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リモートワークの課題に対応する Windows 11 のアップデートで、生産性と集中力の向上に貢献

アティマ チャンサンチャイ (Athima Chansanchai

※本ブログは、米国時間 10 月 17 日に公開された ”Remote work challenges inspire Windows 11 updates to increase productivity and lessen distractions” の抄訳を基に掲載しています。

2 年以上前、パンデミックによるロックダウンが発生し、スウェタ マチャナヴァジャラは自宅で仕事をする必要に迫られました。その時彼女が真っ先に実感したのは、仕事の効率への影響です。

Azure Cognitive Service Translator チームのプロダクトマネージャーであるマチャナヴァジャラは、生まれつき耳が聞こえず、手話は使わずに口の動きを読んで会話を把握しています。それが、在宅勤務での共同作業で Microsoft Teams によるバーチャル会議が一般的になると、話している人がカメラをオフにしている時には、会話の流れについていけなくなったのです。

マチャナヴァジャラは 2013 年にマイクロソフトに入社。以来、読話により対面会議やプレゼンテーションに参加していました。また、Microsoft Translator アプリケーションや、 (別のノート PC から) 会議にキャプションをつける通訳サービスも利用していました。全員がリモートワークとなった当初、対面でのコミュニケーションに代わる新たなツールを探し、それに頼らざるを得なくなりましたが、新たなツールはオフィスにいた時ほど役立つものではありませんでした。

Windows 11 のアップデートで、生産性と集中力の向上に貢献
ノート PC で作業中のスウェタ マチャナヴァジャラ (撮影:ダン デロング (Dan DeLong) )

「キャプションは Teams でしか使えなかったので大変でした。別のドキュメントを開くとキャプションが隠れてしまいますから」とマチャナヴァジャラ。また彼女は、通訳者専用のノート PC と、メモを取ったり会議に出席するためのノート PC を両立して使うことにも苦労したといいます。「とても大変で、マルチタスクができなくなりました。パンデミック前はもっと生産性が高かったのですが」

マイクロソフトのミッションは、地球上のすべての個人とすべての組織がより多くのことを達成できるようにすることで、当社は長年インクルーシブなテクノロジの創造に取り組んできました。お客様からのフィードバックや、パンデミックのロックダウンによるリモートワークやハイブリッドワークの課題に苦しむマチャナヴァジャラのような従業員の体験に耳を傾けたことが、 Windows 11 の最新アップデートに含まれている機能へとつながったのです。

マチャナヴァジャラは、自らの実体験と会議で生産性を維持する際の苦労から、Windows に組み込まれているプラットフォームキャプションであらゆる音源にキャプションをつけるというアイデアを思いつきました。2017 年のマイクロソフトのハッカソンでは、マチャナヴァジャラは 10 人のチームを率い、Windows のライブキャプションをアプリ固有のものからアプリを問わないものへと進化させました。

同チームは、ハッカソンプロジェクトで何度も試行錯誤を重ねながら開発を進めました。マイクロソフトのアクセシビリティチームや Windows チームはもちろん、音が聞こえない人や聞こえにくい人のコミュニティとも協力しました。中でも Windows チームは、システム全体でライブキャプション機能が使えるようになるまでエクスペリエンスの開発を続け、それが最近 Windows 11 の最新アップデートの一部としてリリースされたのです。

マイクロソフトがインクルーシブな文化と成長する考え方を実践していることが実感できた
システム全体でライブキャプションが表示される様子を紹介するスウェタ マチャナヴァジャラ (撮影: ダン デロング)

マチャナヴァジャラは、このすばらしい体験を通じ、マイクロソフトがインクルーシブな文化と成長する考え方を実践していることが実感できたと話します。「このことは、生きた体験に耳を傾け、それを地球上のすべての人に力を与える製品へと変える上で、非常に重要で不可欠な要素だと思います」と、マチャナヴァジャラは述べています。

アクセシビリティにフォーカスしてアップデートに取り組んでいるこのチームでは、人と人とのつながりやコラボレーションのあり方、そして仕事を遂行する方法が根本的に変化していることに気づきました。

