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Asia Vision Series:日本におけるデジタル トランスフォーメーション < 3 >

Asia Vision Series (アジア ビジョンシリーズ) では、重要な業界動向と課題について、アジア各地域の専門家と共に議論していきます。全 3 回の本インタビュー記事では、 元シンガポール The Straits Times 紙の記者で、テクノロジ系ブログの創設者でもあるベテランジャーナリスト アルフレッド スー(Alfred Siew)が、日本マイクロソフト株式会社 代表取締役 社長の平野拓也と対談し、日本企業のデジタルトランスフォーメーションにおける課題について議論しました。また、平野は、個人的なエピソードとして、自分自身のアイデンティティ、他地域でのマネジメント経験が、自身の世界観に与えた影響について語りました。

Asia Vision Series 英語版はこちらをご覧ください: https://news.microsoft.com/apac/features/embracing-security-as-an-agent-of-change/

 

セキュリティが変化の核

平野は、日本人の父と米国人の母の間に生まれました。同質性が高いと言われることが多い日本社会の中で、平野は成長するにつれて、「平野 拓也」という名前から受ける印象と外見の印象のギャップについて、周囲に色々と言われることが増え、文化的多様性について強く意識するようになりました。

「私は、意図せず自分に注目されたこともあって、周囲との違いにとまどうよりも、むしろ容易に受け止められるようになってきました。特に日本では、周囲と何か違いがある場合、それをより意識することが多いのではないでしょうか。この環境が、私のものの見方や個性に対して、ある程度影響を与えてきました。」と平野は語りました。

平野のこうしたバックグラウンドは、北米や中東欧地域で勤務し、自身のキャリアを重ねていく中で、異なる文化的背景の人々をより良く理解し、一緒に働く上で助けになったようです。デジタルトランスフォーメーションの成功には、他人の考え方や動機付けを理解し、時として文化さえも理解することが重要になります。

「変化を推進していくにはテクノロジの活用が助けとなりますが、同様に文化も重要な役割を果たします。トランスフォーメーションが求められるビジネスの世界では、他者がなぜ異なるやり方をしているかを理解することが重要です。」 と平野は語りました。

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https://www.youtu.be/1hOxUPtpg7U

25カ国の市場を統率する責任者として、平野が中東欧地域に着任した時、多様性の問題は一層明明確になりました。担当するいくつかの市場では、90 から 100 パーセントのコンピューターで海賊版ソフトウェアが稼働するまでに違法コピーが蔓延していました。「ある政府機関では、ソフトウェアの 100 パーセントが海賊版でした。また、訪問したある銀行でも、使われているソフトウェアの 100 パーセントが海賊版でした。私がもっと驚いたのは、人々の多くがこの状況を大したことではなく、むしろ当たり前にとらえていたということです」と平野は回想します。

「どうすればこのような考え方を変えられるのか?そのためには、このような行動を取る原因を理解し、ソフトウェアを正しく利用するよう伝え、海賊版ソフトウェアの利用がセキュリティ上の信頼性を大きく損なう原因になるという説明に加えて、信頼、コミットメント、パートナーシップを深めるための対話を行なったり、お客様の環境をより強固にかつ安全にするために当社がどのような支援ができるかを伝えることにフォーカスしました」と平野は語りました。

セキュリティは、デジタルトランスフォーメーションの実現において不可欠の要因です。ユーザーは信頼できないテクノロジは使わないからです。「サイバーセキュリティ対策を最優先する正しい企業文化を持つことで、テクノロジへの一層の信頼感と、デジタルトランスフォーメーションを確実に推進することができます」と平野は語ります。

企業、政府、消費者に対するサイバー攻撃がより高度化し、巧妙化する中で、サイバーセキュリティ対策への注目も高まっています。社内の IT 環境と外の世界とのつながりが収束しつつある中で、オンラインの脅威も高まっています。モバイルデバイスからアプリケーション、サプライチェーン、ベンダー、顧客自身まで、エンドユーザーとのあらゆる接点がサイバー攻撃の潜在的な原因になり得る状況です。

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2015 年には、日本年金機構に送付された「標的型攻撃メール」をきっかけに、年金管理システムに保管されていた約 125 万人分の個人情報が漏洩しました。職員がメールを開封したり、添付ファイルをダウンロードしたことにより、端末がウィルスに感染してしまったのです。それ以来、政府はシステムの防御を強化し、全拠点のインターネットとの接続を中止するなどの入念な措置を取りました。

しかし、クラウドやモバイルなどの新しいテクノロジ活用と、セキュリティが常にトレードオフになるわけではありません。最初からセキュリティ対策を想定した設計にしておくことで、オンラインサービスの安全性をさらに強化できると平野は説明します。

「日本政府が困難な課題であるセキュリティとイノベーションのバランスに取り組んでいるように、クラウドコンピューティングを利用する際にセキュリティに関する誤解を解消することが重要です。」

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世界的な競争力を獲得する上では、生産性の最大化のためにテクノロジを採用するだけではなく、セキュリティを検討課題に加える必要があると平野は述べます。

しかし、日本企業が正しい方向に向かう兆しも見られつつあります。

今年の 5 月には、三井住友銀行が、Office 365、Microsoft Azure、Windows 10 を活用し、効率性と競争力の向上を図り、クラウドテクノロジを全面的に採用することを発表しています。

「銀行、特に大手銀行が、パブリッククラウドの採用を発表したということは強力なメッセージです。最もセキュリティに厳しい組織のひとつがクラウドを受け入れ始めたということだからです」と平野は語ります。

日本の政府とビジネスリーダーは、デジタルトランスフォーメーションをリードできる文化の育成に貢献できると平野は考えています。「日本の人々が世界で起きていることを受け入れることを期待します。変化しなければ、迅速に変化しなければ、日本は世界に取り残されてしまうでしょう」

https://www.youtu.be/18_ntwqnA9w

平野が日本のデジタルトランスフォーメーションに必要な要素について語った本インタービュー記事の第 1 回はこちらをご参照ください。第 2 回では、平野はデジタルトランスフォーメーションをビジネスアジェンダの優先事項とすることを述べています。

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