マイクロソフト、新しい最高サステナビリティ責任者を任命

ブラッド スミス (Brad Smith)、マイクロソフト副会長兼プレジデント

※本ブログは、米国時間 2022 年 12 月 15 日に公開された「Microsoft names new Chief Sustainability Officer」の抄訳を基にしています。

新しい最高サステナビリティ責任者として、メラニー ナカガワ (Melanie Nakagawa) が 1 月にマイクロソフトに加わることを発表いたします。コーポレート バイス プレジデントとして私の直属の部下となるメラニーは、マイクロソフト内のさまざまなチームと協力し、全社的な環境サステナビリティに関する取り組みにおいてリーダーとしての役割を担います。

メラニーは約 20 年間、政策、ビジネス、テクノロジが交わる分野で環境サステナビリティに携わってきた経験をマイクロソフトで活かしてくれます。このような経験はマイクロソフトがサステナビリティの取り組みを続けるうえで非常に重要です。メラニーは最近まで、大統領特別補佐官およびホワイトハウスの国家安全保障会議の気候変動・エネルギー担当シニア ディレクターを務めていました。このほかにも、米国政府でいくつもの職務に就いてきました。ホワイトハウスでは、国内外の気候に関する取り組み、およびウクライナでの戦争に関連した世界的なエネルギー不足への対応を始めとするエネルギー問題において指導的役割を果たしていました。

メラニー ナカガワ(Melanie Nakagawa)
メラニー ナカガワ (Melanie Nakagawa)

このような役割はメラニーのそれまでの仕事での経験の上に築かれたものであり、そうした経験には、北米、ヨーロッパ、アジアの成長段階にある企業向けにサービスを提供している気候関連テクノロジ重視の未公開株式投資会社の気候戦略ディレクターなどが含まれます。またメラニーは、非営利分野および学術分野での経験も、環境やエネルギーに関する政策および規制問題に活かしてきました。

メラニーは非常に重要な時期にマイクロソフトに加わることになります。2030 年までにカーボン ネガティブを達成し、2050 年までに過去の炭素排出量に相当する量を除去するという野心的な気候目標をマイクロソフトが設定してから、1 月でちょうど 3 年になります。弊社の進捗は満足できるものではありますが、この勢いを加速させ、気候関連の取り組みをさらに広げる必要があります。

このような緊急性は、世界中の気候問題の現状を反映しています。先月エジプトで開催された国連の COP27 気候会議で世界中のリーダーと話す中で私が実感したのは、世界は複雑で厳しい課題に直面しているという現実です。国連環境計画が 10 月に年次排出ギャップ報告書で述べているように、現在の各国の気候変動対策計画は、世界の温暖化防止目標を達成するために必要な水準に達していません。

また、アントニオ グテーレス (António Guterres) 国連事務総長が COP27 で語ったように、「気候変動の破壊的な影響は今、ここで起きています」。これは、世界は今世紀半ばまでにネット ゼロ経済を実現するという目標に向かってもっと努力するだけでなく、より速く、積極的に、これを推し進めなければならないことを意味します。特にグローバル サウスにおいて弱い立場にある人々が変動した気候に適応するためには、このことが重要になります。

このような課題の大きさを考えると、進歩を追求するには、今後数十年間で途方もないイノベーションが必要になります。

不安を招くような調査が毎月のように発表されていますが、COP27 では楽観的になれる要素も見られました。たとえば、世界中で約 4,000 社が気候変動対策に関する誓約の実現に全力を傾けています。また、世界中が気候変動対策に関する誓約の推進 (COP27 の主要なテーマ) に力を注ぐ中、ビジネスが果たす役割はますます重要になっています。このことは、米国の気候問題担当大統領特使である ジョン ケリー (John Kerry) 氏 が COP27 で発表したことによって明確に示されました。彼の発表によると、米国政府が世界経済フォーラムと協力して昨年立ち上げたばかりの First Movers Coalition に参加し、この取り組みの迅速な推進に協力する企業が 65 社に増えました

特に、世界中の組織のテクノロジを通した革新の支援に力を注いでいるマイクロソフトのような企業にとっては、気候に関して果たすべき役割はこの上なく明確です。クラウドベースのデジタル サービス、データのより有効な活用、そして AI の急速な進歩は、気候およびエネルギーに関する世界のニーズに対処するうえであらゆる組織がさらに前進することを支援する新たな機会を生み出します。

このことは、マイクロソフト が 9 月に国連総会で全社的に着手すると発表し、メラニーが率いることになる、3 つのサステナビリティ ミッションに直接結び付いています。

1 つ目に、マイクロソフト は地球の生物多様性に貢献しながら、2030 年までに全社的にカーボン ネガティブ、ウォーター ポジティブ、廃棄物ゼロを実現するという公約の達成に向けて前進し続けます。メラニー が率いるチームには国際的に著名な環境科学者も含まれており、利用可能な最善の科学に基づいてマイクロソフトの取り組みを進めることが可能です。また、環境サステナビリティ オペレーション チームは、マイクロソフト の内部目標とオペレーション目標を達成するために、マイクロソフトの財務チームや社内のビジネスおよびサステナビリティの専門家とこれまで以上に協力していきます。