「Windows 11 のシステム全体にわたるライブキャプション機能によって、生産性が大幅に向上しました。キャプションは、他のアプリケーションやドキュメントに遮られることなくそのまま残しておけるので、マルチタスクも簡単になりました」と、Windows Insider Program を通じてこの機能を利用しているマチャナヴァジャラは語ります。「キャプションは画面上のどこにでもドラッグできますし、人の口にキャプションを近づけることもできるので、それほど目を動かさなくても口とキャプションを両方読むことに集中できます。また、私に直接話しかけている人がいる時は、その人の声にもキャプションがつけられます。ボタンをクリックするだけで、ポッドキャストやビデオはもちろん、あらゆる音源を理解できるようになり、生活が楽になりました。もう時間をかけて検索することも、キャプションが有効になっている音源だけで満足することもありません」

「当社では、あらゆる人に役立つソリューションを設計するよう心がけています」

世界中の企業が継続的にハイブリッドワークを取り入れている中、Windows の新しいアクセシビリティ機能は、さまざまな能力を持つ人がオフィスにいる時と同じように自宅でも生産性を維持できるようサポートしています。

Windows アクセシビリティ部門を率いるカロリーナ ヘルナンデス (Carolina Hernandez) は最近、インクルージョンが Windows 11 のイノベーションを推進していることについてブログを執筆し、システム全体のライブキャプション機能は他言語を学んでいる人にも役立つほか、活発な家庭のように賑やかな環境や、図書館のように静かな環境で授業などを受けようとしている人にも役立つ可能性があるとしています。

「サービスの対象者となる人たちの多様性により、問題をより包括的に捉えられるようになります。というのも、当社ではさまざまな視点を理解し、あらゆる人に役立つソリューションを設計するよう心がけているためです」と、ヘルナンデスは語ります。

Windows チームも今回のアップデートでは、さまざまな能力を持つ人に力を与えられるよう、集中力を高め、雑念を排除し、ワークフローを改善できるような機能に取り組みました。

ワークフローを改善できるような機能に取り組みました
ノート PC を抱えるアレクシス ケイン (撮影: ダン デロング)

Windows アクセシビリティチームのプロダクトマネージャーであるアレクシス ケイン (Alexis Kane) は、パンデミック以前、対面会議にはノート PC を持たずに出席することがよくありました (彼女は毎日、ワシントン州シアトルの自宅からレドモンドの本社に通勤していました)。1 日の大半を共同作業に費やしていたため、ノート PC を実際に使用していたのは 1 日の 3 分の 1 程度だったのではないかとケインは述べています。

「会議室にノート PC を持ち込むことはありませんでした。そこに座っていれば、人の話を聞くことができましたから」と語るケインは、ペンと紙でメモを取るのが好きだといいます。「集中している時は部屋のドアを閉め、顔を上げることもありませんでした。私のオフィスの前を誰かが通ったとしても、邪魔されることはありませんでした」

それが、新型コロナウイルスによるロックダウンで在宅勤務になってから、すべてが変わりました。

とにかくあらゆるところから通知がやって来た
ノート PC で作業中のアレクシス ケイン (撮影: ダン デロング)

ケインのノート PC は、今では勤務時間中、常に電源が入っており、多数の通知が飛び込んでくるようになりました。彼女の ADHD (注意欠如多動性障害) も要因となり、その数には圧倒されたといいます。質問を忘れる前に伝えたいとの思いで、自分から呼びかけることもあったといいますが、とにかくあらゆるところから通知がやって来たのです。

「通知を受け取る側になると、『大変だ』と思ってしまって。少なくとも私の脳はそう感じるんです」とケイン。「通知を見た瞬間、すぐに返答しなくても、確実にそのことについて考えてしまいます」

