社オフィス視察風景
平野 「今日は、当社内のメディカルルームとヘルスケアルームなどを見ていただき、オンライン会議も体験していただきましたが、いかがでしたか? 」
生稲 氏 「先ほど、働き方改革実現会議で私が提言させていただいた内容をお伝えしましたが、まさに『私が描いていた理想的な状態が、実現している!』と思いました。
メディカルルームには、産業医と保健師の方がいらして、カウンセリング用のお部屋も 3 室用意されていて。しかも、お部屋が広くて、落ち着いてお話ができる雰囲気でしたね。
ヘルスケアルームでは、従業員の方々が、毎月無料でマッサージを受けられる (予約制 / 1 人月1 回) ということで、本当に驚きました。
マッサージ用に区切られたスペースも、町のマッサージ屋さんよりも広いくらいで、うらやましかったですよ。
ヘルスケアルームのスタッフの一員として、盲導犬もいました! とても、おとなしくて賢いワンちゃんで、教えていただくまで、まったく気が付きませんでした。」
平野 「ありがとうございます。社員がいきいきと働き、活躍できる環境を支えるためには、社員の健康管理や精神的なサポートを行う体制まで、しっかりと整える必要があります。 そのためにも、メディカルルームなどを、すべての社員が日常的に利用できる環境を整えることが大切だと思っています。 」