これはすべて、マイクロソフト全体での最近の重要なステップをさらに進めるものです。具体的には、レドモンド キャンパス用の新たな熱エネルギー センターの建設、シリコン バレー キャンパスでのネット ゼロ ウォーター認証の獲得、そしてシンガポールおよびシカゴでの 4 番目および 5 番目の循環センターの開設などが挙げられます。これらの取り組みは、弊社の世界中のデータセンターでの再生可能エネルギーへの投資、およびマイクロソフトが世界最大の炭素除去購入者となっている投資を補完するものです。

2 つ目に、マイクロソフト はお客様やパートナーがそれぞれのサステナビリティ目標を達成することを支援するために、イノベーションを加速させ、テクノロジを提供していきます。弊社の初代最高環境責任者であるルーカス ジョッパ (Lucas Joppa) と同様、メラニーは私とともに、マイクロソフト全体のリーダーたちが協力し、互いに学び合えるように、1 つにまとめることを目指します。嬉しいことに、サステナビリティは マイクロソフト全体での重要なチーム スポーツとなっています。マイクロソフトのエリザベス ブリンストン (Elisabeth Brinton) やダリル ウィリス (Darryl Willis) などの製品開発、マーケティング、セールスの上級幹部が、お客様やパートナーと協力し合って、マイクロソフトのサステナビリティやエネルギーに関するソリューションを通じてお客様やパートナーのビジネスを変革させています。弊社は四半期ごとにマイクロソフト Cloud for Sustainability を強化し、機能を追加し、世界が求めている次世代のクラウドベースのサステナビリティ データ エコシステムに投資しています。これはすべて、マイクロソフト Cloud での多様なイノベーション、および世界最大級のデータセンター運用全体での気候および再生可能エネルギーに関するイノベーションと密接に関連しています。

3 つ目に、マイクロソフトは政府機関、非営利組織、企業と提携して、世界的なサステナビリティの進展に不可欠な、広範な社会的実現要素を促進していきます。これには、メラニーとそのチームが主導する、以下のような既存の取り組みと新たな取り組みが含まれます。

  • 国連による利用やグローバル サウス全体での利用も含め、気候関連のデータの利用、およびより強力な AI の利用を拡大する。
  • 気候、エネルギー、およびサステナビリティに関する革新的で新しい法律、政策、規制の制定を促進する。
  • 信頼性が高く、相互運用可能で、世界的に統一された、炭素排出量の測定、算定、報告のシステムをサポートする。
  • 気候イノベーション基金や炭素除去購入などを通して、気候およびサステナビリティのソリューションの新たな市場を構築する。
  • サステナビリティに関する専門的な職種と、サステナビリティに関する知識が求められるように変わっていく既存の職種の両方にとって必要なスキルと人材の開発とサポートを支援する。

これら 3 つのサステナビリティ ミッションは、企業として今後のマイクロソフトのサステナビリティに関する取り組みを導く 3 つの理念に基づいています。

1 つ目に、これら 3 つのミッションをつなぐ好循環が存在するとマイクロソフトでは考えています。各ミッションが進展すると、次のミッションを追及する能力が強化されます。そういう意味で、3 つのミッションはすべて相互に関係し、依存していると言えます。

2 つ目に、サステナビリティの進展には分野横断的な取り組みが不可欠であると考えています。世界中のほぼすべての大きな問題と同様に、企業、非営利組織、政府機関という 3 つの柱が必要です。企業はイノベーションにおいて、特に気候、エネルギー、デジタルに関するテクノロジと製品のイノベーションに関して、独自の役割を果たす必要があると考えています。非営利組織は多くの場合、ビジネス分野によるイノベーションを活用して、新しい社会的ソリューションを生み出すことに優れています。そして政府機関は、公的予算および法律の制定と規制を通してソリューションを大規模に実施できますが、これはその他の組織には不可能です。分断された世界でも、地球のサステナビリティの課題に対処するには、これら 3 種類の組織が協力する必要があります。

最後に、マイクロソフト全体で (さらに言うと世界全体で)、環境サステナビリティは私たちのほぼあらゆる行動に浸透しつつあり、成功するためには、個々のコマンドとコントロールからなるシステムではなく、全般的なマトリックスを管理することが必要になります。メラニーおよび彼女が率いる環境サステナビリティ チームは、マイクロソフト全体における支点の役割を果たし、全従業員を 1 つにまとめ、会社を代表して公に発言します。これは、アクセシビリティ、デジタルの安全性、プライバシー、人権、責任ある AI など、その他のさまざまな分野でマイクロソフトの企業チームが果たしている役割と似ています。これまで見てきたように、成功するか失敗するかは、大企業全体を 1 つのチームとして、あるいはさらに大きなデジタル エコシステムとしてまとめて、効果的に取り組めるかどうかにかかっています。

このようなすべての分野の優秀なリーダーの能力を伸ばし、協力し、サポートすることが私の主な役目であり、特権です。これらの課題はいずれも容易ではありません。環境サステナビリティの課題はさらに難しい可能性があります。

メラニー Nakagawa が、地球のサステナビリティのニーズへの対処に関して、社内の多くの優秀な人材を適切に導いてくれることを大いに期待しています。また、それをサポートできることを楽しみにしています。

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