もうひとつ、今もケインに大きく影響する変化が、会議中に起こっています。

「これには苦労しています。会議の基準ややり方が大きく変わったのです。今では少しずつオフィスに戻るようになりましたが、常に待機状態でいることがエチケットのようになりました。つまり、ノート PC を開いたままにして、ミーティングやチャットにアクセスできる状態にしておくのです。会議中にチャットでコメントを入れることができるので、声に出して発言しにくいと感じる人や、考えを書いて伝えたいという一部の人はとても喜んでいるようですが」と、週に一度のオフィス勤務に戻ったケインは話します。「私には仕事の量が倍増したように感じます。一度に両方のことはできないので、チャットを読み返さなくてはなりません。会議中に読むのは本当に大変で、それがずっと続いているような状態です」

ヘルナンデスは、こうした状況が、目の不自由な人や弱視でスクリーンリーダーを使っている人など、他のユーザーにも影響する可能性があると語ります。

「そういった人たちは、会議に耳を傾けつつ、通知として入ってくるあらゆるチャットにも耳を傾けています。その通知が、メッセージをよこせ、メッセージをよこせと何度も言ってくるのです」

「私はすべて 1 ヶ所にある状態が好きなので、Windows に組み込まれていると非常に便利です」

Windows 11 に新しく組み込まれたフォーカスセッションと応答不可 (Do Not Disturb) モードは、シンプルにオンとオフを切り替えるだけで通知を制限する機能です。ケインはアクセシビリティチームに参加した当初、このような機能を思いつくことはなかったといいます。それが、その後すぐにチームで ADHD や自閉症など神経面で多様性のある人たち (ニューロダイバーシティ) の問題を解決しようと考えるようになったのです。こうした多様性を持つ幅広いお客様への聞き取りを通じて共通の問題点を見いだし、PC の通知をはじめとした気が散る要素を抑える機能にたどり着きました。

「私は個人的に自身のチームで構築したものに対して直接意見を伝えましたが、マイクロソフトのニューロダイバーシティコミュニティにも働きかけ、Windows に関する一般的な意見を出してもらうようにしました」とケイン。こうした集中力を高める機能に向け、ケインは小規模な内部諮問委員会の立ち上げにも携わりました。委員会ではブレインストーミングを実施し、開発に対するフィードバックも頻繁に受け取っていました。

通知センターからフォーカスセッションを開始すると、Windows はタスクバーのバッジを削除するなどして通知をオフにし、静かになります。ただし、優先度の高い通知は必要に応じて届くようにすることも可能です。

画面上に表示されるタイマーが追加されました。
フォーカスセッションの仕組みを紹介するアレクシス ケイン (撮影: ダン デロング)

「Windows による数種類の異なる通知を無効にしたことが最大の成果です。Teams や Outlook から届く赤い点滅や、未読の通知や注意喚起する通知の数を示すバッジも消すことができます」とケイン。「些細な変化ですが、それがポイントだと思います。新たに邪魔になるようなものを PC に導入するつもりはありませんでしたし、大きな変化を加えるつもりもありませんでした」

もうひとつ便利な機能として、画面上に表示されるタイマーが追加されました。これは、締め切りに追われている人や、フォーカスセッションの時間を記録・確認したい人に役立つ機能です。

「私はすべて 1 ヶ所にある状態が好きなので、Windows に組み込まれていると非常に便利です」と話すケインは、フォーカスセッションと ToDo リストを同期できる点が気に入っているといいます。

また、何かを創造している時や集中している時に特定のプレイリストを使ってオーディオコンテンツを聴くのが好きな人のために、Spotify もフォーカスセッションに統合されました。

「皆がそれぞれできるだけ生産的で創造的になれるような体験やツールを Windows で作りたいと考えています」と、ヘルナンデスは語ります。またユーザーには、より自然なナレーターの音声や、音声アクセスによる PC のコマンドやコントロールなど、Windows 11 の他のアップデートにも注目してほしいと述べています。「これは、Windows の一部としてだけでなく、デジタルデバイドを解消するという当社のミッションの一部として、達成しようとしていることなのです」

トップ写真: ノート PC で作業中のスウェタ マチャナヴァジャラ (撮影: ダン デロング)

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